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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第8 農林水産省|
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  • (2) 補助の対象とならないもの

農業・食品産業強化対策整備交付金事業の交付対象事業費に、交付の対象とならない経費を含めていたもの[九州農政局](206)


(1件 不当と認める国庫補助金 10,353,000円)

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(206) 九州農政局 鹿児島県 鹿児島市
(事業主体)
農業・食品産業強化対策整備交付金 28 355,495 111,445 31,059 10,353

この交付金事業は、鹿児島市が、平成28年度に、鹿児島市中央卸売市場青果市場内において、既設の市場管理センター(以下「管理棟」という。)にエレベータ施設(延べ床面積36.51m2)を増築する工事(以下「増築工事」という。)や、既設の卸売市場施設に屋根付荷捌場の築造等を実施したものである。

 「強い農業づくり交付金実施要領」(平成17年16生産第8262号農林水産省大臣官房国際部長、総合食料局長、生産局長、経営局長通知。以下「要領」という。)によれば、23年4月から28年3月末までの間は、中央拠点市場(注)に位置付けられた市場における管理棟の増改築に係る経費については、工事量にかかわらず交付金の交付対象とされていた。その後、28年4月の要領の改正により、管理棟の増改築に係る経費については、工事量が延べ床面積20,000m2以上に相当するなどの大規模増改築に該当する場合のみ、交付金の交付対象とするとされている。ただし、28年4月に改正された要領では、改正前の要領に基づく事業(以下「改正前事業」という。)については、なお従前の例によると定められている。そして、改正前事業とは、農林水産省によると、要領の改正前、すなわち、27年度以前に事業実施計画の承認を得た事業であり、当該事業を着手した日の属する年度以降も事業実施計画に即した事業内容で継続的に実施される事業等であるとしている。

(注)
中央拠点市場  大規模な中央卸売市場と中小規模の中央卸売市場との間での機能・役割分担の明確化を図り、効率的な流通ネットワークを構築するに当たり、大型産地からの荷を大量に受け、周辺の中小規模の中央卸売市場と連携した流通を行う役割を担う中央卸売市場。なお、中央拠点市場制度は、平成23年度から27年度までの間に設けられていた制度であり、28年度に廃止されている。

同市は、本件交付金事業について、27年度まで中央拠点市場に位置付けられていた同市場における増築工事が、25年度に同市が策定した同市場のリニューアル整備計画に盛り込まれていたことから、改正前事業に該当するなどとして、増築工事に要した経費32,484,800円(交付対象事業費31,059,501円)を含めて事業費を355,495,520円(交付対象事業費334,336,030円)とし、鹿児島県に実績報告書を提出して、交付金111,445,000円の交付を受けていた。

しかし、増築工事は、同市が鹿児島県知事に提出した27年度以前の事業実施計画には含まれていないこと、28年度の事業実施計画に基づき、同年度中に着手されて完了しているため、27年度以前から継続的に実施されたものではないことから、改正前事業には該当しないものであった。

したがって、増築工事に係る前記の交付対象事業費31,059,501円は、交付の対象とは認められず、これに係る交付金相当額10,353,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において改正前事業についての理解が十分でなかったこと、同県において本件交付金事業に係る審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。