【適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたものの全文】
委託事業により取得した物品の管理等について
(平成30年10月15日付け 原子力規制委員会委員長宛て)
標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求める。
記
貴委員会(平成13年1月5日以前は科学技術庁、13年1月6日から24年9月18日までは原子力安全・保安院及び文部科学省、24年9月19日から25年3月31日までは原子力規制委員会及び文部科学省。以下同じ。)は、環境放射能の影響調査や放射線に関する技術研究等のために、毎年度、都道府県や研究機関等と委託契約を締結して多数の事業を実施している。そして、委託事業の実施に必要な経費を委託費として支払っており、受託者は、委託費により必要な測定装置等の物品を取得している(以下、受託者が委託事業の実施に必要なものとして委託費により取得した20万円以上の物品を「委託事業物品」という。)。委託事業に係る委託契約書等によれば、受託者は、委託事業物品について、委託事業終了後、取得財産管理台帳を備えて、善良な管理者の注意をもって管理することなどとされている。
物品管理法(昭和31年法律第113号)において、物品とは、国が所有する動産のうち船舶、航空機等の国有財産法(昭和23年法律第73号)による国有財産等以外のものなどと定められている。そして、国有財産法によれば、国有財産とは、国の負担において国有となった財産等であって不動産、船舶、航空機等に該当するものとされている。
物品管理法等によれば、国の物品の管理については、物品管理簿を備えて品目ごとに、物品の増減等の異動数量、現在高等を記録することなどとされており、取得価格が50万円以上の機械及び器具(以下「重要物品」という。)については、その取得価格を記録することとされている。また、この取得価格には、物品の価値そのものの増加をもたらさない据付工事費、運送費等の附帯費用を含めないことになっている。
そして、各省各庁の長は、重要物品について、毎会計年度末の物品管理簿の記録内容に基づいて、物品増減及び現在額報告書(以下「物品報告書」という。)を作成することとされている。
復興庁予算・会計班から発出された「復興費用で取得した物品の帰属する会計について」(平成24年12月3日付け。以下「復興庁事務連絡」という。)によれば、東日本大震災復興特別会計(以下「復興特会」という。)の予算により取得した物品については、専ら復興事業に使用するという特別な場合を除き、一般会計へ管理換をして、一般会計で管理することとされている。そして、専ら復興事業の用に供する物品とは、復興事業以外に使用する可能性が低い特殊車両や被災地に限定して使用する物品等、実質的に復興事業の用に供する物品が該当し、事業又は使用場所を特定せずに使用できる物品は、原則的に一般会計で管理することとされている。
原子力規制庁の事務連絡「委託事業により取得した財産の取扱い(所有権移転・無償貸付)」(平成27年3月長官官房参事官(会計担当)付)によれば、委託事業の執行担当課は、毎年度の委託事業終了後に、委託事業物品の活用方法を検討することとされており、貴委員会においてその活用方法が確定され次第、受託者に対して、委託事業物品の所有権を貴委員会に移転するよう指示する旨の通知書を送付することなどとされている。その後、執行担当課は、財産取得通知書を物品管理官の補助者である物品管理係に提出し、物品管理係は、当該通知書に基づき、所有権の移転が行われた委託事業物品を貴委員会の物品管理簿に記録することとされている。そして、貴委員会は、この事務連絡を発出する前に取得した委託事業物品についても、27年度以降に上記所有権移転の手続を行っている。
また、復興特会の予算により取得した委託事業物品(以下「復興特会委託事業物品」という。)については、復興庁事務連絡に基づき、専ら復興事業の用に供する物品を除き、所有権移転時に復興特会に属する物品として一度整理した上で、同一年度内に一般会計への管理換を行わなければならない。
