(1件 不当と認める国庫補助金 27,273,857円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(303) | 山形県 | 山形県 | 河川総合開発 | 19 | 368,300 (266,649) |
146,657 | 68,492 (49,588) |
27,273 |
この補助事業は、山形県が、米沢市大字簗沢(やなざわ)地内の綱木川ダムにおいて、ダムから河川への放流水を利用してダムの維持管理に必要な発電を行うダム管理用水力発電設備(以下「管理用発電設備」という。)を設置したもので、同県は、管理用発電設備による発電(以下「ダム管理用発電」という。)により、取水用ゲート、管理事務所内電気設備等の稼働に要する電力を賄うとともに、余剰電力を売電することとしている。
ダム管理用発電の実施に当たっては、「補助ダム事業に係るダムエネルギー適正利用化事業の実施について」(昭和56年建設省河開発第43号建設省河川局長通知。以下「通知」という。)等によれば、次のように算定した額を、交付された国庫補助金の額を限度として国庫に納付(以下、この国庫に納付する額を「国庫納付額」という。)することとされている。
すなわち、国庫納付額は、ダム管理用発電のために要した人件費、修繕費等の費用に、全発生電力量に占める売電電力量の割合を乗じて売電のために要した費用(以下「売電費用」という。)を算出し、売電収入から売電費用を控除した後に剰余金が生じている場合に、当該剰余金に、管理用発電設備の設置に係る事業費に対する国庫補助対象事業費の比率及び国庫補助率を乗じた額とされている。
そして、同県は、平成22年度分から26年度分までにおける剰余金を計183,147,082円、これらに係る国庫納付額を計72,929,165円と算定して国庫に納付していた。このうち、26年度分についてみると、売電収入107,052,895円から売電費用15,822,907円を控除した剰余金91,229,988円に、管理用発電設備の設置に係る事業費に対する国庫補助対象事業費(水道用水の供給に係る事業者の負担分を除いた事業費)の比率72.4%及び国庫補助率55.0%を乗じて国庫納付額を36,327,781円と算定して国庫に納付していた。しかし、同県は、上記売電費用の算定に当たり、ダム管理用発電のために要した費用ではない管理用発電設備以外の保守点検経費等を含めた、同ダムの管理に要する全ての費用を計上するなどした上で、これに全発生電力量(計3,391,440kWh)に占める売電電力量(計3,078,887kWh)の割合90.8%を乗ずることなく算定していた。これは、22年度分から25年度分までの売電費用の算定についても同様の事態となっていた。
したがって、通知等に基づき、22年度分から26年度分までの売電費用を、実際にダム管理用発電のために要した費用に全発生電力量に占める売電電力量の割合を乗じて修正計算すると、計9,481,659円となる。この適正な売電費用に基づき適正な剰余金を算定すると、計251,639,941円となり、これに係る国庫納付額は計100,203,022円となることから、これに比べて同県が算定した剰余金は68,492,859円、これに係る国庫納付額は27,273,857円(国庫補助金相当額同額)過小に算定されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、通知等における国庫納付額の算定方法について、理解が十分でなかったことなどによると認められる。