(2件 不当と認める国庫補助金 4,914,000円)
サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)(以下「サステナブル事業」という。)は、住宅・建築物環境対策事業費補助金交付要綱(平成22年国住生第9号)等に基づき、構造や防火面の先導的な設計・施工技術の導入により構造材又は内外装材に木材を一定以上使用していること、木材利用に関する建築生産システムについて先導性を有する計画であることなどの要件を満たす木造建築物等の整備を行う地方公共団体、民間事業者等(以下「事業主体」という。)に対して、国土交通省が補助金を交付するものである。
国土交通省は、サステナブル事業を行う事業主体に対して、公募により選定した者(以下「事務事業者」という。)を通じて補助金を交付している。そして、事務事業者には一般社団法人木を活かす建築推進協議会が選定されており、同協議会は国土交通省から国庫補助金の交付を受けて、サステナブル事業を行う事業主体から提出された実績報告書等の審査等の事務を行っている。
国土交通省の承認を得て事務事業者が定めた平成27年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)補助金交付規程に基づき作成された補助金交付手続マニュアル等によると、建築物の調査設計計画費のうち、補助金の交付対象となるのは、先導的な木造化・木質化に関連する費用であり、具体的には、実施設計等の費用は補助の対象となるが、基本設計、確認申請、工事監理等の費用は補助の対象とはならないこととなっている。
本院が29事業主体において会計実地検査を行ったところ、2事業主体が実施した計2件の補助事業(国庫補助金交付額計82,159,000円)において、支払っていない費用を支払ったこととしたり、補助の対象とならない費用を補助対象事業費に含めたりして実績報告書を提出していたため、補助対象事業費計9,848,000円が過大に精算されていて、これらに係る国庫補助金相当額計4,914,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2事業主体において補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、事務事業者において実績報告書の審査及び確認が十分でなかったこと、国土交通省において事務事業者に対する指導監督が十分でなかったことなどによると認められる。
以上を事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者等 (所在地) |
間接補助事業者等 (所在地) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(236) | 国土交通本省 | 一般社団法人木を活かす建築推進協議会 (東京都港区) |
株式会社 アイルインホテル&リゾート (横浜市) 〈事業主体〉 |
サステナブル建築物等先導事業 (木造先導型) |
27 | 19,288 (6,518) |
3,259 | 6,518 (6,518) |
3,259 |
株式会社アイルインホテル&リゾートは、平成27年度に、北九州市において、汎用流通材の組合せによって大スパン空間を実現した宿泊施設を整備する事業の実施設計等を調査設計計画費19,288,000円(補助対象事業費6,518,000円)で実施したとする実績報告書を事務事業者に提出し、国庫補助金3,259,000円の交付を受けていた。そして、同社は、事務事業者の求めに応じて、上記の実施設計等に係る領収書の写しを提出していた。
しかし、本件事業の支払状況等をみると、事務事業者に提出された領収書の写しは虚偽のものであり、29年11月の会計実地検査時点においても、実施設計等に係る支払は全く行われていなかった。
したがって、本件事業は、実際には支払っていない費用を支払ったこととする実績報告が行われていて、これに係る国庫補助金3,259,000円が過大に精算されていた。
(237) | 国土交通本省 | 一般社団法人木を活かす建築推進協議会 (東京都港区) |
太陽工業株式会社 (東京都目黒区) 〈事業主体〉 |
サステナブル建築物等先導事業 (木造先導型) |
27~29 | 482,228 (460,909) |
78,900 | 3,330 (3,330) |
1,655 |
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太陽工業株式会社は、平成27年度から29年度までの間に、東京都江東区において、木製の小断面部材をユニット化し、これを組み上げてトンネル形状のスポーツ練習場を整備する事業を総事業費482,228,278円(補助対象事業費460,909,015円)で実施したとする実績報告書を事務事業者に提出し、国庫補助金78,900,000円の交付を受けていた。
しかし、同社は、上記の補助対象事業費について、誤って、補助の対象とならない基本設計、確認申請、工事監理に係る諸経費及び技術料を含めて算定していた。
したがって、上記の諸経費及び技術料を除いて適正な補助対象事業費を算定すると457,579,015円となり、補助対象事業費が3,330,000円過大となっていて、これに係る国庫補助金相当額1,655,000円が過大に精算されていた。
(236)(237)の計 | 501,516 (467,427) |
82,159 | 9,848 (9,848) |
4,914 |
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