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  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

高校生等奨学給付金制度の実施に当たり、奨学給付金を学校が代理受領して授業料以外の教育費に充当することについて認めることを都道府県において制度化するなど、高等学校等修学支援事業費補助金(奨学のための給付金)が授業料以外の教育費に確実に活用されるために必要な仕組みとなるための措置を講ずるよう意見を表示したもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)文部科学本省
(項)初等中等教育等振興費
部局等
文部科学本省、19府県
交付の根拠
予算補助
補助事業者
事業主体
19府県
高等学校等修学支援事業費補助金(奨学のための給付金)の概要
都道府県知事又は都道府県教育委員会が高校生等奨学給付金を支給するために要する費用の3分の1の額を上限とした額に相当する金額を都道府県に交付するもの
検査の対象とした補助金相当額
142億4019万余円(平成26年度~29年度)
奨学給付金を学校が代理受領して授業料以外の教育費に充当することについて認めることの制度化が実施されていない府県に交付された補助金相当額
70億4058万円(背景金額)(平成26年度~29年度)

【意見を表示したものの全文】

高校生等奨学給付金における学校の代理受領による授業料以外の教育費への充当について

(平成30年10月22日付け 文部科学大臣宛て)

標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり意見を表示する。

1 高校生等奨学給付金の概要

(1) 高校生等奨学給付金制度の概要

貴省は、高等学校、中等教育学校の後期課程等(以下「高校等」という。)の生徒又は学生(以下「生徒」という。)の保護者等が授業料以外の教育に必要な経費に充てるために奨学のための給付金(以下「奨学給付金」という。)の支給を受けることができることとすることにより、高校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することを目的として、高校生等奨学給付金制度を実施している。この制度は、平成26年度に「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律」(平成25年法律第90号)が施行されることに併せて、全ての意思ある生徒が安心して教育を受けられるよう、低所得世帯の授業料以外の教育費負担を軽減するために開始された補助事業である。同制度は、「高等学校等修学支援事業費補助金(奨学のための給付金)交付要綱」(平成26年4月文部科学大臣決定。以下「交付要綱」という。)等に基づき実施することとなっており、交付要綱等によれば、奨学給付金は、都道府県知事又は都道府県教育委員会が生徒の保護者等に支給することとされている。そして、貴省は、奨学給付金の支給に要する費用のうち、高等学校等修学支援事業費補助金(奨学のための給付金)(以下「補助金」という。)の対象として文部科学大臣が認める経費について、予算の範囲内で、都道府県に補助金を交付することとしており、補助金の額は、都道府県が奨学給付金として支給した額の3分の1の額を上限としている。

交付要綱等によれば、奨学給付金の受給資格を有する者は、当該都道府県の区域内に住所を有する保護者等とされている。また、高校等の生徒に当たるか否かは、原則として7月1日現在の在籍状況により判断することとされている。

そして、奨学給付金は世帯区分等ごとに定められた給付額(表1参照)を給付することとされている。

表1 奨学給付金の給付額(平成29年度)

(単位:円)
世帯区分注(1) 学校設置主体 課程 給付額注(2)
生活保護受給世帯 国公立 全日制等 32,300
通信制
私立 全日制等 52,600
通信制
非課税世帯(第1子) 国公立 全日制等 75,800
私立 全日制等 84,000
非課税世帯(第2子以降)注(3) 国公立 全日制等 129,700
私立 全日制等 138,000
非課税世帯(通信制) 国公立 通信制 36,500
私立 通信制 38,100
注(1)
①生活保護受給世帯(生活保護法(昭和25年法律第144号)第36条の規定による生業扶助が措置されている世帯)、②地方税法(昭和25年法律第226号)の規定による道府県民税の所得割額及び市町村民税の所得割額(平成29年度までは「市町村民税の所得割額」)が非課税である世帯
注(2)
都道府県の判断により既存の補助金との併給調整を行い上記の給付額を下回る額とすることは可能とされている。
注(3)
第2子以降とは、当該世帯に扶養されている兄弟姉妹で2人目以降の通信制以外の高校等に通う高校生等及び当該世帯に扶養されている高校生等以外に15歳(中学生を除く。)以上23歳未満の扶養されている兄弟姉妹がいる世帯の通信制以外の高校等に通う高校生等を指す。

(2) 奨学給付金の支給手続

奨学給付金の支給手続は、交付要綱等において、次のとおりとすることとなっている。

保護者等が奨学給付金を受給しようとするときは、住所を有する都道府県の知事等に対し、高校等における就学について受給資格を有することについての認定を申請し受給資格の認定及び支給額の決定を受けなければならないこととなっている。また、奨学給付金の支給は、受給権者である保護者等に対し行うこととなっているが、保護者等から奨学給付金の受給等を高校等に委任する旨の委任状の提出があった場合には、高校等は、保護者等に代わって奨学給付金を受領(以下「代理受領」という。)して、高校等が保護者等から徴収することになっている教科書費、教材費等の授業料以外の教育費と相殺(以下、代理受領した奨学給付金を授業料以外の教育費と相殺することを「代理受領による充当」という。)を行うことができることとなっている(図参照)。

