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  • 平成27年度|
  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等|
  • 第3節 特定検査対象に関する検査状況

第1 補正予算の執行状況等について


検査対象
内閣官房、内閣府、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省
補正予算の概要
予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出等に必要な予算の追加を行う場合等に限り作成される既定の予算を変更する予算
検査の対象とした補正予算
(1) 一般会計 42回(平成元年度~27年度)
(2) 特別会計 41回(平成元年度~27年度)
上記の補正予算における予算の追加額及び修正減少額
(1) 一般会計 追加額 歳入 205兆4547億円
歳出 189兆4042億円
修正減少額 歳入 76兆2902億円
歳出 60兆2396億円
(2) 特別会計 追加額 歳入 245兆9086億円
歳出 188兆1234億円
修正減少額 歳入 151兆6241億円
歳出 127兆0215億円

1 検査の背景

(1) 補正予算の概要

国の予算は、内閣により作成され、国会に提出されている。予算には、国の1会計年度における一切の支出である歳出とその財源となるべき一切の収入である歳入の全てが編入されることとなっている。そして、各府省等は、予算が成立したときは、国会の議決のとおりに内閣から配賦された予算に従って、国の各般の需要を満たすための様々な支出等を行っている。

予算は歳出及び歳入の見積りであるため、予算作成後の事情の変更により、既定の予算に計上された経費に不足が生じたり、新規に経費が必要となったりすることがある。このため、財政法(昭和22年法律第34号)第29条の規定によれば、内閣は、法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出等に必要な予算の追加を行う場合等に限り、既定の予算を変更する補正予算を作成し、これを国会に提出することができるとされている。そして、補正予算は、国会の議決を経て成立した後は既定の予算と一体として執行される。

また、財政法第12条の規定によれば、各会計年度における経費はその年度の歳入をもって支弁しなければならないとされているため、補正予算において歳出を追加するには、当該年度中の予算においてその財源を確保する必要がある。

(2) 補正予算の推移

補正予算は、財政法が施行された昭和22年度以降毎年度作成されている。1会計年度中に複数回の補正予算が作成されたこともあり、平成元年度から27年度までの間には、一般会計で計42回(国会に提出されたものの、成立に至らなかったものを除く。以下同じ。)、特別会計で計41回作成されている。

毎年度の補正予算における予算の追加額(以下、このうち歳出予算に係るものを「歳出追加額」といい、歳入予算に係るものを「歳入追加額」という。)及び当該予算の修正減少額(以下、このうち歳出予算に係るものを「歳出修正減少額」といい、歳入予算に係るものを「歳入修正減少額」という。)の推移は図表1及び図表2のとおりであり、歳出追加額は年度によって大きく増減していて、最も多額である21年度は世界的な金融危機(リーマン・ショック)を背景に50兆0403億余円(一般会計22兆2042億余円、特別会計27兆8361億余円)となっており、次いで23年度、10年度の順に多額となっている。

また、歳入追加額は、歳出追加額と同様に推移していて、歳出追加額と同様に21年度が54兆5800億余円(一般会計23兆4467億余円、特別会計31兆1333億余円)と最も多額となっており、次いで23年度、10年度の順に多額となっている。

そして、歳出追加額から歳出修正減少額を差し引いた歳出純増減額及び歳入追加額から歳入修正減少額を差し引いた歳入純増減額をみると、いずれもほとんどの年度で増額となっており、補正予算によって当初予算よりも歳出予算額及び歳入予算額の規模が拡大する傾向となっていて、特に歳出追加額と歳入追加額のいずれもが多額である10、21、23各年度は、上記の歳出純増減額及び歳入純増減額も一般会計、特別会計ともに多額となっている。

図表1 歳出追加額等の推移

図表1 歳出追加額等の推移 画像

図表2 歳入追加額等の推移

図表2 歳入追加額等の推移 画像

2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

我が国の財政の健全化が喫緊の課題となっており、予算の効率的、効果的な執行がとりわけ求められている中で、前記のとおり、補正予算は毎年度作成されており、歳出追加額が多額となっている年度もある。また、ほとんどの年度で補正予算によって歳出予算額及び歳入予算額の規模が拡大する傾向となっている。

そこで、本院は、有効性等の観点から、補正予算に計上された多額の歳出追加額の執行状況はどのようになっているか、また、その財源はどのように確保されているかなどに着眼して検査した。

(2) 検査の対象及び方法

本院は、元年度から27年度までの間の補正予算に係る歳入追加額計451兆3634億余円(一般会計205兆4547億余円、特別会計245兆9086億余円)及び歳出追加額計377兆5277億余円(同189兆4042億余円、同188兆1234億余円)並びに歳入修正減少額計227兆9144億余円(同76兆2902億余円、同151兆6241億余円)及び歳出修正減少額計187兆2611億余円(同60兆2396億余円、同127兆0215億余円)を対象として、予算の作成に関する事務をつかさどる財務本省において補正予算の作成状況等について説明を聴取するとともに、7府省等(注1)において補正予算の執行状況等について説明を聴取するなどして会計実地検査を行った。さらに、決算等の国の財政状況に関する書類を分析したほか、7府省等から24年度から26年度までの間の補正予算の執行状況に係る調書の提出を受け、その内容を確認するなどの方法により検査した。

(注1)
7府省等  内閣官房、内閣府(宮内庁、公正取引委員会及び警察庁を除く。)、財務省(税関(沖縄地区税関を含む。)及び国税庁を除く。)、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省

3 検査の状況

(1) 補正予算の歳出追加額の状況

元年度から27年度までの間の歳出追加額の状況について、補正予算に関連する主な社会、経済等の情勢や政府における主な経済対策の状況と併せてみると図表3のとおりであり、27年間の合計額は、一般会計で189兆4042億余円、特別会計で188兆1234億余円となっている。

