【改善の処置を要求したものの全文】
危険地区の山地災害対策の強化に資する治山事業の計画の適切な策定、ソフト対策との連携等について
(平成30年10月30日付け 林野庁長官宛て)
標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり改善の処置を要求する。
記
治山事業は、森林法(昭和26年法律第249号)等に基づき、山地災害から国民の生命、財産等を守ることなどを目的として、山腹工、渓間工等により治山施設を整備するなどする事業である。貴庁は、治山事業について、森林管理局に国有林直轄治山事業等(以下「直轄治山事業」という。)を実施させている。また、都道府県も、森林法等に基づき、国庫補助金等の交付を受けて、民有林における治山事業(以下「補助治山事業」という。)を実施している。
治山事業には、山地における天然現象等によって発生した崩壊地や荒廃渓流等からの土砂、流木等の流出によって下流に被害を与えるなどして、民生安定上放置し難い状況下にある荒廃山地の復旧整備を目的とする復旧治山事業や、天然現象等に起因する崩壊の可能性が高い山地等からの土砂、流木等の流出によって下流に被害を与えるおそれがあり、民生安定上放置し難い状況下にある荒廃危険山地の崩壊等の予防を目的とする予防治山事業等がある。
治山事業に関して、政府は、「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」(平成25年法律第95号)に基づき、「国土強靱化基本計画」(平成26年閣議決定)を策定しており、同計画において、いかなる災害等が発生しようとも、人命の保護が最大限図られること、国民の財産及び公共施設に係る被害を最小化することなどの基本目標を示している。そして、この基本目標の実現に向けて重点化を図る施策のうち、起きてはならない農地・森林等の荒廃による被害の拡大への対策として、山地災害のおそれがある箇所の把握結果に基づき、避難体制の整備等のソフト対策との連携を図りつつ、適切な間伐等の森林整備や総合的かつ効果的な治山対策等、効果的・効率的な手法による災害に強い森林づくりを推進することなどの方針を示している。
そして、貴庁は、地球温暖化の影響で集中豪雨等による山地災害の発生リスクが高まることが見込まれる中、山地災害対策の推進に当たって、より防災効果を高めるための不断の取組が重要であるなどとして、「山地災害対策に関する検討委員会」を設置して今後の山地災害対策の在り方について検討し、平成27年3月に「今後の山地災害対策の強化に向けて」として中間取りまとめを行った。これによれば、森林の造成等により荒廃山地を復旧させることに主眼を置いたこれまでの山地災害対策から、国土の強じん化の一環として、山地災害による被害を防止及び軽減する事前防災としての取組に重点を移していくことが求められているとされている。そして、事前防災としての取組を効果的かつ効率的に進めていくために、既に荒廃現象や崩壊の前兆現象がみられる森林のみならず、山地災害危険地区(以下「危険地区」という。)として把握された潜在的な崩壊等の危険性のある森林も含めた形で、下流の保全対象に被害を与えるリスクや事業実施による効果等を同一の尺度により判断した上で、事業実施後の保安林として適切な管理も含めて、事業を計画していく必要があり、これらを踏まえた事業の進め方等について検討が必要であるとされている。また、治山施設の整備等のハード対策に加え、地域における監視及び観測体制や避難体制の整備等のソフト対策との連携を強化するなどとされている。
森林管理局は、直轄治山事業の実施に当たり、国有林野の管理経営に関する法律(昭和26年法律第246号)等に基づき、5年を計画期間とする国有林野施業実施計画(以下「施業実施計画」という。)を策定することとなっている。また、都道府県は、補助治山事業の実施に当たり、民有林補助治山事業実施要領(昭和48年48林野治第2235号)等に基づき、翌年度に実施する補助治山事業に関する箇所別の事業実施計画(以下「事業箇所別実施計画」という。)を毎年度作成することとなっている。そして、いずれの計画も、治山事業を実施する箇所等や治山施設の整備計画を記載することとなっている(図参照)。
図 治山事業に関する計画の体系図
貴庁は、山地災害の発生確率が高く、かつ、山地災害が発生した場合には人家、公共施設等の保全対象への被害のおそれがある地区を危険地区として把握して、地域住民への周知や警戒避難体制の向上に資するとともに、治山事業の実施に当たっての目安として活用して、山地災害の未然防止に資することとしている。そして、貴庁は、危険地区及びその実態を把握するための調査(以下「危険地区調査」という。)の調査方法等に関する調査要領(以下「危険地区調査要領」という。)を必要の都度定めて、貴庁所管の国有林等については森林管理局が、貴庁所管以外の国有林及び民有林については都道府県がそれぞれ危険地区調査を行うこととしている。