委託事業物品の活用方法には、受託者への無償貸付、公募による売払い等の方法がある。このうち無償貸付は、財政法(昭和22年法律第34号)により国の財産が適正な対価なくして貸し付けてはならないなどとされていることの例外として、物品の無償貸付及び譲与等に関する法律(昭和22年法律第229号)に基づいて行われるものである。貴委員会においては、「環境省所管に属する物品の無償貸付及び譲与に関する省令」(平成12年総理府令第140号)等に基づき、受託者が委託事業終了後に委託事業物品の継続使用を希望する場合において、受託者に対して、継続使用する委託事業物品を善良な管理者の注意をもって管理すること、貸付けの目的以外の目的のために使用しないことなどの条件を付して、委託事業物品を無償で貸し付けることとしている。そして、受託者が委託事業物品を使用する見込みがなくなった場合には、速やかにその旨の報告をさせることとしている。
(検査の観点及び着眼点)
本院は、正確性、合規性、経済性、有効性等の観点から、受託者に継続使用させている委託事業物品について、所有権の移転及び無償貸付(以下、これらを合わせて「無償貸付等」という。)の手続並びに物品管理簿への記録が適切に行われているか、無償貸付の条件に従って適切に管理されているかなどに着眼して検査した。
(検査の対象及び方法)
検査に当たっては、29年3月末時点において、貴委員会の委託事業を実施している47都道府県、公益財団法人日本分析センター(以下「センター」という。)及び国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「JAEA」といい、これらを合わせて「都道府県等」という。)に無償貸付されているとして貴委員会の一般会計、エネルギー対策特別会計(以下「エネルギー特会」という。)及び復興特会の3会計の物品管理簿に記録されている委託事業物品のうち重要物品1,871個(取得価格計166億7262万余円)、復興特会の物品管理簿に記録されている全ての委託事業物品のうち重要物品161個(同6億1079万余円。上記1,871個のうちJAEAに無償貸付されている24個、同2億1775万余円を含む。)並びに都道府県等が備えている取得財産管理台帳等に記録されている委託事業物品のうち取得価格が50万円以上の物品1,671個(同175億3504万余円。これらの計3,703個から重複を除いた純計は2,146個、同184億4604万余円)を対象として、貴委員会において、物品管理簿、委託事業の契約関係書類、委託事業物品の無償貸付等関係書類、都道府県等の取得財産管理台帳等を検査するとともに、10県(注)、センター及びJAEAにおいて、30年3月末現在における委託事業物品の管理状況を確認するなどして会計実地検査を行った。
(検査の結果)
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
29年3月末時点において、表1のとおり、委託事業物品87個(取得価格計5億6740万余円)が物品管理簿に記録されていなかった。このうち、25年4月1日に文部科学省から事業の移管を受けた貴委員会が無償貸付等の手続を行うこととなる委託事業物品72個(同5億4833万余円)について確認したところ、43個(同4億3176万余円)は、執行担当課が都道府県等に対して委託事業物品の所有権を貴委員会に移転するよう指示する旨の通知書を送付していなかったため、無償貸付等の手続を経ないまま都道府県等に委託事業物品を使用させていて、物品管理簿に記録されていなかったものであり、このうち、貴委員会が事業の移管を受けてから29年3月末時点までの4年間にわたって継続使用させていたものが21個(同1億6381万余円)に上っていた。また、残りの29個(同1億1657万余円)は、無償貸付等の手続を経て使用されていたが、執行担当課が物品管理係に財産取得通知書を提出していなかったことから物品管理簿に記録されていなかった。
表1 物品管理簿に記録されていない委託事業物品の状況
都道府県等の別 | 物品管理簿に記録されていない委託事業物品 | |||||||||||
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うち貴委員会に事業が移管される前に無償貸付等の手続を行うこととなるもの | うち貴委員会に事業が移管された後に無償貸付等の手続を行うこととなるもの | |||||||||||
うち無償貸付等の手続を経ないまま、都道府県等に継続使用させているもの | うち無償貸付等の手続を経て継続使用させているもの | |||||||||||
うち委託事業終了後の継続使用期間が4年間のもの | ||||||||||||
個数 | 取得価格 | 個数 | 取得価格 | 個数 | 取得価格 | 個数 | 取得価格 | 個数 | 取得価格 | 個数 | 取得価格 | |
10都府県 | 26 | 109,791 | 14 | 18,157 | 12 | 91,633 | 12 | 91,633 | 12 | 91,633 | 0 | 0 |
