(1件 不当と認める国庫補助金 1,981,657円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(248) | 島根県 | 島根県 | 河川等災害復旧 | 25、26 | 26,620 (26,620) |
17,756 | 2,971 (2,971) |
1,981 |
この補助事業は、島根県が、江津市嘉久志町地内の二級河川新川において、豪雨により被災した護岸等を復旧するために、護岸工としてブロック積護岸(延長82.0m、28.5m及び14.0mの3か所)等を築造したものである。
同県は、護岸工の設計を「建設省河川砂防技術基準(案)同解説」(社団法人日本河川協会編)、「美しい山河を守る災害復旧基本方針」(社団法人全国防災協会編。以下、これらを合わせて「技術基準」という。)等に基づいて行うこととしている。技術基準等によれば、現況最深河床高から護岸の基礎工の天端までの深さ(以下「根入れ深さ」という。)については、流水による河床の洗掘に対応するために、0.5mから1.5m程度確保することとされ、その深さは河川規模、洗掘状況、流速等を考慮して設定することなどとされており、また、根入れ深さは、小河川以外の河川、急流河川等では1.0mから1.5mの事例が多いとされていることから、同県は、小河川以外の河川については根入れ深さを1.0m確保することとしている。
そして、同県は、本件護岸工の設計に当たり、当該河川が小河川以外の河川に当たることから、技術基準等により河川の規模等を考慮し根入れ深さを1.0mと決定して、3か所の施工箇所のうちブロック積護岸延長14.0mにおいては、1.0mの根入れ深さを確保するために、計画河床高から基礎工の天端までの深さを1.81mとするなどの設計をしていた(参考図参照)。
しかし、当該ブロック積護岸の基礎を設置するための河床の床掘作業の過程で、請負人から、当初の設計どおり河床を掘り下げると護岸背後の民有地に影響を与えるおそれがあるとの申出を受けたため、同県は、計画河床高から基礎工の天端までの深さが1.0m確保されていれば護岸の構造上問題ないと誤って認識して、その深さ1.81mを1.0mとするなどの設計変更を行い、これにより施工していた(参考図参照)。
このため、当該ブロック積護岸の根入れ深さは0.19mとなり、技術基準等により必要とされる根入れ深さ1.0mが確保されておらず、河床の洗掘が進行すると護岸等に損傷が生ずるおそれがある状況となっていた。
したがって、本件護岸工のうちブロック積護岸延長14.0m(工事費相当額2,971,000円)は、設計が適切でなかったため、河床の洗掘に対応できない構造となっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額1,981,657円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、技術基準等についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
現況最深河床高地点における断面の概念図