危険地区調査要領によれば、地質、地況等を調査する自然条件調査、山腹崩壊等により保全対象に直接被害を与えるおそれのある地区を調査する公共施設等実態調査等を行い、その結果から、危険地区に該当するかを判定し、危険地区であると判定された場合には、自然条件等により判定する山腹崩壊等の危険度点数と、山腹崩壊等により直接被害が及ぶと想定される範囲に所在する保全対象の種類及び数量により、高い方から順にA、B及びCに区分されている危険度の判定を行うこととされている。そして、貴庁は、山地災害対策の取組として、「山地災害危険地対策の推進について」(昭和57年57林野治第3314号)、「山地災害危険地対策の推進について」(昭和58年58林野治第256号。以下、両者を合わせて「山地災害通知」という。)等を発し、危険地区における治山事業を強力に推進するとともに、危険地区に係るソフト対策として、危険地区の周知を図り、警戒避難体制の確立等災害の防止軽減に努める必要があるとして、森林管理局及び都道府県において危険地区に関する資料を関係市町村に提供して市町村の地域防災計画(注1)に危険地区対策を組み入れるよう指導させている。
森林管理局は、直轄治山事業の実施に当たり、前記の危険地区調査に加え、治山流域別調査要領(昭和55年55林野業第44号)に基づき、山地荒廃の実態を把握し、施業実施計画等の様々な計画の策定及び実行に必要な基礎資料を収集することを目的として、原則として5年ごとに治山流域別調査(以下「流域別調査」という。)を行うこととなっている。
流域別調査を行い、荒廃地からの土砂により直接影響を受ける保全対象の種類等や荒廃地及び保全対象と治山施設の施工箇所との位置関係、流域の重要度等の要素を勘案した結果、調査箇所に治山施設を整備する必要があると判断された場合は、当該箇所について、整備すべき治山施設の種類及び高い方から順に「1」、「2」及び「3」に区分されている施工の優先度の判定等を行い、流域別調査の結果として記載することとなっている。そして、当該箇所が危険地区に該当する場合は、危険地区調査により判定した危険度等も合わせて記載し、上記の要素を合わせて総合的に判断して、整備すべき治山施設の種類及び施工の優先度を記載することとなっている。
本院は、国会からの検査要請に基づき、24年10月に「公共土木施設等における地震・津波対策の実施状況等に関する会計検査の結果について」を報告している。そして、この中で、治山事業については、危険地区内の保全対象施設への被害を未然に防止するため、予防治山対策の推進に努めることなどにより、危険地区における治山施設の整備を推進するとともに、避難場所等の安全を確保するなどソフト対策の充実等を図り、治山施設が災害予防対策に資する施設として有効に機能するようにする必要があるとしている。
(検査の観点及び着眼点)
本院は、合規性、有効性等の観点から、山地災害から国民の生命、財産等を守ることなどを目的とする治山事業は、適切に策定等された治山事業の計画に基づき実施されているか、市町村が危険地区に係るソフト対策を地域防災計画に組み入れるために必要とされている危険地区に関する資料は適切に提供されているかなどに着眼して検査した。
(検査の対象及び方法)
検査に当たっては、7森林管理局(注2)の43森林管理署等(注3)及び22都道府県(注4)の65事業主体が27、28両年度に実施した治山施設工事の契約件数計3,137件(直轄治山事業549件(工事費計696億9094万余円)、補助治山事業2,588件(工事費計896億3005万余円、国庫補助金等交付額計470億5653万余円))を対象として、貴庁、7森林管理局、43森林管理署等及び22都道府県において、治山事業の実施状況等に関する調書を徴するとともに、危険地区及び保全対象並びに治山施設を整備するなどした現地の状況を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。
(検査の結果)
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
7森林管理局は、施業実施計画の策定に当たり、施業実施計画に記載する治山事業を実施する箇所を各森林管理署等と協議して決定するとしており、協議の際に、森林管理署等の職員が森林官からの巡視報告や地域住民からの情報等があった場所の荒廃状況等を現地確認等により把握して作成した資料の内容等を検討して治山施設の整備計画の要否を判断することとしていた。しかし、7森林管理局は、山地災害通知により、危険地区の治山事業を強力に推進するなどとされているのに、施業実施計画の策定に当たり、危険地区調査の結果を踏まえた流域別調査の結果を活用する方法を定めるなどしていなかった。