図表3 歳出追加額と主な社会、経済等の情勢等の状況

年度 一般会計
当初予算額
(億円)
特別会計
当初予算額
(億円)
補正予算成立日 一般会計
歳出追加額
(億円)
特別会計
歳出追加額
(億円)
  主な社会、
経済等の情勢
主な経済対策 左の事業規模
うち国債整理基金特別会計分
(億円)
うち国債整理基金特別会計を除いた分
(億円)
平成元 60兆4141 158兆4407
3月26日
6兆6581 3兆8020 1兆0429 2兆7590  
2 66兆2367 169兆8812
12月17日
2兆5211 2兆0270 1兆0240 1兆0029
〇湾岸戦争(3年1月17日~2月28日)
3月6日
1兆1700 1125 1125
小計 3兆6911 2兆1395 1兆0240 1兆1154
3 70兆3474 182兆2321 12月13日 1兆7286 6446 1558 4888
〇バブル経済崩壊
4年3月31日(経)
緊急経済対策
4 72兆2180 190兆6607 12月10日 2兆4979 2兆1271 508 2兆0763   4年8月28日(経)
総合経済対策
10兆7000億円
5 72兆3548 198兆0413
6月8日
2兆4351 1兆6284 253 1兆6030
〇北海道南西沖地震(5年7月12日)
〇ガット・ウルグァイラウンド農業合意(5年12月15日)
5年4月13日(経)
総合的な経済対策の推進について
13兆円超
12月15日
6兆3820 9兆0467 3兆1634 5兆8833
2月23日
2兆1960 1兆4554 108 1兆4446 5年9月16日(経)
緊急経済対策
6兆円程度
小計 11兆0132 12兆1306 3兆1997 8兆9309 6年2月8日(経)
総合経済対策
15兆円超
6 73兆0816 214兆1524
2月9日
1兆3316 1兆1894 9157 2736
〇阪神淡路大震災(7年1月17日)
2月28日
1兆0222 1189 1189
小計 2兆3539 1兆3083 9157 3925
7 70兆9871 231兆1273
5月19日
2兆7638 7948 206 7742   7年4月14日(経)
緊急円高・経済対策
10月18日
6兆0228 2兆9375 5081 2兆4293
2月16日
44 44 7年9月20日(経)
経済対策―景気回復を確実にするために―
14兆2200億円
小計 8兆7866 3兆7368 5332 3兆2036
8 75兆1049 245兆7693 1月31日 3兆6184 1兆8693 7851 1兆0841  
9 77兆3900 258兆9040 2月4日 2兆7082 7042 2509 4533
〇消費税率引上げ(3%→5%)
〇アジア通貨危機・国内金融システム問題
9年11月18日(経)
21世紀を切りひらく緊急経済対策
10 77兆6691 275兆4666
6月17日
5兆1168 7兆1862 5898 6兆5963   10年4月24日(経)
総合経済対策
16兆円超
10月16日
4兆9994 2兆4548 2兆5445
12月11日
8兆5370 10年11月16日(経)
緊急経済対策
17兆円超
小計 13兆6539 12兆1857 3兆0447 9兆1409
11 81兆8601 289兆5852
7月21日
5197 231 231   11年6月11日(産)
緊急雇用対策及び産業競争力強化対策
12月9日
8兆1395 6兆5543 4兆4238 2兆1305 11年11月11日(経)
経済新生対策
17兆円程度
小計 8兆6593 6兆5774 4兆4238 2兆1536
12 84兆9870 318兆6885 11月22日 5兆8165 5兆3908 2兆9512 2兆4396   12年10月19日(経)
日本新生のための新発展政策
11兆円程度
13 82兆6523 373兆0150
11月16日
2兆9955 7806 2570 5236   13年4月6日(経)
緊急経済対策
2月1日
2兆6392 6兆7562 2兆5000 4兆2562 13年10月26日(経)
改革先行プログラム
5.8兆円程度
小計 5兆6347 7兆5369 2兆7571 4兆7798 13年12月14日(経)
緊急対応プログラム
4.1兆円程度
14 81兆2299 382兆6640 1月30日 4兆5248 2兆7366 9270 1兆8095   14年12月12日(経)
改革加速プログラム
4.4兆円程度
15 81兆7890 369兆2975  2月9日 1兆4221 3兆0862 2兆9788 1073
〇2003年十勝沖地震(15年9月26日)
16 82兆1109 387兆4097  2月1日 5兆7435 4兆9005 1兆8950 3兆0054
〇2004年新潟県中越地震(16年10月23日)
17 82兆1829 411兆9442  2月3日 5兆8915 10兆6920 8兆0488 2兆6432  
18 79兆6860 460兆3856  2月6日 4兆9094 10兆4254 8兆4325 1兆9928  
19 82兆9088 361兆8800  2月6日 2兆4951 4兆2772 3兆9125 3646  
20 83兆0613 368兆4476
10月16日
2兆1240 3兆7809 3兆3703 4106
〇岩手・宮城内陸地震(20年6月14日)
〇リーマン・ショック
20年4月4日(経)
成長力強化への早期実施策
1月27日
7兆8157 9兆2475 2兆3117 6兆9358 20年8月29日(安)
安心実現のための緊急総合対策
11.5兆円程度
小計 9兆9397 13兆0285 5兆6821 7兆3464 20年10月30日(新)
生活対策
26.9兆円程度
20年12月19日(経)
生活防衛のための緊急対策
37兆円程度
21 88兆5480 354兆9149
5月29日
14兆7755 13兆0778 1073 12兆9705   21年4月10日(危)
経済危機対策
56.8兆円程度
1月28日
7兆4286 14兆7582 14兆7446 135 21年10月23日(雇)
緊急雇用対策
小計 22兆2042 27兆8361 14兆8519 12兆9841 21年12月8日(閣)
明日の安心と成長のための緊急経済対策
24.4兆円程度
22 92兆2991 367兆0737 11月26日 5兆8604 6兆4125 4兆7779 1兆6346
〇東日本大震災(23年3月11日)
22年9月10日(閣)
新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策~円高、デフレへの緊急対応~
9.8兆円程度
22年10月8日(閣)
円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策~新成長戦略実現に向けたステップ2~
21.1兆円程度
23 92兆4116 389兆9121
5月2日
4兆0157 3兆4786 230 3兆4555   23年10月21日(閣)
円高への総合的対応策~リスクに強靱な経済の構築を目指して~
23.6 兆円程度
7月25日
1兆9987 7兆7478 5兆0906 2兆6572
11月21日
12兆1025 8兆6428 3兆0561 5兆5866
2月8日
2兆5344 3994 341 3653
小計 20兆6515 20兆2687 8兆2039 12兆0648
24 90兆3339 394兆0944 2月26日 12兆2677 6兆6995 3兆4511 3兆2484   24年11月30日(閣)
日本再生加速プログラム~経済の再生と被災地の復興のために~
2.0兆円程度
25年1月11日(閣)
日本経済再生に向けた緊急経済対策
20.2兆円程度
25 92兆6115 386兆6299  2月6日 6兆9987 5兆6866 2兆0380 3兆6485   25年12月5日(閣)
好循環実現のための経済対策
18.6兆円程度
26 95兆8823 411兆4257  2月3日 4兆9059 8兆0462 5兆5524 2兆4938
〇消費税率引上げ(5%→8%)
26年12月27日(閣)
地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策
27 96兆3419 403兆5529 1月20日 4兆7680 3兆8730 1兆3218 2兆5512  
2186兆7013 8555兆5979 189兆4042 188兆1234 93兆2098 94兆9136
注(1)
補正予算成立日の①は第1次、②は第2次、③は第3次、④は第4次の各補正予算を示す。
注(2)
主な経済対策の(経)は「経済対策閣僚会議決定」を、(産)は「産業構造転換・雇用対策本部決定」を、(安)は「『安心実現のための緊急総合対策』に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議決定」を、(新)は「新たな経済対策に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議決定」を、(危)は「『経済危機対策』に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議決定」を、(雇)は「緊急雇用対策本部決定」を、(閣)は「閣議決定」をそれぞれ示す。
注(3)
事業規模については、当該経済対策における記載をそのまま表記している。なお、当該経済対策に記載がないものについては「―」としている。
注(4)
平成元年度第1次補正予算は、国会に提出されたが、審査未了により廃案となった。
注(5)
一般会計の平成7年度第3次補正予算は、歳出修正減少額等は計上されているが、歳出追加額は計上されていない。また、一般会計の平成10年度第2次補正予算は、予算総則に係る補正のみであり、歳出追加額等は計上されていない。
注(6)
特別会計の平成10年度第2次補正予算の成立日は平成10年12月11日である。また、特別会計の平成10年度第3次補正予算は作成されていない。
注(7)
平成20年12月の「生活防衛のための緊急対策」の事業規模37兆円程度は、「生活対策」の実現のための財政措置約6兆円を除いたものである。

ア 一般会計の歳出追加額の状況

一般会計では、27年間の当初予算額計2186兆7013億余円に対して、計40回の補正予算において計189兆4042億余円の歳出追加額が計上されている。このうち歳出追加額が最も多額であったのは平成21年度第1次補正予算の14兆7755億余円であり、これは20年夏以降のリーマン・ショック等を踏まえて決定された21年4月の「経済危機対策」を受けて作成されたもので、同対策が過去最高額の事業規模(56.8兆円程度)であったことから同補正予算の歳出追加額も過去最大となっていた。また、2番目に歳出追加額が多額であった平成24年度補正予算(歳出追加額12兆2677億余円)は25年1月の「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(事業規模20.2兆円程度)を受けて、4番目に歳出追加額が多額であった平成10年度第3次補正予算(歳出追加額8兆5370億余円)は10年11月の「緊急経済対策」(事業規模17兆円超)を受けて、5番目に歳出追加額が多額であった平成11年度第2次補正予算(歳出追加額8兆1395億余円)は11年11月の「経済新生対策」(事業規模17兆円程度)を受けて、それぞれ作成されたものであるなど、大規模な経済対策の決定を受けて作成された補正予算において、歳出追加額が多額となっているものが多く見受けられた。

