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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第19 独立行政法人農畜産業振興機構|
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  • (2)酪農経営安定化支援ヘルパー事業の補助対象事業費を過大に精算していたもの

酪農経営安定化支援ヘルパー事業の補助対象事業費を過大に精算していたもの[北海道農業協同組合中央会](323)


(1件 不当と認める機構の補助金 1,603,878円)

酪農経営安定化支援ヘルパー事業(以下「ヘルパー事業」という。)は、酪農経営安定対策補完事業実施要綱(平成23年22農畜機第4555号。以下「要綱」という。)等に基づき、酪農経営における労働負担の軽減及び休日の確保を図り、酪農家が持続性の高い酪農経営を実現するために、酪農家に代わり搾乳作業等を行う者(以下「酪農ヘルパー」という。)の出役等を実施する酪農ヘルパー利用組合(注1)(以下「組合」という。)が広域利用等による出役調整(注2)等を実施するのに要する経費の一部について、機構が補助金を交付するものである。

要綱等によれば、機構は、ヘルパー事業のうちの広域利用等による出役調整について、これに要する経費の2分の1以内を補助することとされており、補助対象となる経費は、出役に用いる車両の燃料費、車両借上料、高速道路利用料金等の交通費及び宿泊料(以下、これらの経費を「出役活動費」という。)とされている。そして、機構は、組合が所有する車両(以下「組合所有車」という。)の場合は、車両借上料が発生しないため、これを補助対象としないとしている。

(注1)
酪農ヘルパー利用組合  農業協同組合、都道府県知事が適当と認めるその他の法人等の団体
(注2)
広域利用等による出役調整  組合が酪農ヘルパーの出役先及び日程の調整をした上で行われる、組合の活動区域外の酪農家への出役、活動区域内であって出役距離が片道15kmを超える出役、その他これに準ずる出役

本院が、機構、17事業主体等において会計実地検査を行ったところ、1事業主体において次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。

  補助事業者 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する機構補助金交付額 不当と認める事業費 不当と認める機構補助金相当額
          千円 千円 千円 千円
(323) 北海道農業協同組合中央会 足寄町酪農ヘルパー運営有限責任事業組合
(事業主体)
酪農経営安定化支援ヘルパー 26 7,016 3,560 3,207 1,603

足寄町酪農ヘルパー運営有限責任事業組合(以下「足寄組合」という。)は、平成26年度のヘルパー事業の実施に要した経費を計7,016,897円(機構の補助金3,560,888円)と算定し、北海道農業協同組合中央会に実績報告書を提出しており、機構は、同中央会を通じて、足寄組合に補助金を交付していた。

足寄組合は、上記ヘルパー事業の実施に要した経費のうち出役活動費5,117,000円を、足寄組合の旅費規程に準じて、移動距離1km当たりの燃料費と車両借上料の双方を含む単価50円に補助対象となる出役距離計102,340kmを乗ずることにより算定していた。

しかし、足寄組合は、出役の際に組合所有車を用いており、組合所有車の場合、車両借上料は、広域利用等による出役調整に係る補助対象経費とは認められないことから、足寄組合が車両借上料を含む上記の単価を適用したのは適切でない。

したがって、燃料費の実支出額を基に改めて適正な出役活動費を算定すると1,909,244円となり、前記の実績報告書における出役活動費5,117,000円との差額3,207,756円が過大に精算されていて、これに係る機構の補助金相当額1,603,878円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、足寄組合において事業についての理解が十分でなかったこと、同中央会において実績報告書の内容の確認及び足寄組合への指導が十分でなかったこと、機構において出役活動費の算定についての指導が十分でなかったことなどによると認められる。