(1件 不当と認める国庫補助金 8,832,600円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(247) | 沖縄総合事務局 | 沖縄県 | 沖縄振興公共投資交付金 | 27、28 | 121,949 (121,440) |
40,480 | 26,497 (26,497) |
8,832 |
この交付金事業は、沖縄県が、避難港である船浮港において、利用効率の低下した港湾施設を有効活用するために、暴風雨等から避難する船舶が停泊する際に使用する係船浮標(注1)(参考図参照)について、載貨重量トン数(注2)が500トン以下の船舶に対応する係船浮標(以下「500トン浮標」という。)3基、1,000トン以下の船舶に対応する係船浮標(以下「1,000トン浮標」という。)1基、3,000トン以下の船舶に対応する係船浮標(以下「3,000トン浮標」という。)2基、計6基の既設の係船浮標を撤去し、新たに500トン浮標3基、1,000トン浮標1基、計4基を設置する工事を実施したものである。
同県は、「港湾の施設の技術上の基準・同解説」(国土交通省港湾局監修)が平成19年7月に改訂されて、係船浮標に働く船舶の設計上のけん引力が大きくなったことから、それに対応した500トン浮標及び1,000トン浮標を新設する場合の設計と既設の係船浮標の再利用等の検討を設計コンサルタントに委託して、24年6月に設計報告書の提出を受けていた。そして、当該設計報告書によれば、既設の3,000トン浮標2基は、一部の部材を取り替えるなどの補修を行えば、新設の500トン浮標と同等以上の性能を有することになるから、500トン浮標として再利用が可能であるとされていたが、同県は、再利用するためには浮体の運搬、補修等を行わなければならないことから、27年度に既設の3,000トン浮標2基を撤去し、28年度に500トン浮標2基を新設していた。
しかし、500トン浮標2基を新設する場合と既設の3,000トン浮標2基を500トン浮標として再利用する場合の費用を比較したところ、再利用に当たっては、既設浮体の保管、改良部材の製作・取付けなどが新たに必要となるものの、新設する係船浮標の製作が不要となることから、既設の3,000トン浮標2基を500トン浮標として再利用する方が経済的となっていた。
したがって、既設の3,000トン浮標2基を500トン浮標として再利用することとして本件工事費を算定すると計94,942,800円となり、本件工事の交付対象事業費計121,440,600円はこれに比べて26,497,800円が過大となっていて、これに係る交付金相当額8,832,600円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、既設の係船浮標を再利用することについての検討が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
係船浮標の概念図