一方、3番目に歳出追加額が多額であった平成23年度第3次補正予算(歳出追加額12兆1025億余円)は、23年3月に発生した東日本大震災からの本格的な復興等を実現するために作成されたものであり、大規模な災害等に対応するために作成された補正予算において、歳出追加額が多額となっているものもあった。

このように、大規模な経済対策の決定や災害の後に作成された補正予算は、歳出追加額が多額となる傾向となっていた。

イ 特別会計の歳出追加額の状況

特別会計では、27年間の当初予算額計8555兆5979億余円に対して、計41回の補正予算において計188兆1234億余円の歳出追加額が計上されており、このうち国債整理基金特別会計(以下「国債特会」という。)が、計93兆2098億余円と全体の49.5%を占めている。

国債特会では、国債の償還を円滑に行うために、その償還財源の一部を調達する目的で借換国債の発行等を行っている。現年度の当初予算における借換国債の発行額は、前年度の前倒債(注2)が前年度の予算に定められた限度額まで発行されることを前提として決定されている。しかし、実際の前倒債の発行額は、前倒債を発行する年度である前年度の財政事情等に影響されることなどから、当該限度額に満たないことがある。そこで、国債特会では、毎年度の補正予算において、前年度の決算において判明した実際の前倒債の発行状況に応じて、上記の限度額に満たなかった額(以下「前倒債未発行額」という。)等を現年度の借換国債の発行額に追加するなどの所要の修正を行っている。これに伴い、現年度の国債の償還額についても、前倒債未発行額等が歳出修正減少額に計上されるとともに、これに対応して追加された現年度の借換国債を財源とする償還額等が歳出追加額に計上されている。そして、当該前年度の財政事情等によっては、前倒債未発行額が多額となって現年度における国債特会の歳出追加額も多額となるが、こうした場合には同時に歳出修正減少額も多額となる。このように、国債特会では多額の歳出追加額が計上されているが、これは国債特会における歳出予算額の実質的な規模の拡大につながっているものではない。

また、国債特会を除いた残りの特別会計(歳出追加額計94兆9136億余円)で歳出追加額が最も多額であったのは、平成21年度第1次補正予算の計12兆9705億余円であり、財政投融資特別会計(20、21両年度は財政投融資特別会計及び特定国有財産整備特別会計。13年度から19年度までは財政融資資金特別会計、産業投資特別会計産業投資勘定及び特定国有財産整備特別会計。12年度以前は資金運用部特別会計、産業投資特別会計産業投資勘定及び特定国有財産整備特別会計。以下「財投特会」という。)において、前記の「経済危機対策」に関連して、財政投融資計画の追加に伴う財政融資資金への繰入れに係る6兆1000億円や、一般会計への繰入れに係る3兆1000億円等が計上されている。2番目に歳出追加額が多額であったのは平成20年度第2次補正予算の計6兆9358億余円であり、財投特会において、20年10月の「生活対策」及び同年12月の「生活防衛のための緊急対策」に関連して一般会計で必要な財源を確保するための一般会計への繰入れに係る4兆1580億円等が計上されている。3番目に歳出追加額が多額であったのは平成10年度第1次補正予算の計6兆5963億余円であり、郵便貯金特別会計(15年4月1日に廃止)において、「総合経済対策」(平成10年4月経済対策閣僚会議決定)の一環として郵便貯金資金の市場への適切な還元等を図るための財源に充てるための金融自由化対策資金への繰入れに係る4兆円等が計上されている。

このほか、平成23年度第1次補正予算(歳出追加額計3兆4555億余円)では、財投特会において、東日本大震災による被害状況に鑑みて、被災事業者の経営安定や災害復旧等のための資金需要に対応するために必要な財政投融資計画の追加に伴う財政融資資金への繰入れに係る2兆円等が計上されている。

このように、国債特会を除いた特別会計についてみると、一般会計と同様に、大規模な経済対策の決定や災害の後に作成された補正予算の歳出追加額が多額となる傾向となっていた。

(注2)
前倒債  特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第47条第1項の規定等に基づき、翌年度における国債の償還財源の一部を調達するために、借換国債の一部について前の年度に前倒しして発行される国債

(2) 補正予算の執行状況

ア 7府省等における補正予算の執行状況

(ア) 7府省等における歳出追加額の状況

前記のとおり、補正予算は、国会の議決を経て成立した後は既定の予算と一体として執行される。また、各府省等が支出等に係る予算を執行するに際し、それが当初予算に計上された予算額に基づくものであるか、歳出追加額に基づくものであるかを区分して行うこととはなっていない。このため、補正予算により追加された予算を特定して、その執行状況を具体的に確認することは、原則としてできない。

しかし、予算の区分の一つである「目」に着目した場合、補正予算作成前の時点では「目」が設定されておらず補正予算によって新たに「目」が設定されていて、当該「目」に計上された歳出予算現額(注3)の全てが歳出追加額によるものであった場合は、当該「目」に係る予算の執行は全て歳出追加額に基づくものであることが分かる。また、この場合以外でも、実際に支出等の事務を行っている各官署において、補正予算の成立により追加的に配賦された予算により新たに契約を行って支出をしている場合等は、各官署においては、当該新たな支出等に係る予算の執行が歳出追加額に基づくものであることを判別できることがある。

そこで、7府省等における24年度から26年度まで(注4)の間の歳出追加額計28兆6147億余円(一般会計15兆9535億余円、特別会計12兆6611億余円)のうち、補正予算成立後の移替え等により7府省等以外で執行されていたり、一般会計から特別会計への繰入れなど国内部への資金移転であったりなどした計10兆9313億余円を除いた17兆6834億余円についてみたところ、図表4のとおり、計6兆0465億余円(同5兆1732億余円、同8732億余円)については、個々の事業に係る予算の執行が歳出追加額に基づくものであることを把握できた。このため、当該6兆0465億余円については、これに係る予算の執行状況を具体的に確認することができる(以下、この歳出追加額を「7府省等の補正追加額」という。)。

(注3)
歳出予算現額  当初予算額、補正予算額及び予算移替額の合計に前年度繰越額、予備費使用額及び流用等増減額を加えたもの
(注4)
国土交通省に係る歳出追加額については、平成25年度のみを対象としている。

図表4 7府省等における歳出追加額の状況

(単位:億円)
府省等 7府省等の歳出追加額 確認の対象とした額 歳出予算現額が歳出追加額のみであったもの 予算の執行が歳出追加額に基づくものであることを判別できたもの 7府省等の補正追加額  
平成
24年度
25年度 26年度
(A) (B) (A)+(B)
内閣官房 238 233 126 126 15 10 100
内閣府 2兆0848 2201 1399 780 2179 426 482 1270
財務省 16兆7109 11兆7931 26 3572 3598 1894 995 709
厚生労働省 4兆3351 1兆6702 1兆2663 2866 1兆5530 6216 7691 1622
農林水産省 1兆6435 1兆4613 3416 1兆0810 1兆4226 8190 3641 2395
経済産業省 2兆3589 1兆9332 4785 1兆4283 1兆9068 8946 4226 5896
国土交通省 1兆4573 5819 2276 3457 5733 5733
7府省等計 28兆6147 17兆6834 2兆4569 3兆5895 6兆0465 2兆5689 2兆2781 1兆1994

