(1件 不当と認める国庫補助金 1,785,588円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(240) | 北海道 | 北海道 | 防災・安全交付金 (河川) |
28 | 99,829 (99,829) |
54,905 | 3,246 (3,246) |
1,785 |
この交付金事業は、北海道が、二級河川望来川の河川改修に伴い支障となる鉄塔10基、電線等からなる架空送電線路(延長802m)の移設に要する費用を電気事業者に対して補償するなどしたものであり、本件補償等の業務を北海道土地開発公社に委託し、同公社に対して委託費99,829,031円(交付金交付額54,905,967円)を支払っている。
北海道は、本件委託費のうち架空送電線路の移設に係る補償費(以下「移設補償費」という。)について、同公社が行った算定内容の審査を行うなどして、93,680,366円としていた。
「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」(昭和42年閣議決定)、「公共補償基準要綱の運用申し合せ」(昭和42年用地対策連絡会。以下、これらを合わせて「公共補償基準」という。)等によれば、公共事業の施行に伴い、既存公共施設等の管理者が、機能の廃止等が必要となる既存公共施設等の代替の公共施設等を建設する場合においては、当該公共施設等を建設するために必要な費用から、既存公共施設等の機能廃止の時までの財産価値の減耗分(以下「減価相当額」という。)等を控除して補償費を算定することとされている。そして、架空送電線路の場合は、減価相当額の算定対象は鉄塔とされており、原則として鉄塔本体に係る減価償却の累積額をもって減価相当額とすることとされている。一方で、鉄道の線路、電線路等の既存公共施設等の一部を移設する場合において、移設する区間がごく僅かであり、移設後の代替の公共施設等が、既存公共施設等の1管理区間全体の耐用年数の延長に寄与しないことが明らかである場合には、減価相当額の全部又は一部を控除しないで補償費を算定することができることとされている。ただし、耐用年数の延長に寄与するか否かについては、取替えなどの規模等により個別に判断することとされており、移設部分が取替えなどの一つの発注単位となる場合には、移設部分の耐用年数の延長に寄与することになることから、移設部分の減価相当額を控除して補償費を算定することとされている。
北海道は、移設補償費の算定において、本件架空送電線路の移設区間は延長802mであり、架空送電線路の1管理区間として設定した変電所間の架空送電線路の延長の26kmに比べてごく僅かであることから、その全体の耐用年数の延長に寄与しないとして、減価相当額を控除していなかった。
しかし、本件補償における架空送電線路については、鉄塔を移設して鉄塔間に電線を架設等するものであり、既存の鉄塔は、設置年月が区々であることなどから、取替えなどの際の一つの単位として移設されることになる。このため、代替の鉄塔を新設することにより、本件架空送電線路の耐用年数の延長に寄与することになり、本件移設補償費の算定に当たっては、公共補償基準等に従い、鉄塔に係る減価相当額を控除すべきであった。
したがって、既存の鉄塔10基に係る減価相当額3,081,525円を控除の対象として適正な移設補償費を算定すると90,598,841円となり、これに基づくなどして適正な委託費を算定すると96,582,506円となることから、本件委託費99,829,031円はこれに比べて3,246,525円過大となっており、これに係る交付金相当額1,785,588円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、北海道において、公共補償基準等における減価相当額の取扱いについての理解が十分でなかったことなどによると認められる。