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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (1)工事の設計が適切でなかったなどのもの

函渠(かんきょ)の設計が適切でなかったもの[北海道](276)


(1件 不当と認める国庫補助金 16,439,000円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(276) 北海道 登別市 防災・安全交付金
(下水道)
26、27 33,836 
(33,836)
16,918 32,878 
(32,878)
16,439

この交付金事業は、登別市が、下水道事業の一環として、登別市若山町地先において、雨水管、集水桝等を整備するなどの工事を実施したものである。

このうち雨水管の整備は、市道若山16号線の車道を開削して函渠(かんきょ)(内空断面の幅1,200mm、高さ700mm、延長112.1m)を埋設し、その埋戻し、舗装の復旧等を行ったものである。

同市は、本件函渠の設計を「道路土工 カルバート工指針」(社団法人日本道路協会編。以下「設計指針」という。)等に基づいて行っている。そして、同市は、函渠の設計に当たり、活荷重(注1)を考慮せず、函渠本体の荷重、土圧等により、基礎地盤に作用する鉛直荷重(注2)を算出し、許容鉛直支持力度(注2)を下回ることから設計計算上安全であるとして、これにより施工していた。

しかし、設計指針によれば、函渠の設計に当たっては、活荷重を考慮しなければならないとされており、本件函渠は車道下に埋設される函渠であることから、自動車による活荷重も基礎地盤に作用するとして鉛直荷重を算出すべきであった。

そこで、改めて活荷重を考慮するなどして設計計算を行ったところ、基礎地盤に作用する鉛直荷重は74.73kN/m2となり、許容鉛直支持力度43.86kN/m2を大幅に上回っていて、設計計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。

したがって、本件函渠(工事費相当額計32,878,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額計16,439,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
活荷重  自動車等が構造物上を移動する際に作用する荷重
(注2)
鉛直荷重・許容鉛直支持力度  「鉛直荷重」とは、構造物の自重等が地盤に対し鉛直方向に働く単位面積当たりの力をいい、鉛直荷重を基礎底面地盤が支えることのできる設計上許される単位面積当たりの限度を「許容鉛直支持力度」という。