独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センター」という。)は、平成26年度に、新国立競技場の整備に伴い解体する国立霞ヶ丘競技場陸上競技場(以下「国立競技場」という。)に設置されていた13点の壁画を切断して国立代々木競技場等に輸送し仮置きするために、国立競技場壁画移設工事を、一般競争契約により、村本建設株式会社に契約額399,146,400円で請け負わせて実施している。
センターは、本件工事を一般競争入札に付する際に、入札説明書において、予定価格の算定に用いた切断面積等の設計数量を記載した数量書を公開することにし、入札参加者に数量書を提供していた。
本院は、経済性等の観点から、予定価格の算定に係る設計数量が適切なものとなっているかなどに着眼して、本件工事を対象として、センター本部において、契約書、予定価格調書、数量書等の書類を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、センターは、国立競技場に設置されていた壁画の切断面積の設計数量の算定に当たり、本件工事により切断する13点の壁画のうち2点において、幅7.9m、高さ2.2mにわたって1回切断することとして算定すべきところを、誤って幅7.9m、高さ2.0mにわたって2回切断することとして数量書に計上するなどしていたため、適正な切断面積の設計数量は計92.11m2であったのに計110.71m2としていて18.60m2過大に算定していた。
したがって、適正な切断面積の設計数量を用いるなどして本件工事費を修正計算すると、391,697,640円となることから、本件契約額399,146,400円はこれに比べて7,448,760円割高となっていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、センターにおいて、本件工事の予定価格の算定に係る設計数量の確認及び審査が十分でなかったことなどによると認められる。