環境省は、環境省設置法(平成11年法律第101号)等に基づき、皇居外苑、京都御苑及び新宿御苑(以下、これらを合わせて「国民公園」という。)を管理しており、国民公園内に設置された駐車場において利用車両の整理、場内の清掃等の業務(以下「駐車場業務」という。)を実施するなどのために、一般財団法人国民公園協会(以下「協会」という。)との間で、委託契約(以下「駐車場業務委託契約」という。)を締結している。駐車場業務委託契約によれば、協会は、駐車場等整理清掃特別会計(以下「駐車場特別会計」という。)を設置して、駐車場業務に係る経理を他の業務に係る経理と明確に区別して経理(以下「区分経理」という。)すること、毎会計年度の決算上生じた剰余金を積立金として積み立てること、駐車場業務委託契約が解除されたときは、駐車場特別会計を精算し、剰余の資産は環境省に引き渡すことなどとされている。しかし、国からの委託を受けて実施する駐車場業務により協会において生じた積立金について、長期間にわたって契約内容が見直されておらず、積立金の適切な規模や取扱いについて検討されていない事態、協会において駐車場特別会計に係る区分経理が適切に行われていないことにより、駐車場特別会計の積立金の額が本来計上されるべき額より少額となっている事態及び新宿御苑の駐車場業務が他の契約と重複して契約の対象とされている事態が見受けられた。
したがって、環境大臣に対して平成27年10月に、駐車場業務委託契約の契約内容、駐車場特別会計の経理等に関し、次のとおり意見を表示し、並びに是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、環境本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、環境省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 28年3月に変更契約を締結し、協会が保有する積立金について、その適切な規模を検討した上で、これを超える分を国庫に納付させることができるようにして、これにより、28年度分として適切な規模を超えた積立金の額1億0920万余円を同年7月に国庫納付させた。
イ 過去の駐車場特別会計に係る経理を精査して、27年度末における積立金の額を本来計上すべき額にさせるとともに、28年3月に変更契約を締結し、今後、駐車場特別会計に係る区分経理が適切に行われるよう決算明細書の様式を定めて提出させ、決算書等の確認を行うこととした。
ウ 28年3月に変更契約を締結し、他の契約と重複する新宿御苑の駐車場業務を28年度以降、契約の対象から除外した。