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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (1) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

サービス付き高齢者向け住宅整備事業において、支払っていない額を補助対象事業費に含めるなどして実績報告書を提出していて補助対象事業費の算定が適切でなかったもの[国土交通本省](228)―(232)


(5件 不当と認める国庫補助金 25,226,000円)

  部局等 補助事業者等
(所在地)
間接補助事業者等
(所在地)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(228) 国土交通本省 株式会社市浦ハウジング&プランニング
(東京都文京区)
株式会社ケアラニ
(福岡市)
〈事業主体〉
サービス付き高齢者向け住宅整備事業 24、25 158,550
(131,611)
34,189 6,783
(5,633)
1,184
(229) 株式会社高栄ホーム
(滋賀県大津市)
〈事業主体〉
24~26 210,000
(193,709)
19,369 38,000
(35,052)
3,505
(230) 秀和コンサルタント株式会社
(横浜市)
〈事業主体〉
25~27 142,192
(124,711)
20,951 35,418
(31,064)
1,234
(231) 株式会社ライフイノべーション
(青森県北津軽郡板柳町)
〈事業主体〉
27、28 266,000
(254,252)
25,425 183,000
(174,918)
17,492
(232)
A
(奈良県奈良市)
〈事業主体〉
27、28 90,039
(78,787)
7,878 26,039
(18,112)
1,811
(228)―(232)の計 866,781
(783,070)
107,812 289,240
(264,779)
25,226
(注)
事業主体名のアルファベットは、個人事業者を示している。

これらの補助事業は、5事業主体が、サービス付き高齢者向け住宅整備事業(以下「サ高住事業」という。)として、新築又は既存の建物を改修することにより高齢者生活支援施設を備えるなどしたサービス付き高齢者向け住宅(注)(以下「サ高住」という。)を整備したものである。

国土交通省は、サ高住事業を行う民間事業者等の事業主体に対して、公募により選定した者(以下「事務事業者」という。)を通じて補助金を交付している。そして、事務事業者には株式会社市浦ハウジング&プランニングが選定されており、同会社は国土交通省から国庫補助金の交付を受けて、サ高住事業を行う事業主体から提出された実績報告書等の審査等の事務を行っている。

国土交通省の承認を得て事務事業者が定めたサ高住事業に係る交付申請要領等によれば、事業主体は、事業完了後、事業費の総額及び補助対象事業費を記載した実績報告書を提出することとされ、工事請負代金の支払を証する領収書等の写しを実績報告書に添付することとされている。

(注)
サービス付き高齢者向け住宅  入居する60歳以上の者、要介護認定者等に対して状況把握サービス、生活相談サービス等を提供する賃貸住宅又は有料老人ホーム

しかし、5事業主体が実施した計5件の補助事業(国庫補助金交付額計107,812,000円)において、事業主体は、実績報告書で報告した事業費よりも低額で事業を実施していたのに、虚偽の内容の領収書等の写しを添付して、支払っていない額を補助対象事業費に含めるなどして実績報告書を提出していたため、補助対象事業費が計264,779,000円過大に算定されていて、これに係る国庫補助金相当額計25,226,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、5事業主体において補助事業の適正な実施に対する認識が著しく欠けていたこと、事務事業者において実績報告書の審査及び確認が十分でなかったこと、国土交通省において事務事業者に対する指導監督が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

株式会社高栄ホームは、平成24年度から26年度までの間に、滋賀県大津市において、新築により高齢者生活支援施設を備えたサ高住の整備を総事業費210,000,000円(補助対象事業費193,709,000円)で実施したとする実績報告書を、工事請負契約書の写し及び工事請負代金210,000,000円を全額支払ったとする領収書の写しを添付して、事務事業者に提出し、国庫補助金19,369,000円の交付を受けていた。

しかし、実績報告書に添付されていた領収書の写しは虚偽のものであり、実際には、同社は、本件事業に係る工事請負契約の変更を行っていて、変更後に請負業者に支払っていた工事請負代金は172,000,000円であった。

したがって、上記の工事請負代金の支払額172,000,000円に基づき適正な補助対象事業費を算定すると、158,657,000円となり、補助対象事業費が35,052,000円過大となっていて、これに係る国庫補助金相当額3,505,000円が過大となっていた。