センター | 37 | 165,246 | 0 | 0 | 37 | 165,246 | 22 | 107,727 | 9 | 72,179 | 15 | 57,518 |
JAEA | 24 | 292,363 | 1 | 907 | 23 | 291,456 | 9 | 232,398 | 0 | 0 | 14 | 59,057 |
計 | 87 | 567,401 | 15 | 19,064 | 72 | 548,336 | 43 | 431,760 | 21 | 163,813 | 29 | 116,575 |
上記のほか、貴委員会は、委託事業物品5個(取得価格計3337万余円)について、取得価格を誤って記録するなどして、物品管理簿上の価格が計3231万余円過大となっていた。
(ア) 29年3月末時点において、表2のとおり、委託事業物品27個(取得価格計6526万余円)が、都道府県等において、耐用年数を経過して使用に耐えないとして既に廃棄されているのに、都道府県等から使用する見込みがなくなった旨の報告がなかったことなどから、物品管理係がこのような事態を把握しておらず、物品管理簿に記録されたままとなっていた。
表2 廃棄されているのに物品管理簿に記録されたままとなっている委託事業物品の状況
都道府県等の別 | 都道府県等において廃棄されているのに物品管理簿に記録されたままとなっている委託事業物品 | |||||
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うち貴委員会に事業が移管される前に廃棄されているもの注(1) | うち貴委員会に事業が移管された後に廃棄されているもの | |||||
個数 | 取得価格 | 個数 | 取得価格 | 個数 | 取得価格 | |
7県注(2) | 16 | 51,998 | 3 | 8,212 | 13 | 43,785 |
センター | 11 | 13,268 | 11 | 13,268 | 0 | 0 |
計 | 27 | 65,266 | 14 | 21,481 | 13 | 43,785 |
(イ) 30年3月末現在において、表3のとおり、無償貸付されている委託事業物品等43個(取得価格等計1億6367万余円)が、都道府県等において使用される見込みがないまま1年以上の長期間にわたり保管されていたが、都道府県等から使用していない旨の報告がなかったことなどから、物品管理係がこのような事態を把握しておらず、貴委員会において、活用方法の検討を行って有効活用を図るなどすることができない状況となっていた。
表3 使用される見込みがないまま保管されている委託事業物品の状況
都道府県等の別 | 都道府県等において使用される見込みがないまま1年以上保管されている委託事業物品 | 左に係る保管期間の内訳 | ||||||||
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1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 | 保管開始日不明 (1年以上) 注(1) |
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個数 | 取得価格 | 個数 | 取得価格 | 個数 | 取得価格 | 個数 | 取得価格 | 個数 | 取得価格 | |
9県注(2) | 20 | 72,909 | 14 | 46,296 | 5 | 19,657 | 1 | 6,955 | 0 | 0 |
センター | 23 | 90,764 | 0 | 0 | 3 | 7,390 | 2 | 1,118 | 18 | 82,256 |
計 | 43 | 163,673 | 14 | 46,296 | 8 | 27,048 | 3 | 8,073 | 18 | 82,256 |
放射性核種分析を行うためのゲルマニウム半導体方式放射能検査機器(以下「放射能検査機器」という。)は、主に、遮蔽体部、ゲルマニウム半導体検出器部、多重波高分析器部、データ解析器部等の機器で構成されており、各構成機器の実際の使用可能年数がそれぞれ異なっているため、都道府県等は、構成機器ごとの故障等に合わせて各構成機器の更新を貴委員会の委託事業により行っている。しかし、貴委員会は、構成機器ごとの更新状況や取得価格を把握することとしていなかったため、表4のとおり、29年3月末時点の物品管理簿に記録された放射能検査機器の構成機器41個(都道府県等の購入時の契約書等を参考に算出した取得価格相当額計1億6228万余円)について、その更新状況を正確に物品管理簿に反映していない状況となっていた。
