ページトップ
  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第23 独立行政法人労働者健康福祉機構|
  • 不当事項|
  • 予算経理

病室ユニット契約について、会計規程等の趣旨等に反して分割して随意契約により締結していて、契約手続が適正に行われていなかったもの[独立行政法人労働者健康福祉機構関西労災病院](327)


科目
施設管理費
部局等
独立行政法人労働者健康福祉機構関西労災病院(平成28年4月1日以降は独立行政法人労働者健康安全機構関西労災病院)
契約名
賃貸借契約75契約
契約の概要
病室にテレビ、冷蔵庫、カーテン等の設備を設置するなどするとともに、これを7年間賃借するもの
契約の相手方
株式会社理舎
契約
平成26年10月~28年3月 随意契約
会計規程等の趣旨等に反して分割して随意契約により締結していた契約の件数及び支払額
75件 32,377,137円(平成26、27両年度)

1 病室ユニット契約の概要等

(1) 病室ユニット契約の概要

独立行政法人労働者健康福祉機構関西労災病院(平成28年4月1日以降は独立行政法人労働者健康安全機構関西労災病院。以下「関西労災病院」という。)は、独立行政法人労働者健康福祉機構(28年4月1日以降は独立行政法人労働者健康安全機構。以下「機構」という。)が設置している病院であり、病床数642床(27年度末現在)を有している。

関西労災病院は、26年10月から28年3月までの間に、病室にテレビ、冷蔵庫、カーテン等の設備(以下「病室ユニット」という。)を設置するなどするとともに、病室ユニットを7年間賃借する契約(以下「病室ユニット契約」という。)計75件を株式会社理舎との間で随意契約により締結している。これらの病室ユニット契約に基づく支払額は、26年度1,315,692円、27年度31,061,445円、計32,377,137円となっている。

(2) 機構における契約手続に係る規程等

機構が設置している各労災病院等が売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合には、公正性、透明性及び競争性を確保するために、機構の定める会計規程(平成16年規程第8号)、会計細則(平成16年達第35号)等に基づき、原則として、公告をして、申込みをさせることにより競争に付さなければならないこととなっている。ただし、物件の借入れに係る賃貸借契約については、予定賃借料の年額又は総額が80万円を超えない物件を借り入れるときには随意契約によることができることとなっている。

また、機構における調達の適正化に向けた取組の一環として、機構が22年12月に作成した「契約業務マニュアル及び管財業務取扱例規集」(26年10月以降は「契約及び管財業務マニュアル」。以下「契約等業務マニュアル」という。)によれば、随意契約の締結に当たっては、特別な理由がないのに、調達の内容や時期を分割して、意図的に予定価格等を随意契約によることができる金額以下となるように設定していないかなどを確認することとされている。

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、病室ユニット契約に係る契約手続は適正に行われているかなどに着眼して、前記の病室ユニット契約計75件を対象として、関西労災病院において、契約書等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行った。

検査したところ、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。

関西労災病院は、病室ユニット契約の締結に当たり、病室ユニットの設置等を行う病室計126室等について、26年10月から28年3月までの間に11の契約開始日を設けて、病室ユニットの設置等を1室又は2室ずつ行うなどとして計75件の契約に分割していた。そして、これらの契約1件当たりの予定賃借料の年額がいずれも80万円を超えないとしてそれぞれ随意契約により契約を締結していた。関西労災病院は、このように契約を分割して前記の会社と随意契約を締結した理由について、病室ユニットの設置等を段階的に行うことにより病室を利用できない期間を短縮することができるためであるなどとしていた。

しかし、上記75件の病室ユニット契約は、各病室への病室ユニットの設置等を段階的に行うことなどについて仕様書等に定めることによりまとめて契約を締結することが可能であり、これにより予定賃借料の年額が80万円を超えることになることから競争に付すべきであった。

したがって、本件病室ユニット契約は、会計規程等の趣旨及び契約等業務マニュアルに反して75件に分割して随意契約により締結されたもので、契約手続が適正に行われておらず、これに係る支払額計32,377,137円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、関西労災病院において、病室ユニット契約の締結に当たり、会計規程、契約等業務マニュアル等を遵守して契約手続を適正に行うことについての認識が欠けていたことなどによると認められる。