1件 不当と認める国庫補助金 15,336,000円
私立高等学校等経常費助成費補助金(幼稚園等特別支援教育経費)(以下「補助金」という。)は、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)等に基づき、私立学校の健全な発達に資することを目的として、都道府県が私立学校における教育に係る経常的経費について補助する場合にその一部を国が補助するものである。
この補助金の補助対象経費は、私立高等学校等経常費助成費補助金(幼稚園等特別支援教育経費・過疎高等学校特別経費・教育改革推進特別経費・授業料減免事業等支援特別経費)交付要綱(平成11年文部大臣裁定)等によれば、都道府県が、障害のある満3歳以上の小学校就学前の子ども(以下「障害幼児」という。)が2人以上在籍している私立の幼稚園又は幼保連携型認定こども園等(以下「認定こども園等」という。)を設置している学校法人等に対して、当該障害幼児の教育に必要な経常的経費に対する補助金を交付するのに要する経費とされている。補助金交付額は、同交付要綱等に基づき、補助対象経費等を基に算定された補助単価に、補助の対象となる障害幼児の総数を乗ずるなどして算定されている。
そして、文部科学省は、平成27年度から幼児教育・保育・地域の子ども・子育て支援を総合的に推進することにより待機児童の解消等の子育てをめぐる課題の解決を目指すことを目的とした子ども・子育て支援新制度が実施されることに伴い、27年2月に各都道府県に対して事務連絡を発している。この事務連絡によると、認定こども園に在籍する障害幼児のうち市町村から保育の必要性があると認定を受けた障害幼児については、従来保育所に対する障害児保育事業として地方交付税により財源が措置されていることなどを踏まえて、26年度末時点の幼稚園に在籍する幼児に相当する者に限り、補助の対象とするとしている。
本院が、1県において会計実地検査を行ったところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
補助事業 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(86) | 鹿児島県 | 鹿児島県 | 私立高等学校等経常費助成費補助(幼稚園等特別支援教育経費) | 27~29 | 880,507 | 439,578 | 30,675 | 15,336 | 補助の対象とならない障害幼児を補助対象経費の算定に含めていたもの |
鹿児島県は、県内にある補助の対象となっていた認定こども園等及び認定こども園等に在籍する障害幼児の数を27年度59校352人、28年度68校404人、29年度62校387人、計189校1,143人として、これらに係る補助対象経費を27年度274,770,000円、28年度315,644,000円、29年度290,093,000円、計880,507,000円とする実績報告書を各年度に提出し、27年度137,280,000円、28年度157,560,000円、29年度144,738,000円、計439,578,000円の補助金の交付を受けていた。
しかし、同県が補助の対象とした障害幼児のうち保育の必要性があると認定を受けている障害幼児の中には、26年度末時点の幼稚園に在籍する幼児に相当しない障害幼児が27年度2人、28年度19人、29年度21人、計42人含まれていた。さらに、これらの障害幼児を除くと2人以上の障害幼児が在籍していることとされる補助の要件を満たさなくなる認定こども園が29年度2校あるため、補助の対象とならない障害幼児が2人増え、その総数は計44人となっていた。
したがって、補助の対象とならない障害幼児を除いて各年度の適正な補助対象経費を算定すると、計849,832,000円となり、これに対する補助金交付額を算定すると、計424,242,000円となることから、前記の補助金交付額439,578,000円との差額15,336,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、補助の対象となる障害幼児の要件の確認が十分でなかったことなどによると認められる。