(1件 不当と認める国庫補助金 9,180,000円)
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(218) | 近畿農政局 | 大阪府 | 泉南市 (事業主体) |
農村地域防災減災 | 28 | 9,180 | 9,180 | 9,180 | 9,180 |
この補助事業は、泉南市が、地域住民の自主防災力の向上等に資することを目的として、泉南市内に所在する4か所のため池(君ヶ池、双子上池・下池、中の池、昭和池。以下「4池」という。)について、現地踏査、堤体決壊により浸水が想定される区域(以下「浸水想定区域」という。)の検討等を行った上で、地域住民と行政の災害情報を共有し、意識疎通等を図るための情報提供手段としてため池ハザードマップをため池ごとに作成して計6,600部印刷する業務を委託して実施したものである。
同市は、ため池ハザードマップの作成について、「ため池ハザードマップ作成の手引き」(平成25年5月農林水産省農村振興局防災課)を参考に作成された「ため池ハザードマップ作成マニュアル(案)」(平成25年10月大阪府農政室整備課。以下「作成マニュアル」という。)等によることとしている。作成マニュアルによれば、ため池ハザードマップは、どのような状況になれば、どれくらいの区域において、どのように避難すべきかをイメージできる程度のものとするとされており、ため池ハザードマップに記載が必要な項目は、①ため池の情報、②浸水想定区域と被害の形態、③避難場所、④避難時危険箇所、⑤気象予報等、避難情報の伝達方法、⑥気象情報の入手方法、⑦緊急時の連絡先とされている。また、これらの項目のうち、避難時危険箇所については、豪雨時又は地震時における土石流危険区域、急傾斜地崩壊危険区域等のほか、先行して作成された既存のハザードマップに記載されている浸水想定区域も表示することとされている。
しかし、同市は、既存のハザードマップに記載されている浸水想定区域を避難時危険箇所として表示することを委託契約の仕様書に明記しておらず、また、浸水想定区域は、相互に重複又は近接しており、地域住民が安全かつ的確な避難行動をとる上で必要な情報であるにもかかわらず、これらを避難時危険箇所として相互に表示することとしていなかったなどのため、成果品である4池のため池ハザードマップには、表のとおり記載が必要な項目が表示されていなかった。
したがって、本件補助事業は、地域住民と行政の災害情報を共有するなどにより、地域住民の自主防災力の向上等に資するという補助の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金9,180,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、ため池ハザードマップに記載すべき項目についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。
表 ため池ハザードマップに表示されていなかった記載が必要な項目の状況
ため池名
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項目 |
君ヶ池 | 双子上池・下池 | 中の池 | 昭和池 | |
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ため池の情報 | 貯水量 | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
避難場所 | 浸水想定区域外の施設 | ― | 1か所 記載なし |
― | ― |
避難時危険箇所 | 既存のハザードマップに記載されている浸水想定区域 | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
相互に重複又は近接する4池の浸水想定区域 | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 記載なし | |
土石流危険区域 | ― | ― | ― | 記載なし | |
急傾斜地崩壊危険区域 | ― | ― | 記載なし | 記載なし |