(1件 不当と認める国庫補助金 9,834,712円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(26) | 内閣府本府 | 一般財団法人ニューメディア開発協会 | 復興支援型地域社会雇用創造事業交付金 | 23~25 | 2,867,807 | 2,867,807 | 9,834 | 9,834 |
この交付金事業は、東日本大震災からの復興を図り、地域社会における起業と雇用を創造することを目的として、内閣府本府が社会的企業支援基金(以下「基金」という。)の管理及び運用の方法並びに業務の実施体制を構築して円滑に事業を実施できる事業者(以下「基金設置法人」という。)に対して、復興支援型地域社会雇用創造事業交付金(以下「交付金」という。)を交付するものである。そして、基金設置法人は、復興支援型社会的企業支援基金実施要領(平成23年府政経運第411号)に基づき、被災地等における地域の課題を解決するための新規性のある事業を継続して行う社会的企業の起業を支援する事業や社会的企業を担う人材の育成を支援する事業(以下「雇用創造事業」という。)を行う者として内閣府本府に置かれる選定・評価委員会により選定された事業者(以下「選定事業者」という。)に対して、基金を取り崩して資金の交付を行うとともに、選定事業者に対する指導監督等を行っている(以下、基金設置法人が同要領に基づき行う業務を「基金管理等業務」という。)。そして、選定事業者は、基金設置法人から交付された資金を活用して雇用創造事業を行っている。
内閣府本府により基金設置法人として選定された一般財団法人ニューメディア開発協会(以下「協会」という。)は、内閣府本府の承認を受けるなどして復興支援型地域社会雇用創造事業実施要領(以下「事業実施要領」という。)等を制定し、基金から取り崩して使用できる経費や事務処理の方法等を定めている。事業実施要領等によれば、基金から取り崩して使用できる経費は、選定事業者が雇用創造事業を実施するために必要な経費(以下「事業対象経費」という。)及び協会が基金管理等業務を実施するために必要な経費(以下「管理経費」という。)とされている。そして、事業対象経費の対象となる費目は、選定事業者が支払う人件費、管理費、起業支援経費、活動支援金等とされ、管理経費の対象となる費目は、協会が支払う人件費、管理費等とされている。
また、事業実施要領等によれば、選定事業者と協会との資金の精算に当たり、選定事業者は、雇用創造事業終了後に事業対象経費に係る報告書を協会に提出して協会の審査を受けることとされている。そして、協会と内閣府本府との基金の精算に当たり、協会は、事業対象経費及び管理経費を合計した事業費に係る報告書(以下「実績報告書」という。)を内閣府本府に提出するなどして内閣府本府の審査を受けることになっている。
上記の選定事業者と協会との精算及び協会と内閣府本府との精算に当たっては、事業対象経費及び管理経費の費目ごとに、計画額と実支出額とのいずれか低い方を採用するなどした額を確定額として精算することになっている。
協会は、平成23年度に交付金3,200,000,000円の交付を受けて基金を造成して、24年度に12選定事業者(注)に対して基金を取り崩して資金を交付し、12選定事業者は、25年3月までに資金を活用して雇用創造事業を実施して、事業対象経費に係る報告書を協会に提出して協会の審査を受けていた。そして、協会は、事業対象経費2,671,339,864円、23年度から25年度までの管理経費196,467,774円、計2,867,807,638円を事業費として基金から取り崩して使用したとして、内閣府本府に実績報告書を提出するなどして内閣府本府の審査を受けていた。
しかし、12選定事業者は、事業対象経費の実支出額の算出に当たり、職員等に対する給与等の人件費は消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)の課税の対象ではなく、その支払に当たって消費税を負担していないのに、誤って消費税相当額を加えた金額を計上するなどしていたため、人件費を計12,207,379円過大に算出するなどしていた。また、協会は、管理経費の実支出額の算出に当たり、基金管理等業務を行っていた個人事業者3名に係る法定福利費について、協会には負担義務がなく実際にも負担していないのに、誤ってこれを加えた金額を計上していたため、人件費を計1,457,001円過大に算出するなどしていた。
したがって、正しい人件費等により実支出額を算出して、事業対象経費及び管理経費の費目ごとに計画額と算出した実支出額とのいずれか低い方を採用するなどして適正な事業費を修正計算すると計2,857,972,926円となり、前記の事業費計2,867,807,638円との差額9,834,712円(交付金相当額同額)が過大に精算されていて、同額が基金から過大に取り崩されて使用されており、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、協会において事業対象経費及び管理経費に係る人件費の算出方法に関する理解並びに事業対象経費の審査が十分でなかったこと、内閣府本府において実績報告書等の審査及び協会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。