そこで、7森林管理局の43森林管理署等の危険度Aと判定されていた危険地区939地区のうち28年度末時点で治山施設が整備されていない249地区について、流域別調査の結果で整備すべき治山施設の種類及び施工の優先度が記載されているか確認したところ、山地荒廃の状況が喫緊なものではないと判断された148地区を除いた101地区について、危険度等を総合的に判断した結果として、整備すべき治山施設の種類及び施工の優先度が記載されていた。そして、101地区のうち24地区については、森林管理署等による現地確認等により把握して作成した資料と合わせて流域別調査の結果を活用するなどして、施業実施計画に治山施設の整備計画が記載されていた。
しかし、残りの77地区について、7森林管理局は、77地区に係る23森林管理署等(注5)に、治山施設の整備計画の要否を検討させたり、治山施設の整備を不要と判断した理由について説明を求めたりなどしていなかった。このため、当該77地区については、施業実施計画に治山施設の整備計画が記載されておらず、流域別調査の結果が活用されていなかった。
そして、7森林管理局の23森林管理署等は、27、28両年度に、治山施設の整備計画を検討する際に危険地区調査の結果を踏まえた流域別調査の結果を活用していないことから当該結果が反映されていない施業実施計画に基づき、直轄治山事業に係る治山施設工事を152件(工事費122億3894万余円)実施していた。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例1>
関東森林管理局は、平成24年度に、日光森林管理署管内の流域別調査を実施していた。そして、流域別調査の結果、治山施設が整備されていない危険度Aと判定された危険地区において、山地荒廃が認められたこと、保全対象である人家、施設への山地災害の未然防止が必要であることなどから、山腹工及び渓間工により治山施設を整備する必要があり、その施工の優先度を「1」と判定していた。
一方、25年度に同局が策定した上記の危険地区を含む第四次国有林野施業実施計画(計画期間26年度~30年度)には、上記の危険地区に係る治山施設の整備計画は記載されておらず、現時点まで治山施設の整備は行われていない。
前記の939地区について、流域別調査が原則どおり5年ごとに実施されているか確認したところ、622地区については、前回の調査から5年以内に実施されていた。
しかし、129地区について、3森林管理局は、前回の流域別調査から10年以上流域別調査を実施しておらず、中には、30年以上実施していない危険地区もあった。
このため、上記の129地区に係る流域別調査は、流域別調査の結果として記載されている整備すべき治山施設の種類及び施工の優先度が直近の危険地区調査の結果を活用して更新されたものとなっていなかった。そして、当該129地区については、危険地区調査の結果が適時適切に活用されないまま、当該129地区に係る10施業実施計画が策定されていた。
そして、3森林管理局の11森林管理署等(注6)は、27、28両年度に、上記の10施業実施計画に基づき、直轄治山事業に係る治山施設工事を47件(工事費18億7947万余円)実施していた。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例2>
東北森林管理局は、津軽森林管理署管内に所在する危険地区について、人家、鉄道、国道及び農地の保全対象と自然条件等により、昭和60年度には危険度Aと判定しており、平成19年度の危険地区調査においても同様に危険度Aと判定していた。一方、当該危険地区に係る流域別調査は、昭和60年度に実施されたが、その後、30年以上経過した現時点においても実施されていない。
そして、平成23年度に同局が策定した同流域を計画区域とする第四次国有林野施業実施計画(計画期間24年度~28年度)には、上記の危険地区に係る治山施設の整備計画は記載されておらず、現時点まで治山施設の整備は行われていない。
前記のとおり、貴庁は、山地災害の未然防止に資するために、危険地区調査の結果を治山事業の実施に当たっての目安として活用するとしている。そして、貴庁によれば、補助治山事業の一つである予防治山事業に係る交付金(農山漁村地域整備交付金)の交付手続に必要な事業箇所別実施計画に危険地区欄を設けて、都道府県に、予防治山事業の実施に当たり、危険度に関する記載をさせたり、危険度の低い箇所について治山施設の整備計画に記載する場合(以下、治山施設の整備計画に記載する箇所を「計画箇所」という。)には危険度の高い箇所よりも優先度が高い理由を記載させたりするなどにより、予防治山事業がより効果的に実施されるよう取り組んでいるとしている。
