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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成28年5月|

日本郵政グループの経営状況等について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1)検査の観点及び着眼点

我が国の郵政事業は、長期に及ぶ郵政省による運営の後、中央省庁の再編、公社化、民営化を経て、27年11月に、日本郵政、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命の株式の上場に至っている。また、この間、法令、制度等の改正に伴って組織の再編等が行われるとともに、日本郵政グループの各業務は関係法令による各種の規制の下で運営されている。

会計検査院は、前記のとおり、これまで個別の事業の経営等を検査した結果について報告を行ってきたところである。一方、日本郵政グループは、今後の株式売却に向けて日本郵政グループ全体として企業価値を維持向上させることなどにより、復興財源の確保に貢献すること、また、日本郵政及び日本郵便は、情報通信手段の多様化等によって国民の生活様式等が変化する中でユニバーサルサービスを提供すること、郵便局ネットワークを維持することなどが求められている。

そこで、会計検査院は、日本郵政グループの経営状況等について、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査した。

  • ア 郵政省から現在の日本郵政グループに至るまでの間に、郵政事業の運営に係る組織形態、制度等はどのように変遷しているか
  • イ 上記変遷の中で日本郵政グループの損益等の推移及び現状はどのようになっているか、また、日本郵政グループ内における取引等の状況はどのようになっているか
  • ウ 各種の規制の下で、郵便・物流事業、金融窓口事業、銀行業、生命保険業等の各業務の実績等の推移及び現状はどのようになっているか
  • エ 日本郵政及び金融2社の株式売却に係る手続等並びに国が保有する日本郵政の株式売却収入の復興財源への充当はどのように行われているか

(2)検査の対象及び方法

会計検査院は、総務本省、財務本省、郵貯簡保機構並びに日本郵政の本社、4逓信病院及び3かんぽの宿等、日本郵便の本社、13支社及び151郵便局、ゆうちょ銀行の本社、13エリア本部、92支店等及び18貯金事務センター等並びにかんぽ生命の本社、13エリア本部、36支店及び7サービスセンター等において会計実地検査を行った。このうち、総務省においては19年度から26年度までの間の日本郵政及び日本郵便のユニバーサルサービスに対する監督の状況等について、財務省においては27年11月に実施された日本郵政の株式売却の実施状況等について説明を聴取するなどして検査した。また、郵貯簡保機構並びに日本郵政、日本郵便、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命においては、14年度から26年度までの間の郵政事業の業務及び財務の状況等について、財務諸表等のほか、関係法令等に基づいて作成された各種報告書等により、その内容を分析するなどして検査した。