これら7府省等の補正追加額について、27年4月末時点における支出負担行為(支出の原因となる契約その他の行為)及び支出(実際の現金の支払)の状況をみると図表5のとおりであり、補正予算が成立した翌年度に繰り越されてから支出されているものが、24年度は5302億余円、25年度は1兆0979億余円あった。

図表5 7府省等の補正追加額に係る執行状況

(単位:億円)
年度 7府省等の補正追加額 支出負担行為済額累計   支出負担行為の減額分   累計不用額
支出負担行為済額 支出済額
現年度 翌年度 現年度 翌年度
金額 構成比 金額 構成比 金額 構成比 金額 構成比 金額 構成比
(A) (B) (C) (C)/(B) (D) (D)/(B) (E) (F)=(B)―(E) (G) (G)/(F) (H) (H)/(F) (I) (I)/(A)
平成
24年度
2兆5689 2兆5140 2兆2304 88.7% 2835 11.3% 535 2兆4604 1兆7628 71.6% 5302 21.6% 1084 4.2%
25年度 2兆2781 2兆2309 1兆3987 62.7% 8321 37.3% 444 2兆1864 1兆0559 48.3% 1兆0979 50.2% 916 4.0%
4兆8470 4兆7449 3兆6292 76.5% 1兆1156 23.5% 979 4兆6469 2兆8187 60.7% 1兆6281 35.0% 2001 4.1%
26年度 1兆1994 1兆0215 1兆0215 100.0% 1 1兆0213 4258 41.7% 180 1.5%
注(1)
支出負担行為済額累計(B)は、各年度に支出負担行為されたものを単純に合計したものであり、支出負担行為済額(F)は、契約変更等に伴う支出負担行為済額の減額分(E)を差し引いた最終の支出負担行為済額である。
注(2)
支出済額については、翌年度に繰り越されたものが更に事故繰越しされて翌々年度に支出され又は不用となったものが平成24年度に1674億余円及び25年度に326億余円あるため、現年度と翌年度の構成比を合計しても100%にならない。
注(3)
平成26年度の翌年度に該当する27年度は、27年4月末現在では支出負担行為の該当がなかった。このため、26年度の支出負担行為済額累計に対する現年度の構成比((C)/(B))は100%となっている。
注(4)
累計不用額の金額(I)は、7府省等の補正追加額(A)のうち、平成24、25両年度については翌々年度末までに支出されなかった金額(両年度の不用額の累計)であり、毎年度の歳入歳出決算における不用額とは異なるものである。また、26年度については、入札による執行減等により27年4月末までに不用額となることが確定した金額である。
注(5)
平成24年度の7府省等の補正追加額には国土交通省に係る分が含まれていないため、24、25両年度を単純に比較することはできない。
(イ) 7府省等の補正追加額に係る繰越しの状況

前記7府省等の補正追加額計6兆0465億余円は累計572目に計上されている。この572目についてみたところ、345目(歳出追加額計2兆7945億余円)は、歳出追加額の全てが前記個々の事業等に係る予算の執行状況を具体的に確認できる7府省等の補正追加額から成っており、かつ、予算の一部が翌年度に繰り越されていた。このため、当該345目は、補正予算に係る繰越しの状況を全て具体的に確認することができる。

そこで、この345目について、7府省等の補正追加額に係る繰越しの状況と、当初予算による額を含めた歳出予算現額全体に係る繰越しの状況とを対比してみると図表6のとおりであり、歳出予算現額全体では、計6兆1990億余円のうち、その42.3%に当たる計2兆6242億余円が翌年度に繰り越されていた。一方、補正予算により追加された予算である7府省等の補正追加額では、計2兆7945億余円のうち、その73.0%に当たる計2兆0388億余円が繰り越されていた。このように、補正予算に係る繰越しの状況を具体的に確認することができた345目では、歳出予算現額全体に係る翌年度繰越率(注5)よりも、補正予算により追加された予算に係る翌年度繰越率の方が高い傾向が見受けられた。

(注5)
翌年度繰越率  歳出追加額又は歳出予算現額に対する翌年度繰越額の割合

図表6 7府省等の補正追加額に係る繰越しの状況

(単位:目、億円)
区分 目数 歳出追加額又は歳出予算現額 うち翌年度繰越額 翌年度繰越率
(A) (B) (B/A)
7府省等の補正追加額 左に対応した歳出予算現額全体 7府省等の補正追加額 左に対応した歳出予算現額全体 7府省等の補正追加額 左に対応した歳出予算現額全体
平成24年度 85 8677 1兆3416 5639 6354 65.0% 47.4%
25年度 130 1兆0679 2兆2147 8109 1兆0676 75.9% 48.2%
26年度 130 8588 2兆6426 6638 9210 77.3% 34.9%
345 2兆7945 6兆1990 2兆0388 2兆6242 73.0% 42.3%

イ 事業内容別の執行状況等

(ア) 事業内容別の執行状況

7府省等の補正追加額のうち、翌年度(27年度)の執行状況が把握できない26年度を除いた24、25両年度の分について、事業ごとに「工事」「役務」「基金」等の事業内容別に区分して支出負担行為及び支出の状況をみると、図表7のとおり、基金、独立行政法人運営費交付金(以下「運営費交付金」という。)及び出資金(以下、これらを合わせて「基金等」という。)では、現年度中に支出負担行為され支出されていたものが9割以上となっていた。一方、工事や物品購入等では、翌年度中に支出負担行為され支出されていたものが8割以上となっていた。これは、基金等については、国が基金を管理する法人、独立行政法人等に資金を交付等することで国としての予算の執行が完了することになる一方、工事や物品購入等については、契約の締結や工事の完了等までに相当の時間を要するため、支出負担行為又は支出までに時間を要することなどによる。

また、「補助金」については、現年度中に支出負担行為されていたものが約6割であり、現年度中に支出されていたものは約3割となっていた。これは、補助金には、給付金や負担金のように補助金の交付決定(支出負担行為)又は交付(支出)までに時間を要しないものもあれば、工事に対する補助のように、これらに時間を要するものもあることなどによる。

図表7 7府省等の補正追加額に係る事業内容別の執行状況

(単位:件、億円)
事業内容 件数 支出負担行為済額累計   支出負担行為の減額分 支出負担行為済額  
支出済額
現年度 翌年度 現年度 翌年度
金額 構成比 金額 構成比 金額 構成比 金額 構成比
(A) (B) (B)/(A) (C) (C)/(A) (D) (E)=(A)―(D) (F) (F)/(E) (G) (G)/(E)
工事 3,464 3450 599 17.4% 2851 82.6% 17 3432 186 5.4% 3205 93.4%
役務 1,171 763 463 60.7% 300 39.3% 14 748 20 2.8% 639 85.3%
製造 38 211 133 63.3% 77 36.7% 211 133 63.3% 64 30.5%
物品購入等 34 159 0 0.4% 158 99.6% 159 0 0.4% 158 99.6%
補助金等 4,044 1兆7564 1兆0898 62.1% 6665 37.9% 943 1兆6620 4652 28.0% 1兆0992 66.1%
基金等 基金 798 2兆1930 2兆0906 95.3% 1024 4.7% 3 2兆1927 1兆9903 90.8% 1142 5.2%
運営費交付金 11 317 317 100.0% 317 317 100.0%
出資金 12 2720 2720 100.0% 2720 2720 100.0%
その他 56 330 251 76.0% 79 24.0% 330 251 76.1% 79 23.9%
9,628 4兆7449 3兆6292 76.5% 1兆1156 23.5% 979 4兆6469 2兆8187 60.7% 1兆6281 35.0%
注(1)
事業内容の区分は、7府省等における分類に従った。なお、補助金等により基金等に資金を交付しているものは、基金等に分類されている。
注(2)
支出負担行為済額累計(A)は、各年度に支出負担行為されたものを単純に合計したものであり、支出負担行為済額(E)は、契約変更等に伴う支出負担行為済額の減額分(D)を差し引いた最終の支出負担行為済額である。
注(3)
支出済額については、翌年度に繰り越されたものが更に事故繰越しされて翌々年度に支出され又は不用となったものがあるため、現年度と翌年度の構成比を合計しても100%にならないものがある。
(イ) 基金等の執行状況

