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  • 平成29年度|
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  • (3) 補助対象事業費を過大に精算していたもの

農山漁村6次産業化対策推進交付金事業の事業費を過大に精算していたもの[近畿農政局](212)


(1件 不当と認める国庫補助金 3,111,652円)

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(212) 近畿農政局 和歌山県
(事業主体)
農山漁村6次産業化対策推進交付金 26~29 40,251 40,251 3,111 3,111

この交付金事業は、和歌山県が、6次産業化の取組等を支援するため、「和歌山県6次産業化サポートセンター」(以下「センター」という。)を設置して、新商品開発や販路開拓等の専門知識を有する6次産業化プランナーによる個別相談を実施するなどの農林漁業者等へのサポート活動等を実施したものである。

6次産業化ネットワーク活動交付金実施要綱(平成25年25食産第599号農林水産事務次官依命通知)等によれば、農林漁業者等へのサポート活動を実施する場合は、事業全体の責任者である統括企画推進員等を定めて事業執行体制を構築することとされている。そして、人件費を交付対象事業費として計上する場合は、「補助事業等の実施に要する人件費の算定等の適正化について」(平成22年22経第960号農林水産省大臣官房経理課長通知)に基づき、時間単価に当該補助事業等に従事した実績時間を乗じて算定することとなっており、また、実績時間の算定を行うためには、実際に交付金事業に従事したことを証明する業務日誌が必要となっている。

同県は、センターの管理・運営等に関する業務(以下「運営業務」という。)を和歌山県中小企業団体中央会(以下「中央会」という。)に委託して実施していた。中央会は、平成26年度から29年度までの間の委託費について、中央会の業務と運営業務とを兼務している理事1名が統括企画推進員として運営業務に月間の勤務時間の約82%従事したとして算定した人件費を含めて、計40,251,791円であるとした実績報告を同県に対して行っていた。そして、同県は、これを受けて、当該人件費を含む委託費について、実績報告と同額で精算を行い、本件交付金事業を事業費計40,251,791円(交付対象事業費同額)で実施したとして、近畿農政局に実績報告書を提出して、これにより同額の交付金の交付を受けていた。

しかし、上記勤務時間の割合は、中央会において、理事が運営業務にどの程度従事することになるかを事前に想定したものであり、実績時間に基づくものとはなっていなかった。そして、同県は、委託費の精算に当たって、理事が統括企画推進員として運営業務に従事した実績時間を業務日誌から把握して精算する必要があったのに、これを行っていなかった。

そこで、業務日誌を確認したところ、理事が統括企画推進員として運営業務に従事した実績時間は、月間の勤務時間の48%程度から63%程度までとなっていた。

したがって、上記の実績時間を基に統括企画推進員の人件費を算定して、これにより委託費の精算を行ったとして適正な交付対象事業費を算定すると計37,140,139円となり、前記の交付対象事業費計40,251,791円との差額3,111,652円が過大に精算されていて、これに係る交付金計3,111,652円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県において本件交付金事業の実施に当たり、適正な人件費の算定についての認識が欠けていたこと、同局において同県に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。