4件 不当と認める国庫補助金 22,587,000円
私立学校施設整備費補助金(私立幼稚園施設整備費)は、幼稚園教育の振興に資することを目的として、幼稚園の危険な状態にある園舎の改築、耐震補強工事等を行う学校法人等に対して、改築等に要する経費の一部を国が補助するものである。
この補助金の交付額は、私立学校施設整備費補助金(私立幼稚園施設整備費)交付要綱(平成11年文部大臣裁定)等によれば、園舎の改築、耐震補強工事等に係る経費を補助対象経費として、これに補助率(原則として3分の1以内)を乗じて算定することなどとされている。
そして、園舎の改築を行う場合の補助対象経費は、補助単価に補助資格面積を乗じて得た額とすることとされている。この補助資格面積は、改築後の建築面積等を用いて算定することとされていて、建築面積は、建物ごとに、壁や建具等により風雨を防ぐことができる部分の床面積の合計とすることとされている。
また、園舎の耐震補強工事等を行う場合の補助対象経費は、柱、壁、梁(はり)等の補強等の耐震補強、天井材等の非構造部材の耐震化に要する工事費等とすることとされている。
本院が、24都府県の103学校法人において会計実地検査を行ったところ、4学校法人において、壁や建具等により風雨を防ぐことができない部分の床面積を補助資格面積に含めたり、非構造部材の耐震化工事に当たり、補助の対象とならない衛生器具設備の改修工事等に係る経費を補助対象経費に含めたりするなどしていたため、国庫補助金計22,587,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、4学校法人において補助対象経費の算定方法についての理解が十分でなかったこと、2県において実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
学校法人秋本学園は、平成27年度に、同法人が設置する浦和つくし幼稚園の園舎の改築事業を実施し、補助対象経費209,658,000円に補助率を乗じて国庫補助金69,886,000円の交付を受けていた。
しかし、同法人は、壁や建具等により風雨を防ぐことができないバス車庫部分の床面積を補助資格面積に含めるなどして補助対象経費を算定していた。
したがって、適正な補助資格面積により算定した補助対象経費176,458,000円に対する国庫補助金は58,819,000円となり、国庫補助金11,067,000円が過大に交付されていて不当と認められる。
以上を部局等別・補助事業者別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
補助事業 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(105) | 茨城県 | 学校法人ワタナベ学園 | 戸頭幼稚園非構造部材の耐震化工事 | 24、25 | 55,313 | 18,437 | 13,687 | 4,562 | 補助の対象とならない改修工事等に係る経費を補助対象経費に含めていたもの (戸頭幼稚園) |
(106) | 埼玉県 | 学校法人あそか幼稚園 | あそか幼稚園改築(耐震) | 26 | 130,642 | 43,547 | 4,316 | 1,439 | 補助の対象とならない面積を補助資格面積に含めていたもの (あそか幼稚園) |
(107) | 同 | 学校法人秋本学園 | 浦和つくし幼稚園改築(耐震) | 27 | 209,658 | 69,886 | 33,200 | 11,067 | 補助の対象とならない面積を補助資格面積に含めるなどしていたもの (浦和つくし幼稚園) |
(108) | 同 | 学校法人竹ノ内学園 | 東平幼稚園改築(耐震) | 27 | 120,806 | 40,268 | 16,558 | 5,519 | 補助の対象とならない面積を補助資格面積に含めていたもの (東平幼稚園) |
(105)―(108)の計 | 516,419 | 172,138 | 67,761 | 22,587 |