(1件 不当と認める国庫補助金 12,679,000円)
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(268) | 環境本省 | 公益財団法人日本環境協会 | 茨城県牛久市 | 二酸化炭素排出抑制対策 | 27 | 76,140 (67,967) |
45,311 | 19,018 (19,018) |
12,679 |
この補助事業は、牛久市が、地域における低炭素地域づくりのための再生可能エネルギー設備等の導入事業(以下「導入事業」という。)として、同市の本庁舎に太陽光発電設備、蓄電池設備等を設置したものである。
環境省は、導入事業の実施に当たり、事業主体から提出された交付申請書の受理、交付の決定、実績報告書等の審査、国庫補助金の交付等の事務を公募により選定した者に行わせており、平成27年度については、公益財団法人日本環境協会(以下「協会」という。)が選定され、協会は、上記の事務に対して、環境省から国庫補助金の交付を受けている。
環境省の承認を得て協会が定めた「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(先導的「低炭素・循環・自然共生」地域創出事業のうちグリーンプラン・パートナーシップ事業)交付規程」(以下「規程」という。)等によれば、補助金の交付の対象となるのは、二酸化炭素の排出削減に直接資する設備等の導入事業を行うために必要な工事費等とされている。そして、規程等によると、太陽光発電設備に附帯する蓄電池設備については、蓄電池設備のみでは二酸化炭素の排出削減効果がないため、交付の対象とならないが、昼間に発電された電力が消費電力を上回って生じた余剰電力を蓄電池設備に充電して、充電した電力を夜間に使用する場合は、再生可能エネルギーの効率的利用のために必須である場合として、交付の対象になることになっている。
同市は、本件補助事業について、同市の本庁舎において、太陽光発電設備(出力10.2kW)、蓄電池設備(充電可能量15.6kWh)等を整備する工事を、事業費76,140,000円(補助対象事業費67,967,470円、補助金交付額45,311,000円、国庫補助金相当額同額)で実施したとして、実績報告書を協会に提出して、国庫補助金の交付を受けていた。
しかし、同市は、昼間に発電された電力が消費電力を上回って余剰電力が生ずるかについて検討していなかった。
そこで、太陽光発電設備により発電された電力が同市の本庁舎における消費電力を上回っているかについてみたところ、太陽光発電設備により発電される電力が小さいことから、消費電力を上回ることがなく、余剰電力が蓄電池設備に充電されないため、蓄電池設備については、再生可能エネルギーの効率的な利用のために必須である場合に該当しないのに、同市は、蓄電池設備に係る工事費を補助対象事業費に含めていた。なお、28年2月に太陽光発電設備が稼働してから、30年4月の会計実地検査時点までの間においても、余剰電力が蓄電池設備に充電されていなかった。
したがって、交付の対象とならない蓄電池設備に係る工事費19,018,629円は、補助の対象とは認められず、これに係る国庫補助金相当額12,679,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において補助対象事業費の算定に対する理解が十分でなかったこと、協会において実績報告書等の審査及び確認が十分でなかったこと、環境本省において協会に対する指導監督が十分でなかったことなどによると認められる。