また、都道府県は、代理受領による充当を行うなど、奨学給付金が授業料以外の教育費に確実に活用されるような取組を推進することとなっている。

図 奨学給付金の支給手続例(代理受領による充当を行う場合)

図 奨学給付金の支給手続例(代理受領による充当を行う場合) 画像

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

高校生等奨学給付金制度により都道府県に交付される補助金の額は、26年度の制度開始以降、給付額が毎年度増額されるなど多額に上っている。また、厳しい財政状況の下で限られた財源を有効活用するため、奨学給付金は高校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与するという目的に沿って確実に活用される必要がある。

そこで、本院は、有効性等の観点から、補助金は高校等における教育に必要な経費に確実に活用されているかなどに着眼して、貴省及び19府県(注1)において、制度を開始した26年度から29年度までに、19府県に所在する高校等の生徒の保護者等のうち高校等の所在する府県と同一の府県に住所を有する54万4524人に対して、奨学給付金を支給するために交付された補助金相当額計142億4019万余円を対象として、府県において代理受領による充当に係る取組等について説明を聴取するなどして会計実地検査を行うとともに、高校等における事務の実施状況等を聴取したり、調書を徴して、高校等が把握している代理受領による充当の状況等について確認したりするなどの方法により検査した。

(注1)
19府県  京都、大阪両府、岩手、栃木、群馬、千葉、富山、愛知、三重、和歌山、鳥取、島根、岡山、広島、徳島、香川、福岡、宮崎、鹿児島各県

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1) 代理受領による充当の状況

前記のとおり、交付要綱等において、都道府県は、代理受領による充当を行うなど、奨学給付金が授業料以外の教育費に確実に活用されるような取組を推進することとなっていることから、19府県において代理受領による充当が行われているか、その状況をみたところ、29年度において、表2のとおり、府県、学校設置主体別に区々となっており、国公立高校等については8府県、私立高校等については9府県において、代理受領による充当が行われていなかった。

表2 代理受領による充当の状況(平成29年度)

学校設置主体 代理受領による充当が行われている 代理受領による充当が行われていない
国公立 大阪府群馬富山三重、和歌山、鳥取島根(県立)岡山広島徳島福岡宮崎鹿児島(県立)各県
<13府県>
(うち、制度化が実施されている府県 12府県)
京都府、岩手、栃木、千葉、愛知、島根(県立以外)、香川、鹿児島(県立以外)各県
<8府県>
私立 千葉富山、愛知、三重鳥取島根岡山広島宮崎鹿児島各県
<10県>
(うち、制度化が実施されている県 9県)
京都、大阪両府、岩手、栃木、群馬、和歌山、徳島、香川、福岡各県
<9府県>
(うち、制度化が実施されている県 1県)
注(1)
下線を付した府県は、代理受領による充当を認めることの制度化が実施されている府県である。
注(2)
国公立について、県立のみ行われていた島根、鹿児島両県が、「行われている」、「行われていない」の両方に計上されているため、府県数の計は19とならない。

また、府県が奨学給付金を支給するために定めている要綱等において、代理受領による充当を認める規定が制定されているかなど、代理受領による充当を認めることの制度化の状況をみたところ、次のとおりとなっていた。

29年度において、表2及び表3のとおり、12府県(注2)(国公立高校等については9府県(注3)、私立高校等については9府県(注4))において、貴省が府県に対して制度化を実施するよう求めていないことなどのため、制度化が実施されていなかった(以下、これらの12府県を「制度化未実施府県」という。制度化未実施府県に対して交付された補助金相当額26年度7億5579万余円、27年度13億6894万余円、28年度23億2459万余円、29年度25億9124万余円、計70億4058万余円)。

そして、制度化未実施府県では、表2のとおり、国公立高校等については8府県(注5)、私立高校等については8府県(注6)で、代理受領による充当が行われていなかった。また、制度化未実施府県のうち、国公立高校等については和歌山県、私立高校等については愛知県で、運用により代理受領による充当が行われていたが、その実績は和歌山県が奨学給付金受給者4,595人中15人、愛知県が同7,460人中11人となっていて、代理受領等実施率(注7)は和歌山県は0.32%、愛知県は0.14%となっていた。このため、表3のとおり、制度化未実施府県での代理受領等実施率は国公立高校等9府県で0.03%、私立高校等9府県で0.02%となっていた。

