1件 不当と認める国庫補助金 9,234,000円
公立学校施設整備費負担金(以下「負担金」という。)は、「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律」(昭和33年法律第81号。以下「国庫負担法」という。)等に基づき、公立の義務教育諸学校の施設の整備を促進するために、公立の義務教育諸学校の建物の建築に要する経費について、国がその一部を負担するものである。
国庫負担法等によれば、負担金の対象となる経費は、公立の小学校、中学校等における教室の不足を解消するための校舎の新築又は増築を行う事業(以下「新増築事業」という。)に要する経費、公立の小学校、中学校等の屋内運動場の新増築事業に要する経費等とすることとされている。そして、新増築事業については、新築又は増築を行う年度の5月1日(以下「基準日」という。)における当該学校の学級数に応ずる必要面積から基準日における保有面積を控除して国庫補助を受ける資格のある面積(以下「資格面積」という。)を算定することとされており、資格面積と負担金を受けようとする面積(新築又は増築により増加する保有面積等)とを比較して、少ない方の面積を補助対象面積とすることになっている。
また、負担金の交付額は、補助対象面積に1m2当たりの建築の単価を乗ずるなどして算定した工事費に事務費を加算した額に負担割合(原則として2分の1)を乗じて得た事業費と、実際に事業に要した経費に負担割合を乗じて得た事業費(以下「比較事業費」という。)とを比較して、少ない方の額とすることになっている。
本院が、13県及び27市町村、計40地方公共団体において会計実地検査を行ったところ、1市において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
交付対象事業の種別 | 年度 | 負担金の交付額 | 不当と認める負担金の交付額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | ||||||
(94) | 島根県 | 浜田市 | 屋内運動場の新増築事業 | 25~28 | 63,834 | 9,234 | 負担割合を乗じていなかったなどのもの |
浜田市は、平成25、26両年度に弥栄中学校屋内運動場の新増築事業(以下「中学校新増築事業」という。)を、27、28両年度に弥栄小学校屋内運動場の新増築事業(以下「小学校新増築事業」という。)を実施し、負担金計63,834,000円の交付を受けていた。
同市は、中学校新増築事業の実施に当たり、負担金を受けようとする面積302m2が資格面積459m2より少ない面積であったことから、補助対象面積を302m2と算定していた。そして、実際に中学校新増築事業に要した経費について、新屋内運動場981m2に係る事業に要した経費281,529,000円を補助対象面積の割合で案分して得た86,654,000円と算定し、これを比較事業費としていた。
しかし、同市は、比較事業費の算定に当たり、実際に中学校新増築事業に要した経費に負担割合2分の1を乗ずる必要があったのに、これを行っていなかった。さらに、上記の新屋内運動場に係る事業に要した経費には、旧屋内運動場全体の解体及び撤去を行う工事に要した経費が含まれていたが、これらの経費は併せて実施していた学校施設環境改善交付金(以下「交付金」という。)による同校屋内運動場の不適格改築事業に要した経費として計上することが適切であり、実際に、同市は、これらの経費を同校屋内運動場の不適格改築事業に要した経費として計上していたのに、中学校新増築事業に要した経費としても計上していた。
また、同市は、小学校新増築事業の実施に当たり、小学校新増築事業を実施した後の保有面積810m2から併せて実施していた交付金による同校屋内運動場の不適格改築事業の資格面積612m2を控除して得た負担金を受けようとする面積198m2が小学校新増築事業の資格面積243m2より少ない面積であったことから、補助対象面積を198m2と算定していた。
しかし、小学校新増築事業を実施する前の保有面積が651m2であったことから、負担金を受けようとする面積は159m2が上限であり、適正な補助対象面積は159m2であった。そして、同市が算定した補助対象面積と適正な補助対象面積との差である39m2は、同校屋内運動場の不適格改築事業の対象に含めて申請すべきものであった。
したがって、これらを修正するなどして適正な負担金の交付額を算定すると計54,600,000円となることから、負担金計9,234,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において負担金の交付額の算定方法についての理解及び算定についての確認が十分でなかったこと、島根県において同市から提出された実績報告書等に対する審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。