(1件 不当と認める国庫補助金 1,508,647円)
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(204) | 中国四国農政局 | 高知県 (事業主体) |
― | 農村地域防災減災 | 26 | 2,905 | 1,597 | 2,742 | 1,508 |
この補助事業は、高知県が、南国市西山地内において、既設橋りょうの耐震補強を目的として、広域農道に築造されている西山こ線橋(昭和62年築造。橋長144.9m、幅員8.2m~10.4m)の落橋防止システムとして、橋桁の端部から橋座部の縁端までの長さ(以下「桁かかり長」という。)を確保するために、橋台2基の橋座部に鉄筋コンクリートを打設して、これを橋軸方向に拡幅するなどしたものである(参考図参照)。
同県は、この落橋防止システムの設計を「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会編。以下「示方書」という。)等に基づいて行うこととしている。そして、示方書によれば、橋桁の落下を防止する対策は、桁かかり長を確保したり、橋桁等の移動量が桁かかり長を超えないようにする落橋防止構造を設置したりするなどの落橋防止システムを適切に選定することとされている。このうち、落橋防止構造は、橋軸方向に大きな変位が生じにくいなどの構造特性を有する橋の場合には設置を省略してもよいが、これらの構造特性を有する橋に該当しない場合は、一連の上部構造の端支点に設置しなければならないとされている。また、下部構造の橋軸方向の耐力が小さい場合は、落橋防止構造の耐力も小さくなり、落橋防止対策としての効果が小さくなるため、桁かかり長を必要桁かかり長の1.5倍として落橋に対する安全性を確保するのがよいとされている。
しかし、同県は、本件橋りょうの落橋防止システムの設計に当たり、本件橋りょうが落橋防止構造の設置を省略してもよいとされる上記の構造特性を有する橋に該当せず、落橋防止構造の設置を省略できないのに、橋台の橋軸方向の耐力が小さい場合に該当することから、誤って、橋台の桁かかり長が必要桁かかり長の1.5倍となるよう橋座部を拡幅すれば、落橋防止構造の設置を省略してよいものとして、これにより施工していた。
したがって、落橋防止システムに係る工事(工事費相当額2,742,995円)は、設計が適切でなかったため、地震発生時において所要の安全度が確保されていない状態になっていて、これに係る国庫補助金相当額1,508,647円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、示方書についての理解が十分でなかったこと、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
橋りょう概念図
(参考例)
落橋防止構造の設置概念図