表4 更新状況が正確に物品管理簿に反映されていない放射能検査機器の状況
都道府県等の別 | 更新状況が正確に物品管理簿に反映されていない構成機器 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
うち都道府県等において廃棄しているのに物品管理簿に記録されているもの | うち都道府県等において廃棄せずに使用しているのに物品管理簿から抹消されているもの | うち都道府県等において新たに取得して使用しているのに物品管理簿に記録されていないもの | ||||||
個数 | 取得価格 相当額 |
個数 | 取得価格 相当額 |
個数 | 取得価格 相当額 |
個数 | 取得価格 相当額 |
|
28都道府県 | 34 | 127,542 | 6 | 13,871 | 27 | 108,983 | 1 | 4,687 |
センター | 7 | 34,743 | 3 | 11,620 | 4 | 23,123 | 0 | 0 |
計 | 41 | 162,286 | 9 | 25,491 | 31 | 132,107 | 1 | 4,687 |
上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
滋賀県は、平成元年度に環境放射能水準調査委託事業を貴委員会から受託し、放射能検査機器1個(取得価格1150万円)を元年11月に購入し、無償貸付等の手続を経て同委託事業に継続使用していたが、7年度の同委託事業により8年3月に遮蔽体部(取得価格相当額291万余円)を除く構成機器を更新していた。そして、同県は、29年3月末時点において、元年度に取得した遮蔽体部を同委託事業に継続使用している。しかし、貴委員会は、これらの構成機器ごとの更新状況や取得価格を把握することとしていなかったため、同県が8年3月に遮蔽体部を除く構成機器の更新を行った際に、遮蔽体部も含めて元年度に取得した放射能検査機器全体を物品管理簿から抹消した上で、遮蔽体部を除く構成機器(取得価格932万余円)を新たに記録したことから、遮蔽体部の価格が物品管理簿に記録されておらず、構成機器の更新状況が正確に物品管理簿に反映されていない状況となっていた。
29年3月末時点において委託事業物品として管理されている機器等について確認したところ、測定庫等5個(取得価格計6637万余円)は物品管理法上の物品には該当せず、国有財産として管理すべきものと認められるのに、貴委員会は、物品として物品管理簿に記録していた。また、放射能検査機器73個の取得価格には、取得価格に含めないことになっている据付工事費等の附帯費用6916万余円が含まれていた。
29年3月末時点で復興特会の物品管理簿に記録されている委託事業物品161個(取得価格計6億1079万余円)は、事業又は使用場所を特定せずに使用できる放射線測定機等であって、専ら復興事業の用に供する物品ではないのに、貴委員会は、これらを同月末時点において復興特会で管理していた。そして、これらの委託事業物品の一般会計への管理換の状況等についてみたところ、129個(同3億9843万余円)については、復興特会に属する物品として整理した後に一般会計への管理換をするなどしていなかった。また、残りの32個(同2億1235万余円)は、一般会計及び復興特会の両会計の物品管理簿に重複して記録されている状況となっており、さらに、このうち1個(取得価格8704万余円)は、エネルギー特会の物品管理簿にも記録されていて、一般会計、エネルギー特会及び復興特会の3会計の物品管理簿に重複して記録されている状況となっていた。
アからオまでのとおり、貴委員会の委託事業物品等443個(取得価格等計18億2432万余円)について、管理が適切に行われておらず、物品管理簿、ひいては物品報告書が国の物品の現況を反映した正確なものとなっていないなどしている状況となっていた。
貴委員会は、委託事業物品を無償貸付するに当たり、貸付けの目的以外の目的のために使用しないことなどの条件を付している。一方、センターは、貴委員会からの委託事業のほかに、収益事業等として、各種団体等から環境放射能及び環境物質に関する分析、測定等の業務を有償で受託している。そこで、30年3月末現在における委託事業物品の使用状況について確認したところ、センターは、貴委員会から受託した環境放射能水準調査委託事業等において取得し、その後無償貸付された委託事業物品のうち234個(取得価格計13億0597万余円。このうち35個、同3億8504万余円は(1)の事態と重複している。)について、無償貸付の目的である委託事業に使用していない時間に、電力会社等の民間団体等から有償で受託した上記収益事業等の業務に使用していた。
