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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (2)補助金を過大に受給していたもの

仕入税額控除した消費税額に係る交付金等を返還していなかったもの[東京都](281)-(291)


(11件 不当と認める国庫補助金 16,625,000円)

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(281)

(291)
東京都 1市6区 11事業主体 社会資本整備総合交付金
(住宅・建築物安全ストック形成)
26 964,537 
(964,537)
237,172 70,604 
(70,604)
14,359
  9事業主体 耐震対策緊急促進 26 718,297 
(718,297)
38,221 52,498 
(52,498)
2,266
(注1)
1件ごとの内訳については、表参照

これらの交付金事業等は、地震により倒壊した場合に緊急輸送道路等を閉塞するおそれのある建築物について、その所有者が事業主体となって耐震改修工事等を実施したものである。

このうち、住宅・建築物安全ストック形成事業(以下「ストック形成事業」という。)については、東京都が、法定受託事務として、管内の1市6区(注2)に対して社会資本整備総合交付金(以下「交付金」という。)を交付し、1市6区が、これを財源として11事業主体が実施した耐震改修工事等に要した費用の一部を補助している。また、耐震対策緊急促進事業(以下「緊急促進事業」という。)については、都が、法定受託事務として、上記11事業主体のうち1市5区(注3)の9事業主体に対して、ストック形成事業による交付金交付額に上乗せして国庫補助金を交付している。

そして、11事業主体は、ストック形成事業について、消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)を含めた事業費計964,537,200円(交付対象事業費同額、交付金計237,172,000円)で実施したとして1市6区に実績報告書を提出して、補助金の交付を受けていた。また、9事業主体は、緊急促進事業について、消費税を含めた事業費計718,297,200円(国庫補助対象事業費同額、国庫補助金計38,221,000円)で実施したとして、1市5区を通じて都に実績報告書を提出して、国庫補助金の交付を受けていた。

消費税は、課税事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務が生ずるが、生産及び流通の各段階で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除(以下、この控除を「仕入税額控除」という。)する仕組みが採られている。

そして、交付金事業等の事業主体が交付対象等の建築物を改修することなども課税仕入れに該当して、上記の仕組みにより確定申告の際に交付金事業等で改修した建築物の改修費等に係る消費税額を仕入税額控除した場合には、交付金事業等の事業主体は当該改修費等に係る消費税額を実質的に負担していないことになる。

 「住宅局所管補助事業等における消費税相当額の取扱について」(平成17年国住総発第37号国土交通省住宅局長通知。以下「住宅局長通知」という。)によれば、事業主体は、補助事業等完了後に仕入税額控除した消費税額に係る補助金等の金額が確定した場合には、消費税仕入控除税額が確定した段階でその額を報告するとともに当該金額を返還することとされている。そして、消費税の取扱いについて、ストック形成事業においては、1市6区がそれぞれ制定した交付要綱により、いずれも住宅局長通知と同様の消費税仕入控除税額に係る報告及び返還に関する取扱いが定められており、また、緊急促進事業においては、住宅局長通知によることとなっている。

しかし、11事業主体は、ストック形成事業において、いずれも実績報告書を提出した後に行った消費税の確定申告の際に、本件交付金事業等に係る仕入税額控除した消費税額が計70,604,954円と確定していたにもかかわらず、この消費税額に係る交付金相当額計14,359,000円について報告及び返還を行っておらず、また、9事業主体は、緊急促進事業においても、同様に国庫補助金相当額計2,266,000円について報告及び返還を行っておらず、それぞれ不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、11事業主体において交付金事業等における消費税の取扱いについての理解が十分でなかったこと、都及び1市6区において交付金事業等における消費税の取扱いについての11事業主体に対する指導及び審査が十分でなかったことなどによると認められる。

(注2)
1市6区  立川市、中央、港、台東、杉並、豊島、練馬各区
(注3)
1市5区  立川市、中央、港、台東、杉並、練馬各区

表 事業主体等一覧

(単位:円)
  市区名 事業主体 区分 年度 事業費
(国庫補助対象事業費等同額)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費(国庫補助対象事業費同額) 不当と認める国庫補助金等相当額
(281) 中央区 株式会社ニューギン ストック形成事業 26 165,240,000 27,540,000 12,106,584 2,018,000
(282) 中央区 丸柏ビル株式会社 ストック形成事業 26 135,000,000 19,068,000 10,000,000 1,412,000
緊急促進事業 3,813,000 282,000
(283) 港区 石川ガスケット株式会社 ストック形成事業 26 99,360,000 31,560,000 7,286,400 1,215,000
緊急促進事業 6,311,000 242,000
(284) 台東区 株式会社文昌堂 ストック形成事業 26 154,440,000 35,063,000 11,436,568 1,855,000
緊急促進事業 7,012,000 371,000
(285) 台東区 日産ネットワークホールディングス株式会社 ストック形成事業 26 48,384,000 16,128,000 3,584,000 1,195,000
緊急促進事業 3,225,000 239,000
(286) 台東区 メトロ設計株式会社 ストック形成事業 26 44,928,000 14,976,000 3,328,000 1,110,000
緊急促進事業 2,995,000 222,000
(287) 台東区 株式会社ハッピージャパン ストック形成事業 26 86,333,040 24,388,000 6,395,040 1,065,000
緊急促進事業 4,877,000 213,000
(288) 杉並区 TSUMO・JP株式会社 ストック形成事業 26 38,750,400 12,916,000 2,870,400 956,000
緊急促進事業 2,583,000 191,000
(289) 豊島区 ダイヤ通商株式会社 ストック形成事業 26 81,000,000 18,500,000 6,000,000 1,000,000
(290) 練馬区 株式会社丸の内よろず ストック形成事業 26 48,461,760 16,153,000 2,957,962 986,000
緊急促進事業 3,230,000 197,000
(291) 立川市 秋山産業株式会社 ストック形成事業 26 62,640,000 20,880,000 4,640,000 1,547,000
緊急促進事業 4,175,000 309,000
1市6区 11事業主体 ストック形成事業 964,537,200 237,172,000 70,604,954 14,359,000
1市5区 9事業主体 緊急促進事業 718,297,200 38,221,000 52,498,370 2,266,000