なお、27年度から制度化が実施された富山県(国公立高校等)及び島根県(国公立高校等のうち県立高校)について、制度化実施前の26年度と制度化実施後の代理受領等実施率を比較したところ、26年度はいずれの県とも0%であったのに対して、29年度は富山県が2.17%、島根県が4.73%にそれぞれ増加していた。

表3 制度化の状況及び代理受領等実施率(平成29年度)

学校設置主体 制度化実施 制度化未実施
府県数 受給者数
(a)
代理受領等実施者数
(b)
代理受領等実施率
(b/a)
府県数 受給者数
(a)
代理受領等実施者数
(b)
代理受領等実施率
(b/a)
  (人) (人) (%)   (人) (人) (%)
国公立 12府県 74,888 10,988 14.67 9府県 43,898 15 0.03
私立 10県 15,372 1,240 8.06 9府県 42,196 11 0.02
90,260 12,228 13.54 86,094 26 0.03
注(1)
代理受領等実施者数は、代理受領による充当が行われていた人数を示す。
注(2)
国公立について、県立のみ制度化が実施されていた島根、鹿児島両県が、実施、未実施の両方に計上されているため、府県数の計は19とならない。

一方、29年度において、表2及び表3のとおり、国公立高校等については12府県(注8)、私立高校等については10県(注9)において制度化が実施されていた(以下、これらの府県を「制度化実施府県」という。)。制度化実施府県においては、表2のとおり、1県を除く全ての府県で代理受領による充当が行われていた。また、表3のとおり、制度化実施府県全体での代理受領等実施率が13.54%(国公立14.67%、私立8.06%)となっていたが、これは、委任状の提出依頼及び代理受領による充当を授業料以外の教育費の未納が生じている保護者等に限って行っていることなどによるものであった。

(注2)
12府県  京都、大阪両府、岩手、栃木、群馬、千葉、愛知、和歌山、島根、香川、福岡、鹿児島各県
(注3)
9府県  京都府、岩手、栃木、千葉、愛知、和歌山、島根(県立以外)、香川、鹿児島(県立以外)各県
(注4)
9府県  京都、大阪両府、岩手、栃木、群馬、愛知、和歌山、香川、福岡各県
(注5)
8府県  京都府、岩手、栃木、千葉、愛知、島根(県立以外)、香川、鹿児島(県立以外)各県
(注6)
8府県  京都、大阪両府、岩手、栃木、群馬、和歌山、香川、福岡各県
(注7)
代理受領等実施率  受給者数に占める代理受領による充当が行われていた人数の割合
(注8)
12府県  大阪府、群馬、富山、三重、鳥取、島根(県立)、岡山、広島、徳島、福岡、宮崎、鹿児島(県立)各県
(注9)
10県  千葉、富山、三重、鳥取、島根、岡山、広島、徳島、宮崎、鹿児島各県

(2) 制度化未実施府県における授業料以外の学校徴収教育費の未納の状況及び未納が生じている場合における生徒への学業上の不利益の状況

前記のとおり、制度化未実施府県においては代理受領による充当が行われていないか、行われていたとしても代理受領等実施率が低調であった。代理受領による充当を行うことができない場合、保護者等は、授業料以外の教育費を高校等に自ら納付する必要があるが、生徒が高校等に就学する場合に当該生徒の保護者等が当然に負担すべきこととなる授業料以外の教育費が未納となっている場合には、奨学給付金が確実に活用されているとは言い難い。そこで、制度化未実施府県における各年度の奨学給付金受給者のうち、高校生等奨学給付金制度が開始された26年度以降の年度の授業料以外の教育費が当該奨学給付金受給年度末において未納(以下「授業料以外の学校徴収教育費の未納」という。)となっている保護者等(以下、代理受領による充当が行われていた者を除いて「未納者」という。)の状況をみたところ、表4のとおり、制度化未実施府県全体で26年度受給者27,059人中293人(未納者発生率(注10)1.08%)、27年度受給者51,677人中532人(同1.02%)、28年度受給者73,278人中667人(同0.91%)、29年度受給者86,094人中959人(同1.11%)となっていた。

(注10)
未納者発生率  受給者数に占める未納者の発生割合

表4 制度化未実施府県における未納の状況

学校設置主体 府県数 平成26年度 27年度 28年度 29年度
受給者数
(a)
未納者数
(b)
未納者発生率
(b/a)
受給者数
(a)
未納者数
(b)
未納者発生率
(b/a)
受給者数
(a)
未納者数
(b)
未納者発生率
(b/a)
受給者数
(a)
未納者数
(b)
未納者発生率
(b/a)
(人) (人) (%) (人) (人) (%) (人) (人) (%) (人) (人) (%)
国公立 9府県 17,352 194 1.11 32,769 368 1.12 45,945 511 1.11 43,898 546 1.24
私立 9府県 9,707 99 1.01 18,908 164 0.86 27,333 156 0.57 42,196 413 0.97
12府県※ 27,059 293 1.08 51,677 532 1.02 73,278 667 0.91 86,094 959 1.11
(注)
※は純計

