(1件 不当と認める国庫補助金 32,322,457円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(242) | 和歌山県 | 和歌山県 | 社会資本整備総合交付金 (道路) |
26 | 76,273 (53,514) |
34,784 | 70,876 (49,727) |
32,322 |
この交付金事業は、和歌山県が、東牟婁郡串本町上田原地内において、橋りょう(橋長37.0m、幅員8.2m)を新設するために、上部構造として橋桁等の製作を行うなどし、過年度に下部構造として築造した橋台に架設するなどの工事を実施したものである。そして、本件橋りょうは、橋軸と支承の中心線とのなす角(以下「斜角」という。)が51度の斜橋となっている(参考図1参照)。
同県は、本件橋りょうの設計を「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会編。以下「示方書」という。)等に基づき行うこととしている。
示方書によれば、橋りょうの設計においては、耐震設計で想定していない挙動等により、上部構造と下部構造との接合部である支承部が破壊されるなどした場合でも、上部構造の落下を防止できるように検討を行うものとされている。そして、橋りょうが所定の判定式(注1)により斜角の小さい斜橋であると判定される場合には、地震発生時に支承部が破壊された際、上部構造が回転することにより下部構造の頂部から逸脱して橋軸直角方向に落橋する可能性がある(参考図2参照)ことから、これを防止するために、変位制限構造(注2)を設置することとされている。
同県は、本件橋りょうを上記の判定式により斜角の小さい斜橋であると判定していたが、支承部が変位制限構造と同等の耐震性能を有するよう設計されていることから、変位制限構造の設置は不要であると判断して、これを設置しないこととし、これにより施工していた。
しかし、本件橋りょうは斜角の小さい斜橋であることから、支承部の有する耐震性能にかかわらず、変位制限構造を設置する必要があった。
したがって、本件橋りょうの上部構造等(工事費相当額70,876,000円)は、設計が適切でなかったため、地震発生時において所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額32,322,457円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、示方書についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図1)
橋りょう概念図
(参考図2)
斜角の小さい斜橋の落橋の概念図