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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 国土交通省|
  • 平成26年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(5)独立行政法人奄美群島振興開発基金に対する出資による保証基金の積増しについて


平成26年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

国土交通省が所管する独立行政法人奄美群島振興開発基金(以下「奄美基金」という。)は、奄美群島振興開発計画に基づく事業を行う者等が金融機関から資金の貸付け等を受ける場合に、上記の事業を行う者等から保証料を徴収して金融機関に対する債務を保証する保証業務を行っている(以下、保証業務の対象者を「債務者等」という。)。そして、債務者等が債務不履行に陥った場合に、当該債務者等に代わって金融機関に債務の弁済(以下「代位弁済」という。)を行い、代位弁済により取得した求償権の行使により、事後に債務者等から資金の回収を行っている(以下、この回収した資金を「回収金」という。)。国土交通省は、奄美基金が行う保証業務に必要な基金(以下「保証基金」という。)の造成と、これによる経営基盤の強化を図るために、奄美基金に対して毎年度出資を継続して保証基金を積み増している。しかし、保証基金の額が保証債務残高を超えていたり、保証基金を運用して得られる利益で補填しなくても保証料、回収金等の収入のみで代位弁済による支出を負担できる状況となっていたり、保証基金を積み増しても繰越欠損金の解消に効果的でなかったりしているにもかかわらず、保証業務に対する出資を継続して保証基金を積み増している事態が見受けられた。

したがって、国土交通省において、繰越欠損金の状況を踏まえつつ、出資による保証基金の積増しを見直すなどして、今後の保証基金の規模を保証債務残高の状況等を勘案した適切なものとするよう、国土交通大臣に対して平成27年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、保証債務残高や繰越欠損金の推移等を勘案した上で、27年10月に出資による保証基金の積増しを28年度は行わないこととし、28年7月に29年度以降についても積増しを行わないなどとすることとして、今後の保証基金の規模を適切なものとするための処置を講じていた。