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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 国土交通省|
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  • (4) 補助の対象とならないもの

サービス付き高齢者向け住宅整備事業において、交付決定前に事業に着手していて補助の対象とならないもの[国土交通本省](252)


(1件 不当と認める国庫補助金 18,637,000円)

  部局等 補助事業者等
(所在地)
間接補助事業者等
(所在地)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(252) 国土交通本省 株式会社市浦ハウジング&プランニング
(東京都文京区)
A
(岩手県盛岡市)
〈事業主体〉
サービス付き高齢者向け住宅整備事業 24、25 189,000
(186,386)
18,637 189,000
(186,386)
18,637
(注)
事業主体名のアルファベットは、個人事業者を示している。

この補助事業は、Aが、サービス付き高齢者向け住宅整備事業(以下「サ高住事業」という。)として、岩手県盛岡市において、新築により高齢者生活支援施設を備えたサービス付き高齢者向け住宅(注)を整備したものである。

国土交通省は、サ高住事業を行う民間事業者等の事業主体に対して、公募により選定した者(以下「事務事業者」という。)を通じて補助金を交付している。そして、事務事業者には株式会社市浦ハウジング&プランニングが選定されており、同会社は国土交通省から国庫補助金の交付を受けて、サ高住事業を行う事業主体から提出された実績報告書等の審査等の事務を行っている。

国土交通省の承認を得て事務事業者が定めたサ高住事業に係る交付申請要領等によれば、事業の着手は、交付決定日以後可能となり、交付決定日より前に事業の着手を行った場合は補助の対象にならないこととされていて、事業の着手時期については、補助対象となる工事請負契約の契約行為をもって判断することとされている。また、事業主体は、事業完了後、契約締結日を証する工事請負契約書を実績報告書に添付することとされている。

(注)
サービス付き高齢者向け住宅  入居する60歳以上の者、要介護認定者等に対して状況把握サービス、生活相談サービス等を提供する賃貸住宅又は有料老人ホーム

同人は、平成24、25両年度に、交付決定後にサ高住事業に着手するとして、24年9月に事務事業者に国庫補助金の交付申請を行い、同年11月に交付決定を受けた。その後、同人は、本件事業を総事業費189,000,000円(補助対象事業費186,386,000円)で実施したとする実績報告書を、契約締結年月日が交付決定日以降であるとする工事請負契約書の写しを添付して、事務事業者に提出し、国庫補助金18,637,000円の交付を受けていた。

しかし、事務事業者に提出された工事請負契約書の写しの契約締結年月日は虚偽のものであり、実際には、同人は、国庫補助金の交付決定日より前の同年9月に契約を締結していた。

したがって、本件事業は、補助の対象とは認められず、これに係る国庫補助金18,637,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主体において補助事業の適正な実施に対する認識が著しく欠けていたこと、事務事業者において実績報告書の審査及び確認が十分でなかったこと、国土交通省において事務事業者に対する指導監督が十分でなかったことなどによると認められる。