基金は、単年度で完結しない特定の目的を持つ事業を実施する場合に設置される。そして、上記のとおり、基金等については、国が基金を管理する法人等に資金を交付することで国としての予算の執行が完了し、その後は、法人等が基金を取り崩すなどして基金等の目的に沿った事業を実施していくことになる。そこで、基金等における補正予算に係る事業の執行状況を確認するために、7府省等の補正追加額により資金の交付を受けた基金等であって、当該資金の交付により設置、積み増し又は充当された基金を取り崩して事業を実施したり、当該交付された運営費交付金又は出資された出資金により事業を実施したりしている基金等のうち、交付された資金の額が多い61基金等を抽出し、これに係る事業の実施状況を確認した。

61基金等に対する24、25両年度の7府省等の補正追加額による資金の交付は、計72件、1兆2570億余円であった。そして、これに事業実施の財源が区分できない27基金等(33件)に係る7府省等の補正追加額による資金の交付があった時点の残高(基金の取崩し等をすることの決定(基金等の事業の目的に沿った事業を行うための契約その他の行為の決定。以下「取崩等決定」という。)が、当該7府省等の補正追加額による資金交付の時点で既になされていたものを除く。)計2451億余円を加えた、合計1兆5021億余円についてみたところ、図表8のとおり、取崩等決定がなされていた額は、補正予算が成立した現年度末までに686億余円(上記の1兆5021億余円に占める割合(以下「実施率」という。)4.6%)、翌年度末までに9043億余円(同60.2%)となっていた。また、基金等から支出された額は、現年度末までに74億余円(同0.5%)、翌年度末までに4870億余円(同32.4%)となっていた。

このように、基金等は単年度では完結しない事業を実施する場合に設置等されるものであることを反映して、7府省等の補正追加額により資金の交付を受けた基金等においては、補正予算が成立した現年度中に取崩等決定がなされたり支出されたりしているものはほとんどなく、取崩等決定がなされていた額及び支出済額に係る現年度末までの実施率はおおむね1割未満となっていた。

図表8 基金等における事業執行状況

(単位:件、百万円)
区分 府省等 基金等 基金を管理する法人等 基金等数 年度 件数 7府省等の補正追加額による交付額 (A)及び交付時点の基金等の残高 取崩等決定がなされていた額 支出済額
現年度末まで 実施率 翌年度末まで 実施率 現年度末まで 実施率 翌年度末まで 実施率
(A) (B) (C) (C)/(B) (D) (D)/(B) (E) (E)/(B) (F) (F)/(B)
基金 内閣府 地域自殺対策緊急強化基金 5都道府県 5
平成
24、25
6 829 1,251 4 0.3% 877 70.1% 2 0.2% 116 9.3%
地方消費者行政活性化基金 4都府県 4 24、25 6 1,514 3,091 1,767 57.2% 1,345 43.5%
厚生労働省 後期高齢者医療臨時特例基金 3後期高齢者医療広域連合 3 24 3 16,709 19,556 15,236 77.9% 15,236 77.9%
健保高齢者医療制度円滑導入基金 社会保険診療報酬支払基金 1 24 1 26,693 29,553 25,661 86.8% 25,661 86.8%
国保高齢者医療制度円滑導入基金 3国民健康保険団体連合会 3 24 3 40,883 51,767 42,207 81.5% 42,207 81.5%
緊急雇用創出事業臨時特例基金 5都道府県 9 24、25 9 53,075 58,161 3,174 5.5% 38,666 66.5% 13,103 22.5%
緊急人材育成・就職支援基金 中央職業能力開発協会 1 24、25 2 80,641 176,572 17,708 10.0% 17,334 9.8%
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給基金 社会保険診療報酬支払基金 1 25 1 49,835 91,363 73,729 80.7% 73,729 80.7%
農林水産省 燃料価格高騰緊急対策基金 一般社団法人日本施設園芸協会 1 24 1 42,530 42,530 1 0.0% 11,208 26.4% 4,177 9.8%
森林整備加速化・林業再生基金 4道県 4 24、25 6 27,977 27,977 25,151 89.9% 20,692 74.0%
木材利用ポイント基金 公益社団法人国土緑化推進機構 1 24 1 41,000 41,000 39,700 96.8% 40,919 99.8% 5,536 13.5%
農業構造改革支援基金等 4県等 4 25 4 11,654 11,654 0 0.0% 4,654 39.9% 0 0.0% 1,846 15.8%
攻めの農業実践緊急対策基金 3農業再生協議会 3 25 3 7,240 7,240 3,143 43.4% 737 10.2%
経済産業省 ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援事業基金 全国中小企業団体中央会 1 24、25 2 240,688 300,317 13,828 4.6% 244,882 81.5% 177,110 59.0%
円高・エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進基金 一般社団法人低炭素投資促進機構 1 24 1 200,000 200,000 200,000 100.0% 1,400 0.7%
認定支援機関による経営改善計画策定支援補助金により造成された基金 独立行政法人中小企業基盤整備機構 1 24 1 40,500 40,500 2,449 6.0% 1,087 2.7%
商店街まちづくり基金 全国商店街振興組合連合会 1 25 1 17,197 21,303 1,802 8.5% 21,303 100.0% 12,327 57.9%
廃炉・汚染水対策基金 特定非営利活動法人地球と未来の環境基金 1 25 1 21,494 21,494 947 4.4% 18,666 86.8% 2,398 11.2%
国土交通省 住宅市場安定化対策給付基金(すまい給付金) 一般財団法人住宅金融普及協会 1 25 1 160,000 160,000 379 0.2% 14,621 9.1% 11,757 7.3%
小計 46 53 1,080,465 1,305,336 59,838 4.6% 802,853 61.5% 3 0.0% 427,807 32.8%
運営費交付金 内閣府 独立行政法人国民生活センター運営費交付金 独立行政法人国民生活センター 1 25 1 1,499 1,499 143 9.6% 1,499 100.0% 52 3.5%
厚生労働省 独立行政法人医薬基盤研究所運営費交付金 独立行政法人医薬基盤研究所 1 24 1 1,202 1,202 1,177 98.0% 1,177 98.0%
農林水産省 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構農業技術研究業務勘定運営費交付金 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(農業技術研究業務勘定) 1 24、25 2 4,000 4,000 5 0.1% 1,468 36.7% 5 0.1% 1,419 35.5%
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構基礎的研究業務勘定運営費交付金 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(基礎的研究業務勘定) 1 25 1 8,000 8,000 2 0.0% 6,350 79.4% 2 0.0% 4,159 52.0%
経済産業省 独立行政法人日本貿易振興機構運営費交付金 独立行政法人日本貿易振興機構 2 24、25 4 5,695 5,695 2,472 43.4% 1,938 34.0%
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構一般勘定運営費交付金 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(一般勘定) 1 25 1 10,200 10,200 2 0.0% 8,362 82.0% 2 0.0% 8,349 81.9%
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構石油天然ガス等勘定運営費交付金 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(石油天然ガス等勘定) 1 25 1 1,200 1,200 188 15.7% 1,133 94.5% 1,133 94.5%
小計 8 11 31,796 31,796 341 1.1% 22,464 70.6% 9 0.0% 18,232 57.3%
出資金 内閣府 預金保険機構出資金 預金保険機構 1 24 1 3,000 3,019 2,959 98.0% 2,963 98.2% 2,959 98.0% 2,963 98.2%
沖縄振興開発金融公庫出資金 沖縄振興開発金融公庫 1 24 1 900 1,112 240 21.6% 145 13.0%
農林水産省 株式会社日本政策金融公庫出資金 株式会社日本政策金融公庫 1 25 1 2,000 2,000 1,380 69.0% 34 1.7%
株式会社農林漁業成長産業化支援機構出資金 株式会社農林漁業成長産業化支援機構 1 24 1 10,000 30,000 1,000 3.3% 30,000 100.0% 309 1.0%
経済産業省 独立行政法人日本原子力研究開発機構出資金 独立行政法人日本原子力研究開発機構 1 24 1 85,000 85,000 586 0.7% 3 0.0%
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構出資金 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 1 24、25 2 38,200 38,200 4,500 11.8% 38,199 100.0% 4,500 11.8% 37,311 97.7%
国土交通省 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構出資金 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構 1 25 1 5,679 5,679 1 0.0% 5,679 100.0% 201 3.5%
小計 7 8 144,779 165,010 8,460 5.1% 79,048 47.9% 7,459 4.5% 40,969 24.8%
61 72 1,257,041 1,502,143 68,641 4.6% 904,366 60.2% 7,472 0.5% 487,008 32.4%
注(1)
複数の都道府県等に資金が交付されていたり、複数の年度においてそれぞれ資金が交付されていたりしている基金等は、それらを合計して表示している。
注(2)
「(A)及び交付時点の基金等の残高(B)」は、基金等において事業実施の財源を区分できた34基金等については「7府省等の補正追加額による交付額(A)」をそのまま計上し、それ以外の27基金等については交付時点において支出することが既に見込まれているものを除いた基金等の残高に「7府省等の補正追加額による交付額(A)」を追加したものを計上している。
注(3)
平成27年4月に独立行政法人医薬基盤研究所は国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所に、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構は国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構に、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構に、独立行政法人日本原子力研究開発機構は国立研究開発法人日本原子力研究開発機構にそれぞれ法人名を変更している。