そして、22都道府県のうち、27、28両年度に予防治山事業を実施していない島根県を除いた21都道府県は、予防治山事業に係る事業箇所別実施計画の計画箇所を、基本的に、市町村から事業の要望を受けた箇所(以下「候補箇所」という。)の中から選定しているとしていた。
そこで、候補箇所の全てを選定しているとしていた鹿児島県を除いた20都道府県において、危険度を活用して計画箇所を選定しているかみたところ、7県は、事業箇所別実施計画の作成に当たり、県が制定した選定基準に基づいたり、組織としての体制の中で統一的に選定したりするなどして、全ての候補箇所について危険度を活用して総合的に判断するなどした上で計画箇所を選定していた。
しかし、残りの13都道府県(注7)は、計画箇所に係る選定基準等を定めておらず、選定に危険度を活用するかは出先機関や補助治山事業の担当者等に委ねており、更に、当該担当者等が計画箇所を選定した理由を記載した資料もないため、全ての候補箇所について危険度を活用して判断していたか不明な状況であるなどとしていた。
そして、表1のとおり、13都道府県の危険地区数計77,781地区を危険度別にみると、危険度Aが19,884地区、危険度Bが24,570地区、危険度Cが33,327地区となっていた一方で、13都道府県が27、28両年度に実施した予防治山事業に係る治山施設工事計443件(工事費122億7688万余円、国庫補助金等交付額61億9706万余円)を危険度別にみると、危険度Aの危険地区で152件、危険度Bの危険地区で119件、危険度Cの危険地区で128件等となっていた。
表1 13都道府県における危険度等別の予防治山事業に係る治山施設工事等の実施状況
危険地区等 | 平成27、28両年度に実施した予防治山事業に係る治山施設工事 | |||
---|---|---|---|---|
危険度等 | 地区数 | 件数 | 工事費 | 国庫補助金等交付額 |
A | 19,884 | 152 | 4,285,104 | 2,164,444 |
B | 24,570 | 119 | 3,386,680 | 1,722,523 |
C | 33,327 | 128 | 3,478,447 | 1,752,820 |
計 | 77,781 | 399 | 11,150,232 | 5,639,788 |
その他 | / | 44 | 1,126,657 | 557,280 |
合計 | / | 443 | 12,276,889 | 6,197,068 |
このように、13都道府県において、現地の山地荒廃の状況等と合わせて危険地区調査の結果を活用して総合的に判断して作成されたとはいえない事業箇所別実施計画に基づき治山施設の工事が実施されていた。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例3>
京都府は、平成27年度の福知山市における補助治山事業に係る事業箇所別実施計画の作成に当たり、計画箇所の選定基準等を定めておらず、選定に危険度を活用するかは同府の地方機関に委ねているとしていた。
そして、同府は、26年12月に、福知山市から32か所の候補箇所の要望を受けて、現地の山地荒廃の状況、地形条件等を確認して、予防治山事業の計画箇所として危険度Bの箇所を2か所、危険度Cの箇所を1か所、計3か所を選定していた。
一方、計画箇所として選定されなかった候補箇所29か所のうち復旧治山事業として選定された2か所を除く27か所の危険度について、同府は危険度を把握していなかった。そこで、当該27か所の危険度を確認したところ、危険度Aの箇所が7か所、危険度Bの箇所が9か所、危険度Cの箇所が2か所、危険地区以外の箇所が9か所となっていた。
このため、予防治山事業に係る事業箇所別実施計画の作成に当たり危険度の低い箇所を計画箇所として選定する場合にはその理由の記載を徹底させるなど危険地区調査の結果を活用して総合的に判断させる必要があると認められる。
前記のとおり、貴庁は、治山施設の整備等のハード対策に加え市町村が行う住民への危険地区の周知や警戒避難体制の整備等のソフト対策との連携を図ることとしており、また、森林管理局及び都道府県において危険地区に関する資料を関係市町村に提供して市町村の地域防災計画に危険地区に係るソフト対策として、危険地区対策を組み入れるよう指導させるなどしている。そして、森林管理局及び都道府県は、危険地区に関する資料として、危険地区調査の結果が整理された危険地区の一覧表、危険地区の位置等が記載された5万分の1の地図、保全対象の位置等が記載された5千分の1の地図等を作成しており、山地災害通知に基づき、これらの資料のうち危険地区の一覧表及び危険地区の位置等が記載された5万分の1の地図(以下、両者を合わせて「山地災害通知資料」という。)を市町村に提供している。
