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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (4) 補助金等により造成した基金の使用が適切でなかったもの

森林整備加速化・林業再生事業費補助金により造成した基金を用いて購入等したオガ粉製造機が無償譲渡以降利用されていないなどして、補助の目的を達していなかったもの[林野庁](216)


(1件 不当と認める国庫補助金 5,001,456円)

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(216) 林野庁 新潟県 有限会社佐藤甲一商店
(事業主体)
株式会社カエツハウス工業
(承継先)
森林整備加速化・林業再生 21 11,775 10,597 5,557 5,001

森林整備加速化・林業再生事業費補助金は、林業・木材産業等の地域産業の再生を図ることなどを目的として、「森林整備加速化・林業再生事業費補助金交付要綱」(平成21年21林整計第82号農林水産事務次官依命通知)等に基づき、林野庁が都道府県に対して基金を造成させるために交付するものである。そして、基金を造成した都道府県は、木質バイオマス加工流通施設等整備等の事業(以下「基金事業」という。)を実施する事業主体に対して、この基金を取り崩すなどして補助金(以下「基金補助金」という。)を交付している。

 「森林整備加速化・林業再生基金事業実施要領」(平成21年21林整計第89号林野庁長官通知)によれば、基金事業により取得し又は効用の増加した財産については、善良なる管理者の注意をもって管理するとともに、基金事業の目的に沿って使用するなどしなければならないとされている。そして、都道府県は、事業主体に対して同様の条件を基金補助金の交付の条件として定めている。

また、「補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産の処分等の承認基準について」(平成20年20経第385号農林水産省大臣官房経理課長通知)において、農林水産大臣は、補助事業等により取得した財産を、処分制限期間内に、無償で譲渡する場合には、残存簿価等に国庫補助率を乗じた金額を国庫に納付することを条件として付した上で承認を行うこととなっている。ただし、譲渡先が補助条件を承継する場合は、国庫納付は要しないとして、財産処分の承認時に定められた報告期間につき当該財産の利用状況の報告を行うことを条件として付した上で承認を行うこととなっている。

株式会社カエツハウス工業(新潟県村上市所在。以下「会社」という。)は、平成24年2月に、有限会社佐藤甲一商店が基金事業により購入等したオガ粉製造機(以下「製造機」という。)の無償譲渡を受けていた。

上記の製造機は、21年度に、間伐材等の活用を図るために、基金事業として事業費11,775,500円(基金事業対象事業費同額)で購入等されたものであり、新潟県から基金補助金10,597,000円(国庫補助金相当額同額)が交付されていた。そして、農林水産大臣及び同県は、製造機の処分制限期間(耐用年数8年に相当する期間)が30年3月までであることから、譲渡先である会社が補助条件を承継すること及び製造機の利用状況について3年間報告を行うことを条件として、24年2月に、無償譲渡を承認していた。

しかし、製造機は、29年11月の会計実地検査時点において、無償譲渡以降一度も利用されておらず、会社の敷地内で分解された状態でシートが張られるなどして残置されたままとなっており、多くの部品が腐食して固着しているなど、今後利用することが困難な状態となっていた。また、同県は、会社から製造機を利用していないことやその理由等の報告を受けていたものの、農林水産大臣に対して報告を行っていなかった。

したがって、本件基金事業により購入等された製造機は、無償譲渡以降、一度も利用されていないなど、補助の目的を達しておらず、無償譲渡時点における製造機の残存簿価5,557,672円に係る取り崩された基金5,001,456円(国庫補助金相当額同額)の使用が適切ではなく、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、会社において製造機を善良なる管理者の注意をもって管理しなければならないこと及び基金事業の目的に沿って利用することについての認識が欠けていたこと、同県において会社に対する指導等が十分でなかったこと及び利用状況の報告を行うことについての認識が欠けていたこと、林野庁において同県に対する指導等が十分でなかったことなどによると認められる。