(3) 補正予算における財源の確保

前記のとおり、補正予算において歳出の追加を行うためには、当該年度中の予算においてその財源を確保する必要がある。また、歳入が予算を下回ることが見込まれた場合にも、その減少分を補うための財源を確保する必要がある。補正予算において財源を確保するには、新たな歳入を見込む方法(歳入予算の追加)のほか、既定の予算に計上されていた経費を修正減少させて、当該経費に充てられていた財源を用いる方法(歳出予算の修正減少)がある。

ア 一般会計の補正予算における財源の状況

元年度から27年度までの間の一般会計の補正予算において確保された財源の額の推移をみると図表9のとおりであり、10、21、23、24各年度のように、大規模な経済対策の決定や災害の後に作成されて多額の歳出追加額が計上された年度は、確保された財源の額も多額になっている。そして、確保された財源の額は、ほとんどの年度において、歳入追加額の方が歳出修正減少額よりも多くなっている。

図表9 一般会計の補正予算において確保された財源の額の推移

(単位:億円)
区分 平成元年度 2年度 3年度 4年度 5年度 6年度 7年度 8年度 9年度 10年度
歳入追加額 6兆5476 5兆4675 3兆1300 5兆1706 10兆7070 3兆2110 10兆1304 3兆3463 3兆1555 18兆7395
うち税収 3兆2170 3兆0500 1兆0180 7340 4340 200
うち前年度剰余金受入 2兆3363 4681 1兆4025 1兆5860 6076 9041 5929
うち公債金 6500 1兆7188 1兆3870 2兆2560 8兆0440 2兆8470 9兆4340 1兆6760 1兆7510 18兆4430
その他の歳入追加額 3443 2305 3405 3106 2兆6630 3640 887 321 3776 2765
歳出修正減少額 7604 2767 1兆4625 3兆2262 5兆9305 2兆0050 1兆7398 9521 1兆5650 3兆3315
うち国債費 4411 0 5054 1兆2715 3兆7507 7626 3921 6054 7648 4646
うち地方交付税交付金 5788 1兆6224 1兆7139 7190 9510 3708 2兆4369
財源の額計 7兆3081 5兆7443 4兆5926 8兆3969 16兆6375 5兆2161 11兆8702 4兆2984 4兆7206 22兆0711
 
区分 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度
歳入追加額 8兆6666 5兆1571 4兆8274 5兆0279 8569 7兆0039 7兆1289 7兆2701 2兆6920 13兆6238
うち税収 630 1兆6100 2兆2940 3兆0350 4兆6430
うち前年度剰余金受入 9586 1兆5102 4589 3874 1兆4909 1兆6294 1兆5040 8286 6319
うち公債金 7兆5660 1兆9880 1兆6820 4兆9680 2730 2兆2040 1兆5820 9310 8630 8兆4520
その他の歳入追加額 790 489 2兆6865 599 1965 1兆0149 8824 1921 1兆0004 4兆5399
歳出修正減少額 1兆5005 1兆0333 1兆9345 2兆0658 1兆2716 9757 1兆3696 1兆1371 1兆5998 4兆0898
うち国債費 4943 5196 8868 6113 7189 7233 1兆0305 7759 9600 1兆0515
うち地方交付税交付金 4386 3771 8519 2992 2兆2730
財源の額計 10兆1672 6兆1905 6兆7620 7兆0938 2兆1286 7兆9797 8兆4986 8兆4073 4兆2918 17兆7136
 
区分 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 構成比  
歳入追加額 23兆4467 5兆9619 17兆5783 10兆6529 6兆8173 4兆4501 4兆6862 205兆4547 77.3%
うち税収 1200 2兆3900 1兆2860 3680 2兆3440 1兆7250 1兆8990 30兆2500 11.4%  
22.9%
うち前年度剰余金受入 2兆2004 2兆0106 1兆9870 2兆8380 2兆0352 2兆2135 30兆5830 11.5%
 
うち公債金 20兆1610 1兆2500 13兆8280 8兆1041 1兆2390 5750 4760 124兆3490 46.8%  
その他の歳入追加額 3兆1657 1214 4536 1937 3962 1148 976 20兆2727 7.6%  
歳出修正減少額 8兆1940 1兆4312 5兆5526 2兆0650 1兆5333 1兆7879 1兆4467 60兆2396 22.7%  
うち国債費 1兆0701 1兆2292 1兆2922 1兆3971 1兆2754 1兆5141 1兆3342 25兆8437 9.7%  
うち地方交付税交付金 2兆9514 15兆5846 5.9%  
財源の額計 31兆6407 7兆3931 23兆1310 12兆7179 8兆3507 6兆2381 6兆1329 265兆6944 100.0%  

歳入追加額のうち税収は、その年度の税収(租税及印紙収入)が既定の歳入予算額を上回ることが見込まれた場合におけるその増加分である。また、前年度剰余金受入は、前年度の歳入歳出決算上生じた剰余金のうち使途が特定されている翌年度繰越事業に係る財源等を除いた額(純剰余金)である。そして、新たな国の債務を生じさせるものではないこれらの税収や前年度剰余金受入が27年間の財源額全体に占める割合は22.9%となっている。

これらの税収や前年度剰余金受入のほか、その他の収入を加えても補正予算の歳出追加額を賄えなかった場合等には、「やむを得ざる措置」(第174回国会における財務大臣の財政演説(平成22年1月18日)等)等として国債の追加発行である公債金により財源を確保しており、その額は、27年間で計124兆3490億余円(財源の額全体の46.8%)と多額となっていて、特に歳出追加額の規模が大きかった10、21、23各年度には10兆円を超えており、新たな国の債務が生じていた。