そこで、43森林管理署等管内及び22都道府県内の危険地区が所在する市町村における地域防災計画への危険地区対策の組入れ状況をみたところ、表2のとおり、43森林管理署等管内の国有林の危険地区が所在する284市町村のうち71市町村及び22都道府県内の民有林の危険地区が所在する767市町村のうち554市町村では、地域防災計画に危険地区の位置等の情報や避難場所等の安全の確保等に必要な情報を記載するなど危険地区対策の組入れが行われていたが、43森林管理署等管内の上記284市町村のうち213市町村及び22都道府県内の上記767市町村のうち213市町村では、森林管理局及び都道府県において山地災害通知資料を提供していたものの、地域防災計画への危険地区対策の組入れが行われていなかった。地域防災計画への危険地区対策の組入れを行っていない理由について、一部の市町村は、山地災害通知のうち5万分の1の地図には保全対象の位置等が明確に示されていないことを挙げており、保全対象の位置等が記載された上記5千分の1の地図の提供を受けていないことが大きな要因になっていると認められる。
表2 関係市町村の地域防災計画への危険地区対策の組入れ状況(平成28年度末現在)
\ | 関係市町村の地域防災計画への国有林又は民有林に関する危険地区対策の組入れ | ||||
---|---|---|---|---|---|
検査の対象とした森林管理署等数 | 43 | 国有林の危険地区が所在する関係市町村数 | 284 | 国有林に関する組入れが行われていない関係市町村数 | 213 |
国有林に関する組入れが行われている関係市町村数 | 71 | ||||
検査の対象とした都道府県数 | 22 | 民有林の危険地区が所在する関係市町村数 | 767 | 民有林に関する組入れが行われていない関係市町村数 | 213 |
民有林に関する組入れが行われている関係市町村数 | 554 |
そして、7森林管理局の32森林管理署等(注8)は、上記213市町村のうち84市町村において、27、28両年度に、直轄治山事業に係る治山施設の工事を345件(工事費338億0129万余円)実施していた。また、15都道府県(注9)は、上記213市町村のうち120市町村において、27、28両年度に、補助治山事業に係る治山施設の工事を634件(工事費217億6062万余円、国庫補助金等交付額117億0629万余円)実施していた。
このように、32森林管理署等及び15都道府県において、山地災害通知資料は、市町村が危険地区対策を地域防災計画に組み入れるために必要としている資料として十分でなく、市町村の地域防災計画におけるソフト対策との連携が図られないまま当該市町村内で治山施設の工事が実施されていた。
(改善を必要とする事態)
森林管理局が行う直轄治山事業において適切に策定されていない施業実施計画に基づき治山施設の工事が実施されている事態、都道府県が行う補助治山事業において危険地区調査の結果を活用して総合的に判断して作成されたとはいえない事業箇所別実施計画に基づき予防治山事業に係る治山施設の工事が実施されている事態、また、森林管理局及び都道府県が行う直轄治山事業及び補助治山事業において市町村の地域防災計画におけるソフト対策との連携が図られないまま治山施設の工事が実施されている事態は、山地災害から国民の生命、財産等を守ることなどを目的とする治山事業がより効果的に実施されていないおそれがあることから適切ではなく、改善を図る要があると認められる。
(発生原因)
このような事態が生じているのは、森林管理局及び都道府県において、治山事業を適切に策定等された治山事業の計画に基づき行うこと及び市町村の地域防災計画におけるソフト対策との連携を図りつつ行うことの重要性についての理解が十分でないことにもよるが、貴庁において、次のことなどによると認められる。
近年、集中豪雨等により山地災害の発生リスクが高まることが見込まれる中、山地災害が発生した場合には、流出した土砂等により保全対象に被害を与える可能性がある。そして、貴庁においては、事前防災としての取組に重点を移した山地災害対策の強化を図っていく必要があるとし、危険地区における治山事業を強力に推進するとともに、人命保護の立場から危険地区の周知を図り、警戒避難体制の確立等災害の防止軽減に努める必要があるとしている。
ついては、貴庁において、事前防災としての治山事業の計画等がより効果的なものとなり、山地災害から国民の生命、財産等を守ることなどを目的とする治山事業がより効果的なものとなるよう、次のとおり改善の処置を要求する。