(1件 不当と認める国庫補助金 10,000,212円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(246) | 兵庫県 | 丹波市 | 河川等災害復旧 | 28 | 14,388 (14,388) |
10,000 | 14,388 (14,388) |
10,000 |
この補助事業は、丹波市が、丹波市山南町阿草地内において、豪雨により被災した一級河川篠山川に近接している市道青田阿草線の石積擁壁を復旧するために、もたれ式コンクリート擁壁(高さ6.8m~8.9m、延長6.8m。以下「擁壁」という。)を築造するなどしたものである。
同市は、本件擁壁の設計を「道路土工 擁壁工指針」(社団法人日本道路協会編。以下「指針」という。)に基づいて行っている。そして、同市は、擁壁背後の地形が水平であり、河川の水位の影響がないことを前提条件として、擁壁に作用する土圧を算定して、これに基づき、滑動及び転倒に対する安定計算を行った結果、安全であるとして、これにより施工していた。
しかし、実際の擁壁背後の地形は、擁壁天端から道路幅員(2.3m)の部分についてはほぼ水平であるものの、それより先については上方に勾配のある傾斜地となっていた。このような場合、擁壁に作用する土圧が擁壁背後の地形が水平である場合より増加することになる。
また、指針によれば、河川の水際に設置される擁壁のように壁の前後で水位差が生じる場合には、水位差による擁壁に対する水圧(以下「残留水圧」という。)と浮力を考慮する必要があるとされている。しかし、前記のとおり、同市は、本件擁壁の安定計算において、擁壁の前面が河川であることから残留水圧及び浮力を考慮する必要があったのに、これらを考慮していなかった。
そこで、指針に基づき、実際の擁壁背後の地形、残留水圧及び浮力を考慮して、改めて安定計算を行ったところ、次のとおり、安定計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
① 滑動に対する安定については、安全率が0.85となり、許容値である1.5を大幅に下回っていた。
② 転倒に対する安定については、擁壁に作用する擁壁背面の土圧等による水平荷重及び擁壁のコンクリートの自重等による鉛直荷重の合力の作用位置が転倒に対して安全であるとされる範囲(擁壁底版(長さ2.23m)中央の位置より擁壁背後側)を河川側に0.441m逸脱していた(参考図参照)。
したがって、本件擁壁(工事費14,388,840円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金10,000,212円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
擁壁背後の地形と擁壁に作用する合力の概念図