なお、前記の純剰余金は、財政法第6条の規定によれば、他の法律の規定がない限りその2分の1を下らない金額は公債又は借入金の償還財源に充てなければならないとされているが、3、4、7、12、13、15、23各年度においては、純剰余金の処理に関する特例を法律で定めることにより、その全額を補正予算において追加された経費の財源に充てている。これは、税収等では補正予算において必要な財源を賄えなかった場合には、将来への借金である公債金によってその財源を賄う必要が生じてくるところ、これを極力抑制するために、純剰余金の全額を補正予算の財源として活用することとしたものであるとされている。

一方、歳出修正減少額は計60兆2396億余円と財源の額全体の22.7%を占めている。このうち国債費が計25兆8437億余円と歳出修正減少額の約4割(財源の額全体の9.7%)を占めているが、これは、金利の低下等に伴い公債利子等の支払が既定の歳出予算額を下回ったことなどによるもので、特に20年度以降は毎年度1兆円以上の歳出修正減少額が計上されている。次いで、地方交付税交付金が計15兆5846億余円と同約3割(同5.9%)を占めているが、これは、特別会計に関する法律第24条等の規定に基づき、国税の一定割合の額等を交付税及び譲与税配付金特別会計(以下「交付税特会」という。)に繰り入れるとされているものが、税収の減少に伴って減少したことによるもので、税収に多額の歳入修正減少額が計上された21年度(税収の歳入修正減少額9兆3620億円)や10年度(同8兆3770億円)には、地方交付税交付金の歳出修正減少額もそれぞれ2兆9514億余円、2兆4369億余円と多額となっている。

イ 特別会計の補正予算における財源の状況

元年度から27年度までの間の特別会計の補正予算において確保された財源の額の推移をみると図表10のとおりであり、27年間の財源の額は計372兆9301億余円となっていて、国債特会及び交付税特会の2特別会計で全体の70.1%を占めている。

図表10 特別会計の補正予算において確保された財源の額の推移

(単位:億円)
特別会計 平成元年度 2年度 3年度 4年度 5年度 6年度 7年度 8年度 9年度 10年度
国債特会 5兆8604 2兆7370 1兆2665 2兆8125 8兆2681 2兆1977 1兆4231 1兆6856 1兆0220 4兆4695
交付税特会 1兆5958 8512 6272 1兆6224 1兆6675 7630 9586 4519 2兆9669
その他の特別会計 1兆9753 1兆3553 9509 2兆0745 10兆0578 1兆8701 3兆3146 1兆2336 9078 9兆0914
9兆4316 4兆9436 2兆8447 6兆5095 19兆9935 4兆8310 5兆6964 3兆3712 1兆9298 16兆5279
 
特別会計 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度
国債特会 7兆2860 6兆6290 4兆0585 2兆2247 6兆3062 12兆8616 13兆4419 16兆5657 8兆4794 12兆6167
交付税特会 4387 8985 3772 8519 1兆1686 1兆3516 2兆1425 8861 2兆3488
その他の特別会計 2兆7154 2兆1137 5兆3191 2兆2285 7475 2兆3321 5兆4404 3929 9627 10兆7711
10兆4402 9兆6414 9兆7549 5兆3052 7兆0537 16兆3625 20兆2340 19兆1012 10兆3282 25兆7367
 
特別会計 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 構成比  
国債特会 30兆9802 18兆1346 14兆8441 8兆6287 13兆4506 14兆1505 5兆4530 227兆8552 61.1%
交付税特会 3兆1421 1兆3126 2兆7134 4120 1兆4682 1兆1600 1兆5326 33兆7104 9.0%
その他の特別会計 14兆1573 7270 14兆6063 6兆7754 3兆7714 2兆7710 2兆6998 111兆3643 29.9%
48兆2797 20兆1743 32兆1639 15兆8162 18兆6903 18兆0816 9兆6856 372兆9301 100.0%

国債特会では、計227兆8552億余円(財源の額全体の61.1%)の財源の額が確保されている。国債特会では、前記のとおり、毎年度の補正予算において、前年度の決算において判明した実際の前倒債の発行状況に応じて現年度の借換国債の発行額を追加するなどの所要の修正を行っている。これに伴い、現年度の財源についても、前年度の前倒債未発行額の分が現年度の歳入修正減少額に計上されるとともに、これに見合う額が現年度に新たに発行される借換国債の分として歳入追加額に計上されるなどしている。また、前記のとおり、国債の償還額についても、前倒債を財源とする額等が歳出修正減少額に計上されるとともに、これに見合う現年度の借換国債を財源とする額が歳出追加額に計上されるなどしている。そして、前年度の財政事情等によっては前倒債未発行額が多額となって、現年度の国債特会の歳入追加額や歳出修正減少額も多額となるが、こうした場合には、同時に歳入修正減少額や歳出追加額も多額となる。このように、国債特会では多額の歳入追加額や歳出修正減少額が計上されて、両者から成る財源の額も多額となっているが、これは国債特会の実質的な財源の確保につながっているものではない。

交付税特会では、計33兆7104億余円(財源の額全体の9.0%)の財源の額が確保されており、前記のとおり、国税の一定割合の額等を一般会計から交付税特会に繰り入れるとされていることから、一般会計において税収が増額となった際には、交付税特会に繰り入れられる額も増加し、交付税特会の歳入追加額も増額されている。一方、一般会計において税収が減額になった際には、交付税特会の歳入が修正減少されることになるが、別途これを補填するための財政措置が講じられることがあり、これに伴って交付税特会の歳入も別途追加されることがある。そして、交付税特会において確保された財源の額が最も多額であった21年度は、一般会計における税収の減額に伴って上記国税の一定割合の額として交付税特会に繰り入れられる額も2兆9514億余円減少したが、一般会計において別途同額を措置して交付税特会に繰り入れて、交付税特会においても同額を歳入追加額に計上するなどしたことから、確保された財源の額も3兆1421億余円と多額となっている。

ウ 補正予算における財源としての公債金の状況

前記のとおり、一般会計においては、税収等では補正予算の歳出追加額等を賄えなかった場合等に、公債金により財源を確保している。そこで、各年度の歳入予算額における公債金の状況をみると図表11のとおりであり、元年度から27年度までの27年度間のうち17か年度において、公債金の額は当初予算よりも補正予算による変更後の予算(以下「補正後予算」という。)において増加していて、補正予算による増加額が最も大きかった21年度は、公債金の額は20兆1610億円増の53兆4550億円となっていた。そして、これにより同年度の公債依存度は、当初予算における37.6%から52.1%となり状況は悪化した。このように、当初予算よりも補正後予算の方が公債依存度が上昇する年度が多い状況となっていて、21年度のほか、23、24両年度においても公債依存度が50%を超える状況となっていた。

図表11 公債金の状況

(単位:億円)
区分 平成元年度 2年度 3年度 4年度 5年度 6年度 7年度 8年度 9年度 10年度
一般会計当初予算額 60兆4141 66兆2367 70兆3474 72兆2180 72兆3548 73兆0816 70兆9871 75兆1049 77兆3900 77兆6691
  うち公債金 A 7兆1110 5兆5931 5兆3430 7兆2800 8兆1300 13兆6430 12兆5980 21兆0290 16兆7070 15兆5570
一般会計補正後予算額 66兆3118 69兆6511 70兆6134 71兆4896 77兆4374 73兆4305 78兆0340 77兆7712 78兆5331 87兆9914
  うち公債金 B 7兆1110 7兆3120 6兆7300 9兆5360 16兆1740 16兆4900 22兆0320 22兆3680 18兆4580 34兆0000
補正予算による公債金の増▲減
(B―A)
1兆7188 1兆3870 2兆2560 8兆0440 2兆8470 9兆4340 1兆3390 1兆7510 18兆4430
  うち建設国債 6500 7500 1兆3870 2兆2560 8兆0440 1兆8365 6兆7532 1兆6760 7030 8兆6230
うち特例国債 ▲6500 1兆0105 2兆6808 ▲3370 1兆0480 9兆8200
うち臨時特別公債、復興債、年金特例公債 9688
公債依存度(当初予算) C 11.8% 8.4% 7.6% 10.1% 11.2% 18.7% 17.7% 28.0% 21.6% 20.0%
公債依存度(補正後予算) D 10.7% 10.5% 9.5% 13.3% 20.9% 22.5% 28.2% 28.8% 23.5% 38.6%
公債依存度の差(ポイント)
(D―C)
▲1.1 2.1 1.9 3.2 9.7 3.8 10.5 0.8 1.9 18.6
 
