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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 農林水産省|
  • 不当事項|
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  • (2) 補助の対象とならないもの

農山漁村地域整備交付金事業の交付対象事業費に、交付の対象とならない経費を含めていたもの[農林水産本省](209)


(1件 不当と認める国庫補助金 4,177,881円)

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(209) 農林水産本省 北海道
(事業主体)
農山漁村地域整備交付金 27、28 8,704 4,787 7,596 4,177

この交付金事業は、北海道が、侵食対策として、門別海岸及び登別海岸において実施した海岸保全施設(注)の工事、調査・設計業務等の情報を、北海道が平成25年度に海岸の管理を目的として導入した海岸総合管理システムに登録するなどの業務を委託して実施したものである(以下、委託した業務を「委託業務」という。)。

海岸法(昭和31年法律第101号)によれば、海岸保全区域(注)を管理するために要する費用は、当該海岸管理者の属する地方公共団体の負担とするとされているが、海岸管理者が管理する海岸保全施設の新設又は改良に関する工事で政令で定めるものに要する費用は、国がその一部を負担することとされている。

北海道は、前記の2海岸において、20年度から29年度までの間に侵食対策事業(以下「本件侵食対策事業」という。)を実施しており、委託業務については、本件侵食対策事業に係る工事等の情報の整理を行うためのものであることから、工事の一環として行う業務であるとしていた。そして、本件交付金事業について、委託業務に係る事業費計8,704,800円(交付対象事業費同額)で行ったとして、農林水産本省に実績報告書を提出して、これにより交付金計4,787,640円の交付を受けていた。

しかし、委託業務には、本件侵食対策事業に係る工事等の情報の登録だけではなく、海岸総合管理システムを運用するために必要な地理空間情報システム(GIS)背景図、データベース等の作成や、本件侵食対策事業以外の事業に係る工事等の情報の登録等、本件侵食対策事業に係る工事の一環とは認められない業務(事業費相当額計7,596,145円)が含まれていた。

したがって、前記の委託業務に係る事業費計8,704,800円のうち、本件侵食対策事業に係る工事の一環とは認められない業務の実施に要した事業費相当額計7,596,145円は、交付金の交付対象とは認められず、これに係る交付金相当額計4,177,881円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、北海道において、本件交付金の交付対象となる事業費の内容についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。

(注)
海岸保全施設・海岸保全区域  「海岸保全施設」とは、海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護するための堤防、突堤、護岸等の施設をいい、「海岸保全区域」とは、海岸保全施設を設置する海岸に係る一定の区域をいう。