ページトップ
  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(2) 医療介護提供体制改革推進交付金等により造成した基金を活用して実施した事業(医療事業に係る分)において基金が過大に使用されていたもの[厚生労働本省](123)―(125)


3件 不当と認める国庫補助金 11,186,668円

医療介護提供体制改革推進交付金及び地域医療対策支援臨時特例交付金(以下、これらを合わせて「交付金」という。)は、「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」(平成元年法律第64号)等に基づき、都道府県の地域における医療及び介護の総合的な確保のための事業の実施に関して都道府県が作成した計画(以下「都道府県計画」という。)に定める事業を支援するために、都道府県が行う基金の造成に必要な経費の3分の2に相当する額等を国が交付するものである(以下、造成された基金を「確保基金」という。)。

都道府県は、厚生労働省が定めた「地域医療介護総合確保基金管理運営要領」(以下「管理運営要領」という。)に基づき、都道府県計画の範囲内で、必要に応じて、確保基金を活用して行われる事業(以下「基金事業」という。)に必要な経費を確保基金から取り崩して、基金事業を実施する事業主体に対して助成するなどしている(以下、確保基金から取り崩して助成したものを「助成金」という。)。

基金事業の対象は、管理運営要領により、地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設又は設備の整備に関する事業、居宅等における医療の提供に関する事業、医療従事者の確保に関する事業(以下、これらの事業を「医療事業」という。)等の5事業とされている。

都道府県は、管理運営要領に基づき、助成金の交付申請の事務手続等に関する助成要綱を定めることとなっている。そして、助成金の交付額は、助成要綱に基づき、同要綱に定める基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額に補助率を乗ずるなどして得た額とすることなどとなっている。また、基金事業を実施する事業主体は、基金事業の事業実績報告書を都道府県に提出することとなっている。

本院が、12県(注1)において助成金の交付を受けた133事業主体が実施した医療事業を対象に会計実地検査を行ったところ、2県(注2)の3事業主体が実施した医療事業において、対象経費の実支出額又は基準額を過大に算定していたため、助成金計16,780,000円(交付金相当額計11,186,668円)が2県の確保基金から過大に取り崩されて使用されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、3事業主体において助成要綱等の理解が十分でなかったこと、2県において事業実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
12県  茨城、群馬、神奈川、富山、静岡、兵庫、和歌山、鳥取、岡山、徳島、熊本、鹿児島各県
(注2)
2県  茨城、群馬両県

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

茨城県は、同県が定めた助成要綱(以下「県要綱」という。)等に基づき、医療従事者の離職防止及び再就業を促進するために、同県の基金事業である病院内保育所運営事業を実施している公益財団法人筑波メディカルセンターに対して、平成26年度から28年度までの間に助成金計38,078,000円(交付金相当額計25,385,332円)を交付していた。

県要綱によれば、基準額は、病院内保育施設の種別等に応じて算定した基本額に、24時間保育、休日保育及び児童保育(以下、これらを合わせて「24時間保育等」という。)の保育の種類ごとに定められた単価に24時間保育等に係る運営日数を乗ずるなどして得た額である加算額を加えて算定することとされている。そして、同県は、上記の24時間保育等に係る運営日数とは、24時間保育等を実際に行った日数であるとしている。

しかし、同法人は、事業実績報告書において、加算額の算定に当たり、実際には24時間保育等を行っていない日数を運営日数に含めるなどしており、基準額を過大に算定していた。

したがって、適正な基準額により助成金の交付額を算定すると、計30,590,000円となり、前記助成金の交付額との差額7,488,000円(交付金相当額4,991,999円)が確保基金から過大に取り崩されて使用されていた。

以上を補助事業者別・事業主体別に示すと次のとおりである。

  部局等 補助事業者 間接補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 基金使用額 左に対する交付金相当額 不当と認める基金使用額 不当と認める交付金相当額 摘要
            千円 千円 千円 千円  
(123) 厚生労働本省 茨城県 公益財団法人筑波メディカルセンター 医療介護提供体制改革推進交付金等 26~28 38,078 25,385 7,488 4,991 基準額を過大に算定していたもの
(124) 医療法人社団筑波記念会筑波記念病院 医療介護提供体制改革推進交付金 28 5,342 3,561 4,832 3,221 対象経費の実支出額を過大に算定していたもの
(125) 群馬県 公益社団法人群馬県医師会 医療介護提供体制改革推進交付金等 26~28 27,269 18,179 4,460 2,973
(123)―(125)の計 70,689 47,125 16,780 11,186