区分 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度
一般会計当初予算額 81兆8601 84兆9870 82兆6523 81兆2299 81兆7890 82兆1109 82兆1829 79兆6860 82兆9088 83兆0613
  うち公債金 A 31兆0500 32兆6100 28兆3180 30兆0000 36兆4450 36兆5900 34兆3900 29兆9730 25兆4320 25兆3480
一般会計補正後予算額 89兆0188 89兆7702 86兆3525 83兆6889 81兆9395 86兆8787 86兆7048 83兆4583 83兆8041 88兆9112
  うち公債金 B 38兆6160 34兆5980 30兆0000 34兆9680 36兆4450 36兆5900 33兆4690 27兆4700 25兆4320 33兆1680
補正予算による公債金の増▲減
(B―A)
7兆5660 1兆9880 1兆6820 4兆9680 ▲9210 ▲2兆5030 7兆8200
  うち建設国債 3兆8260 1兆9880 3160 2兆3580 2730 2兆2040 1兆5820 9310 8630 1兆7630
うち特例国債 3兆7400 1兆3660 2兆6100 ▲2730 ▲2兆2040 ▲2兆5030 ▲3兆4340 ▲8630 6兆0570
うち臨時特別公債、復興債、年金特例公債
公債依存度(当初予算) C 37.9% 38.4% 34.3% 36.9% 44.6% 44.6% 41.8% 37.6% 30.7% 30.5%
公債依存度(補正後予算) D 43.4% 38.5% 34.7% 41.8% 44.5% 42.1% 38.6% 32.9% 30.3% 37.3%
公債依存度の差(ポイント)
(D―C)
5.5 0.1 0.4 4.9 ▲0.1 ▲2.5 ▲3.2 ▲4.7 ▲0.4 6.8
 
区分 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度  
一般会計当初予算額 88兆5480 92兆2991 92兆4116 90兆3339 92兆6115 95兆8823 96兆3419 2186兆7013
  うち公債金 A 33兆2940 44兆3030 44兆2980 44兆2440 45兆4620 41兆2500 36兆8630 712兆8612
一般会計補正後予算額 102兆5581 96兆7283 107兆5104 100兆5366 98兆0769 99兆0003 99兆6632 2315兆8658
  うち公債金 B 53兆4550 44兆3030 55兆8480 52兆0491 45兆4620 40兆4929 36兆4183 818兆9954
補正予算による公債金の増▲減
(B―A)
20兆1610 11兆5500 7兆8051 ▲7571 ▲4447 106兆1342
  うち建設国債 7兆4320 1兆2500 2兆2780 5兆5200 1兆2390 5750 4760 67兆5527
うち特例国債 12兆7290 ▲1兆2500 ▲2兆2780 ▲2990 ▲1兆2390 ▲1兆3321 ▲9207 23兆4785
うち臨時特別公債、復興債、年金特例公債 11兆5500 2兆5841 15兆1030
公債依存度(当初予算) C 37.6% 48.0% 47.9% 49.0% 49.1% 43.0% 38.3% 32.6%
公債依存度(補正後予算) D 52.1% 45.8% 51.9% 51.8% 46.4% 40.9% 36.5% 35.4%
公債依存度の差(ポイント)
(D―C)
14.5 ▲2.2 4.0 2.8 ▲2.7 ▲2.1 ▲1.8 2.8
(注)
公債依存度は、当初予算にあっては一般会計当初予算額に占める、補正後予算にあっては同補正後予算額に占めるそれぞれの建設国債、特例国債、臨時特別公債、復興債及び年金特例公債に係る公債金の額により算出している。

公債金の区分別にみると、補正予算によって公債金の総額が減少又は変わらなかった年度であっても建設国債(注6)の額は毎年度増加していた。これは、前記のとおり、税収等では歳出追加額を賄えずその財源を公債金によって確保している中で、補正予算によって建設国債を充てることができる公共事業費等が増加した場合等には、建設国債を発行して当該公共事業費等の財源を賄っていることなどによるとされている。

しかし、建設国債を発行してもなお補正予算の財源が不足する場合には、特例国債(注7)の発行を増加させることにより財源を確保しており、特に、歳出追加額が最も多額であった21年度は、特例国債の増加額も12兆7290億円と多額となっていた。そして、このように当初予算よりも補正後予算の方が特例国債の額が増加していたのは、計9か年度となっていた。

さらに、2、23、24各年度のように、臨時特別公債(注8)や復興債、年金特例公債(注9)といった、いわゆるつなぎ公債を発行して補正予算の財源を確保していることもあった。

(注6)
建設国債  財政法第4条第1項ただし書の規定に基づき公共事業費、出資金及び貸付金の財源に充てるために、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で一般会計において発行される公債
(注7)
特例国債  公債の発行の特例に関する各法律の規定に基づき税収等に加えて建設国債を発行してもなお不足する歳出の財源を調達するために、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で一般会計において発行される公債
(注8)
臨時特別公債  「湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成2年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律」(平成3年法律第2号)に基づき、湾岸平和基金への資金拠出に必要な財源となる税収等が入るまでのつなぎとして、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で一般会計において発行される公債
(注9)
年金特例公債  「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律」(平成24年法律第101号)に基づき、基礎年金の国庫負担の追加に伴い見込まれる費用の財源となる税収が入るまでのつなぎとして、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で一般会計において発行される公債

4 本院の所見

財政法第29条の規定によれば、内閣は、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出等に必要な予算の追加を行う場合等に限り、補正予算を作成することができるとされている。一般会計では元年度から27年度までの間に計42回の補正予算が作成されており、歳出追加額は計189兆4042億余円となっている。そして、大規模な経済対策の決定や災害の後に作成された補正予算は、歳出追加額が多額となる傾向となっていた。

24年度から26年度までの間における7府省等の補正追加額についてみると、補正予算に係る繰越しの状況を具体的に確認できた範囲では、補正予算により追加された予算については翌年度繰越率が高い傾向が見受けられた。また、事業内容別にみると、工事や物品購入等では、翌年度中に支出負担行為され支出されていたものが8割以上となっていた。一方、基金等では、現年度中に支出負担行為され支出されていたものが9割以上となっていた。そして、基金等が単年度では完結しない事業を実施する場合に設置等されるものであることを反映して、補正予算が成立した現年度中に基金等から取崩等決定がなされたり支出されたりしたものはほとんどなく、その実施率はおおむね1割未満となっていた。

一般会計の補正予算における財源の確保についてみると、税収及び前年度剰余金受入の占める割合は22.9%であり、確保された財源の46.8%は国債の追加発行である公債金によっていて、新たな国の債務が生じていた。そして、これに伴い、当初予算よりも補正後予算の方が公債依存度が上昇する年度が多い状況となっていて、21、23、24各年度には公債依存度が50%を超える状況となっていた。

したがって、補正予算における財源46.8%が公債金によって確保されている中、大規模な経済対策の決定や災害の後に作成された補正予算は歳出追加額が多額となる傾向であり、補正予算に計上された予算の翌年度繰越率が高い傾向であることなどを踏まえて、今後とも、補正予算に計上された予算の適切かつ効率的、効果的な執行に努める必要がある。

本院としては、以上のような補正予算の傾向や財政への影響に鑑み、その執行状況等について引き続き注視していくこととする。