(1件 不当と認める国庫補助金 4,348,122円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(278) | 石川県 | 輪島市 | 社会資本整備総合交付金 (都市再生整備計画) |
23、24 | 48,615 (48,615) |
23,432 | 9,021 (9,021) |
4,348 |
この交付金事業は、輪島市が、都市再生整備計画事業の一環として、輪島市河井町地内において、市道市役所前通線の雨水を排除するために、雨水排水管工、樋(ひ)管工等を実施したものである。
このうち、雨水排水管工は、道路を開削して車道下に管渠(きょ)(内径1.65m、延長12.4m)を埋設し、その埋戻しを行うもので、道路の開削に当たっては、管渠の埋設予定箇所の両側に仮設の土留工として鋼矢板(長さ9.5m)を打設し、埋戻し後は片側の鋼矢板を引き抜くものである(参考図参照)。
同市は、本件管渠の設計を「下水道用鉄筋コンクリート管」(社団法人日本下水道協会。以下「設計基準」という。)等に基づいて行っており、矢板で土留めをし、開削した溝の内側に、遠心力鉄筋コンクリート管1種の管渠を、管渠の全周を砂で巻く砂基礎で設置すれば、管渠に作用する鉛直土圧等の荷重が管渠の耐荷力を下回ることから、設計計算上安全であるとして、これにより施工していた。
しかし、埋戻し後に矢板を引き抜く場合は、矢板を引き抜かない場合に比べて、埋戻し土の緩みにより、管渠に作用する鉛直土圧が大きくなることから、設計基準によれば、管渠に作用する鉛直土圧を計算する際は、矢板の引き抜きの有無に応じた計算式を用いることとされている。本件工事においては、矢板を引き抜く場合の計算式を用いて管渠に作用する鉛直土圧を計算すべきであったのに、同市は、誤って、矢板を引き抜かない場合の計算式を用いて計算していた。
そこで、改めて、矢板を引き抜く場合の計算式を用いて計算したところ、管渠に作用する鉛直土圧等の荷重は95.2kN/m2となり、管渠の耐荷力68.1kN/m2を大幅に上回っていて、設計計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
したがって、本件雨水排水管工(工事費相当額9,021,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額4,348,122円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
雨水排水管工の概念図