(2件 不当と認める国庫補助金 4,447,750円)
森林整備地域活動支援交付金は、計画的かつ適切な森林の保護等に関する森林経営計画の作成の促進を支援することなどを目的として、森林整備地域活動支援交付金実施要領(平成14年13林政企第118号農林水産事務次官依命通知)等(以下「要領等」という。)に基づき、林野庁が都道府県に対して基金を造成させるために交付するものである。基金を造成した都道府県は、間伐等の計画的かつ適切な森林整備の推進を図るために、森林経営計画の作成を促進することを目的とした事業(以下「交付金事業」という。)を実施する森林組合等の事業主体に対して、市町村を通じて、この基金を取り崩すなどして交付金(以下「基金交付金」という。)を交付している。要領等において、市町村は、交付金事業のうち、森林の情報を収集したり森林経営計画の作成について森林所有者等の合意を取り付けたりするための活動等を実施した事業主体から、当該地域活動の実施結果を踏まえた実施結果報告書の提出を受けて、森林経営計画の作成について書面により森林所有者等の合意が得られるなどした森林の面積に要領等で定める交付単価を乗じて算出するなどした額を事業主体に交付することとなっている。そして、事業主体は、実施結果報告書提出の翌年度までに森林経営計画を作成したり、作成された森林経営計画の期間内に同計画に基づく間伐等を実施したりすることとなっている。また、市町村は、実施結果報告書提出の翌年度までに森林経営計画が作成されなかった場合や作成された森林経営計画の期間内に同計画に基づく間伐等が実施されなかった場合は、事業主体に基金交付金を返還させて、これを都道府県に返還することとなっている。
本院が、21道府県において会計実地検査を行ったところ、群馬県多野郡神流町及び京都府綾部市を通じてそれぞれ基金交付金の交付を受けていた2事業主体が実施した交付金事業において、実施結果報告書提出の翌年度までに森林経営計画が作成されていなかったり、森林経営計画の期間内に間伐が実施されていなかったりしており、取り崩された基金計4,447,750円(国庫交付金相当額同額)の使用が適切でなく、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2事業主体において交付金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、神流町において森林経営計画の期間内の間伐の実施状況の確認及び事業主体に対する指導等が十分でなかったこと、綾部市において森林経営計画の作成状況の確認及び事業主体に対する指導等が十分でなかったこと、群馬県及び京都府において神流町及び綾部市並びに事業主体に対する指導等が十分でなかったことなどによると認められる。
以上を事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(214) | 林野庁 | 群馬県 | 多野郡神流町 神流川森林組合 (事業主体) |
森林整備地域活動支援交付金 | 24 | 6,711 | 3,355 | 4,992 | 2,496 |
神流川森林組合(神流町所在)は、平成24年度に、神流町内の森林124.29haについて、森林経営計画の作成を促進することを目的として、森林所有者等から森林経営計画を作成すること及び同計画の期間内に間伐を実施することの合意を取り付けるための活動等を事業費6,711,660円で実施して、25年3月に神流町に対して実施結果報告書の提出を行い、群馬県から基金交付金3,355,830円(国庫交付金相当額同額)の交付を受けていた。
しかし、同組合は、実施結果報告書提出の翌年度となる25年度末までに上記124.29haの全てについて森林経営計画を作成していたものの、同計画の終期である29年3月末までに、このうち15.76haについてしか間伐を実施しておらず、残りの108.53haについては間伐を実施していなかったが、同町は、同組合に対して基金交付金を返還させていなかった。
したがって、上記の108.53haについては、森林経営計画の期間内に間伐が実施されておらず補助の目的を達していなかったため、上記の108.53haに係る事業費4,992,380円に対する基金交付金2,496,190円(国庫交付金相当額同額)の使用が適切でなかった。
(215) | 林野庁 | 京都府 | 綾部市 志賀郷地区自治会連合会志賀郷和会 (事業主体) |
森林整備地域活動支援交付金 | 26 | 1,951 | 1,951 | 1,951 | 1,951 |
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志賀郷地区自治会連合会志賀郷和会(綾部市所在)は、平成26年度に、綾部市内の森林72.28haについて、森林経営計画の作成を促進することを目的として、森林所有者等から森林経営計画を作成することの合意を取り付けるための活動等を事業費1,951,560円で実施して、27年3月に綾部市に対して実施結果報告書の提出を行い、京都府から同額の基金交付金(国庫交付金相当額同額)の交付を受けていた。
しかし、同会は、実施結果報告書提出の翌年度となる27年度末までに上記の森林72.28haについて森林経営計画を作成していなかったが、同市は、同会に対して基金交付金を返還させていなかった。
したがって、実施結果報告書提出の翌年度までに森林経営計画が作成されておらず補助の目的を達していなかったため、事業費1,951,560円に対する同額の基金交付金(国庫交付金相当額同額)の使用が適切でなかった。
(214)(215)の計 | 8,663 | 5,307 | 6,943 | 4,447 |
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