(1件 不当と認める国庫補助金 12,118,619円)
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(269) | 環境本省 | 一般財団法人環境イノベーション情報機構 | 愛媛県 | 二酸化炭素排出抑制対策 | 27 | 34,132 (34,132) |
34,132 | 12,118 (12,118) |
12,118 |
この補助事業は、愛媛県が、地震や台風等による大規模な災害に備え、地域の防災拠点等に再生可能エネルギー等を活用した災害に強い自立・分散型のエネルギーシステムを導入する事業(以下「導入事業」という。)として、太陽光発電設備等を設置したものである。
環境省は、導入事業の実施に当たり、事業主体から提出された交付申請書の受理、交付の決定、実績報告書等の審査、国庫補助金の交付等の事務を公募により選定した者に行わせており、平成27年度については、一般財団法人環境イノベーション情報機構(以下「機構」という。)が選定され、機構は、上記の事務に対して、環境省から国庫補助金の交付を受けている。
そして、同県は、環境省の承認を得て機構が定めた「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(防災拠点等への再生可能エネルギー等導入推進事業)交付規程」等に基づき、愛媛県地域防災計画における災害時の防災拠点となる愛媛県産業技術研究所繊維産業技術センターにおいて、太陽光発電設備として、敷地内の駐車場の砕石路盤上にコンクリート基礎を据え置いた上に、架台及び太陽光パネルを設置するなどの工事を実施していた。
同県は、上記太陽光発電設備の設計を「太陽電池アレイ用支持物設計標準」(財団法人日本規格協会発行。以下「基準」という。)等に基づいて行うこととしており、風圧力等に対する安定計算の結果を踏まえて同設備を設置していた。
しかし、基準等によれば、太陽光発電設備の基礎の設計に当たっては、地震時等において基礎底面に作用する水平力が、基礎底面と接地面との摩擦により生ずる滑動抵抗力を下回ることなどを検討することとされているのに、同県は、この検討を行っていなかった。
そこで、基準等に基づき太陽光発電設備の基礎の安定計算を行ったところ、地震時において基礎底面に作用する水平力は49.85kNとなり、基礎底面と接地面との摩擦により生ずる滑動抵抗力31.15kNを大幅に上回っていて、安定計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
したがって、本件太陽光発電設備(工事費相当額12,118,619円)は基礎の設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態となっており、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額12,118,619円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において太陽光発電設備の設計における安定計算の必要性に対する理解が十分でなかったこと、環境本省において機構に対する指導監督が十分でなかったことなどによると認められる。