そして、代理受領による充当を認めることの制度化が実施されていないことにより、代理受領による充当が行われないことで生じ得る生徒の不利益にはどのようなものがあるか、制度化未実施府県においてこれをみたところ、授業料以外の教育費の未納が生じている場合に、一定月数以上の未納を理由とする出席停止等の生徒への不利益を定めた規則等がある高校等が10府県(注11)286校(国公立高校等3県(注12)28校、私立高校等9府県(注13)258校(一つの高校等に全日制、通信制等の課程が複数ある場合、課程ごとに1校としている。以下、同じ。))あり、生徒に学業上の不利益を生じ得る状態があった。

そして、未納者に係る生徒について、授業料以外の学校徴収教育費の未納を理由に、当該未納額が支払われるまでの間、出席停止や仮進級となっていたり、卒業証書の授与を保留されたり、高校等から除籍処分を受けたりなどして、現に学業上の不利益が生じている者が、表5のとおり、制度化未実施府県において、26年度5県11校31人、27年度5県12校43人、28年度6県14校50人、29年度8府県23校69人となっていた一方、制度化実施府県においては、26年度2県2校3人、27年度4県5校6人、28年度1県2校4人、29年度2県2校2人となっていた。

表5 未納を理由とする生徒への学業上の不利益の状況

平成26年度 27年度 28年度 29年度
該当府県 学校数 人数 該当府県 学校数 人数 該当府県 学校数 人数 該当府県 学校数 人数
(校) (人) (校) (人) (校) (人) (校) (人)
制度化未実施府県 岩手、栃木、香川、福岡、鹿児島各県
<5県>
11 31 岩手、栃木、愛知、香川、福岡各県
<5県>
12 43 岩手、栃木、群馬、愛知、香川、福岡各県
<6県>
14 50 大阪府、岩手、栃木、群馬、愛知、和歌山、香川、福岡各県
<8府県>
23 69
制度化実施府県 広島、宮崎両県
<2県>
2 3 岡山、広島、宮崎、鹿児島各県
<4県>
5 6 宮崎県
<1県>
2 4 三重、岡山両県
<2県>
2 2
(注11)
10府県  京都、大阪両府、岩手、栃木、群馬、千葉、愛知、和歌山、香川、福岡各県
(注12)
3県  岩手、千葉、愛知各県
(注13)
9府県  京都、大阪両府、岩手、栃木、群馬、愛知、和歌山、香川、福岡各県

上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

栃木県は、平成27年12月に、私立A高等学校全日制課程に在籍する生徒Bの保護者Cに対して、27年度の奨学給付金138,000円(非課税世帯(第2子以降))を交付していた。同県では「栃木県奨学のための給付金(私立)事業実施要綱」等において代理受領による充当を認める規定が制定されておらず、現に代理受領による充当が行われていなかった。

生徒Bは、28年1月に自らの進路変更を理由として退学願を同校に提出して受理されているが、この時点において27年度の授業料以外の教育費のうち、27年7月から28年1月までの教育振興費等105,850円が未納となっていた。そして、同校は、生徒Bが参加しなかった修学旅行に係る積立金(学校預り金)を未納となっている教育費に充当しても、なお87,850円が未納となっていたことから、生徒Bの退学後も引き続き保護者Cへ支払の督促を行っていた。しかし、支払がなされなかったため、同校の学則に基づいて、授業料等を3か月以上滞納した者として、生徒Bは28年7月に除籍処分を受けていた。この処分により、生徒Bは同校に入学及び在籍した履歴を失うこととなった。

上記のとおり、制度化未実施府県において、奨学給付金が授業料以外の教育費に確実に活用されるために必要な仕組みとなっておらず、未納者に係る生徒に学業上の不利益が生じていた事態が見受けられるなどしていた。

(改善を必要とする事態)

高校生等奨学給付金制度の実施に当たり、奨学給付金が授業料以外の教育費に確実に活用されるために必要な仕組みとなっていない事態は適切ではなく、改善の要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、貴省において、奨学給付金が授業料以外の教育費に確実に活用されるような取組を都道府県で推進することとしている中で、代理受領による充当を認めることの制度化を実施するよう府県に求めていないこと、府県において、上記の取組を推進することの重要性についての理解が十分でないことなどによると認められる。

3 本院が表示する意見

高校生等の教育費への支援は毎年度拡充されており、今後も、限られた財源の中で、効率的、効果的に実施されることが望まれる。

ついては、貴省において、補助金の補助対象事業について、やむを得ないと認められる場合を除き都道府県において代理受領による充当を認めることを制度化するなど、補助金が授業料以外の教育費に確実に活用されるために必要な仕組みとなるための措置を講ずるよう意見を表示する。