貴委員会は、受託者に対して、委託事業物品を委託事業に使用していない時間に収益事業等に使用することを希望する場合にこれを報告させることとしていなかったため、センターが委託事業物品を上記の収益事業等に使用している事実を把握していなかった。前記のとおり、無償貸付は、貸付けの目的以外の目的のために使用しないことを条件として行われることから、委託事業物品を無償貸付した上で収益事業等に使用させることは適切とは認められない。
貴委員会は、前記の委託事業物品234個を委託事業に使用していない時間に収益事業等に使用していたことについて、委託事業の実施上の支障はないとしているが、財政法上、国の財産を貸し付ける場合には適正な対価によることが原則とされていることから、委託事業物品を収益事業等に使用させるためには、無償貸付ではなく、有償貸付とする必要があったと認められる。そこで、上記の委託事業物品234個のうち利用記録の存在する37個(同5億0493万余円)について、25年度から29年度までの間における利用状況に基づき、一般的な物品の貸付料の考え方を参考に、委託事業物品ごとに耐用年数を考慮して算出した償却費により、収益事業等のための使用に係る使用料相当額を算定したところ、表5のとおり、5823万余円となっていた。
表5 センターが収益事業等に使用していた委託事業物品及びその使用料相当額
会計名 | センターが収益事業等に使用していた委託事業物品 | |||||||||
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うち利用記録が存在しないもの | うち利用記録が存在するもの | 使用料相当額 | ||||||||
平成
25年度 |
26年度 | 27年度 | 28年度 | 29年度 | 計 | |||||
一般会計 | 個数 | 17 | 13 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | / |
金額 | (122,371) | (91,773) | (30,597) | 172 | 274 | 213 | 320 | 208 | 1,188 | |
エネルギー特会 | 個数 | 217 | 184 | 33 | 27 | 27 | 29 | 28 | 32 | / |
金額 | (1,183,601) | (709,262) | (474,339) | 13,560 | 8,851 | 11,697 | 14,148 | 8,787 | 57,045 | |
計 | 個数 | 234 | 197 | 37 | 31 | 31 | 33 | 32 | 36 | / |
金額 | (1,305,972) | (801,036) | (504,936) | 13,732 | 9,125 | 11,911 | 14,468 | 8,996 | 58,234 |
(是正及び是正改善を必要とする事態)
貴委員会において、委託事業物品等の管理が適切に行われておらず、物品管理簿が国の物品の現況を反映した正確なものとなっていないなどしている事態は適切ではなく、是正及び是正改善を図る要があると認められる。また、委託事業物品が無償貸付された上で収益事業等に使用されている事態は適切ではなく、是正改善を図る要があると認められる。
(発生原因)
このような事態が生じているのは、都道府県等において、委託事業物品の物品管理を適切に行うことについての認識が欠けていることなどにもよるが、貴委員会において、次のようなことなどによると認められる。
貴委員会は、今後も環境放射能の影響調査や放射線に関する技術研究等の委託事業を行っていくこととしており、受託者において委託事業物品を多数購入することが見込まれる。
ついては、貴委員会において、前記の物品管理簿に正確に記録されていないなどの委託事業物品のうち重要物品等について、現況を把握して物品管理簿等を適切なものとするよう必要な処置を執ったり、都道府県等において使用される見込みがないまま長期間保管されているものについては、速やかにその活用方法の検討を行ったりするよう是正の処置を要求するとともに、受託者に継続使用させる委託事業物品等の管理が適切に行われるよう、次のとおり是正改善の処置を求める。