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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • (第6 東日本高速道路株式会社、第8 西日本高速道路株式会社)、第9 本州四国連絡高速道路株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

(1)―(3) 橋りょう部の舗装補修工事において施工される床版防水工の設計及び積算に当たり、床版防水層に特定の材料を使用しなければならない特段の理由がある場合を除いて、使用する材料を特記仕様書等に明記しないで設計したり、安価な単価を選択して積算したりすることなどにより、工事費の低減を図るよう改善させたもの


会社名
(1) 東日本高速道路株式会社
(2) 西日本高速道路株式会社
(3) 本州四国連絡高速道路株式会社
科目
(1) (2) 仕掛道路資産、管理費用
(3) 仕掛道路資産、その他受託業務費用
部局等
(1) 本社、3支社
(2) 本社、2支社
(3) 本社、4管理センター
橋りょう部で施工される床版防水工の概要
橋りょう部の舗装を基層まで打ち換える工事において、橋りょう部のコンクリート床版に劣化の原因となる雨水や凍結防止剤の塩分が浸透しないようにするなどのために、床版と舗装の間に防水層を設置するもの
検査の対象とした床版防水工に係る直接工事費の積算額
(1) 24工事 7億7872万余円(平成27年度~29年度)
(2) 52工事 14億3989万余円(平成27年度~29年度)
(3) 8工事 1億4762万余円(平成27年度~29年度)
経済的な設計及び積算となっていなかった床版防水工に係る直接工事費の積算額
(1) 11工事 2億7347万余円(平成27年度~29年度)
(2) 19工事 3億5847万余円(平成27年度~29年度)
(3) 6工事 1億1786万余円(平成27年度~29年度)
上記について低減できた積算額
(1) 4010万円
(2) 5730万円
(3) 1920万円

1 床版防水工の概要

(1) 橋りょう部の床版防水工の概要

東日本高速道路株式会社(以下「東会社」という。)、西日本高速道路株式会社(以下「西会社」という。以下、これらの会社を総称して「2会社」という。)及び本州四国連絡高速道路株式会社(以下「本四会社」という。以下、2会社と合わせて「3会社」という。)は、高速道路の維持管理等として、橋りょう部の舗装補修工事のうち舗装を基層まで打ち換える工事において、橋りょう部のコンクリート床版(以下「床版」という。)に劣化の原因となる雨水や凍結防止剤の塩分が浸透しないようにするなどのために、床版と舗装の間に防水層(以下「床版防水層」という。)を設置する床版防水工を施工している。

(2) 床版防水工の設計

3会社は、床版防水工の設計に当たり、2会社が制定している「設計要領第二集橋梁保全編」等に基づき、床版の状況、施工条件等の設計条件を的確に把握して、床版防水層の要求性能を考慮し適切に設計することとしている。そして、2会社が制定している「構造物施工管理要領」によれば、供用中の高速道路のように、短時間で施工を完了させる必要のある箇所の床版防水層としてグレードIが設けられており、その要求性能は、防水性、遮塩性等とされている。これらの要求性能を満たす材料には、主として、不織布等に改質アスファルトを含浸させて積層した防水シート(以下「シート系材料」という。)と、アスファルトに合成ゴムを加えた液体状の防水材(以下「塗膜系材料」という。)があり、シート系材料の施工(以下「シート系防水工」という。)は床版面に敷設することにより行われ、塗膜系材料の施工(以下「塗膜系防水工」という。)は床版面に塗布することにより行われている。

3会社は、グレードIの床版防水層については、要求性能を満たす材料であればどのような材料でも使用できるとしているが、過去の基準で築造された橋りょうでPC鋼棒に変状が発生する可能性があり、床版の上面にシート系材料と併せて補強用繊維シート等を敷設することが必要となる場合等、設計条件により特定の材料を使用しなければならない場合は、使用する材料を特記仕様書等に明記して設計し、それ以外の場合は使用する材料を特記仕様書等に明記しないで設計することにしている。

(3) 床版防水工の積算

2会社は、平成27年4月に「土木工事積算要領」を改訂して、グレードIの床版防水工の積算において用いる単価については、物価資料(刊行物である積算参考資料をいう。以下同じ。)に掲載されているシート系防水工と塗膜系防水工の単価を参考に2会社が単価をそれぞれ定め、これを用いることとした。そして、2会社は、積算に当たって、上記で定めたシート系防水工又は塗膜系防水工のいずれかの単価を選択するなどしている。また、本四会社は、物価資料に掲載されているシート系防水工又は塗膜系防水工の単価を参考にするなどして積算している。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、合規性、経済性等の観点から、床版防水工の設計及び積算が適切なものとなっているかなどに着眼して、27年4月から29年12月までの間に契約を締結した舗装補修工事のうち、グレードIの床版防水工(以下「床版防水工」という。)を施工した工事、東会社24工事(床版防水工に係る直接工事費の積算額計7億7872万余円)、西会社52工事(同計14億3989万余円)、本四会社8工事(同計1億4762万余円)、計84工事(床版防水工の施工箇所計1,399か所、施工面積計1,052,859m2、契約金額計747億9912万余円、床版防水工の直接工事費の積算額計23億6625万余円)を対象として、3会社の本社、各支社、各管理センター等において、契約書、設計書、特記仕様書等の書類を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

2会社が地域別に定めた床版防水工の単価についてみると、27年4月以降、シート系防水工の単価(2,290円/m2~2,380円/m2)は、塗膜系防水工の単価(1,900円/m2~2,030円/m2)よりも高価となっていた。また、本四会社が積算に当たり参考とした単価についても、27年4月以降、該当する地域におけるシート系防水工の単価(2,290円/m2~2,310円/m2)は、塗膜系防水工の単価(1,900円/m2~1,920円/m2)よりも高価となっていた。

3会社は、前記84工事のうち48工事に係る456か所の床版防水工(施工面積計373,074m2、直接工事費の積算額計9億3283万余円)について、塗膜系防水工よりも高価なシート系防水工の単価を選択するなどして積算していた。

そして、3会社は、上記48工事のうち27工事に係る274か所の床版防水工(施工面積計204,612m2、直接工事費の積算額計5億0562万余円)について、シート系材料を使用することを特記仕様書等に明記して設計し、積算していたが、床版の上面に補強が必要でシート系材料を使用する必要があるなどの16工事に係る83か所を除いた13工事に係る191か所の床版防水工(同計132,609m2、同計3億2260万余円(東会社5工事1億2579万余円、西会社2工事7894万余円、本四会社6工事1億1786万余円))は、特定の材料を使用しなければならない特段の理由がないのに、過去の施工実績や従前からシート系材料を使用していたことなどから、シート系材料を特記仕様書等に明記して設計し、積算していた。

また、2会社は、前記48工事のうち23工事に係る182か所の床版防水工(施工面積計168,462m2、直接工事費の積算額計4億2721万余円(東会社6工事1億4767万余円、西会社17工事2億7953万余円))については、使用する材料を特記仕様書等に明記していなかったが、従前からシート系材料を使用していたことなどから、積算に当たり、塗膜系防水工より高価なシート系防水工の単価を選択していた。

しかし、これらについては、シート系材料を使用しなければならないなどの特段の理由は確認できず、シート系材料を使用するなどの必要はなかったと認められた。

このように、特定の材料を使用しなければならない特段の理由がないのに、高価なシート系材料を使用することとして特記仕様書等に明記して設計したり、使用する材料が特記仕様書等に明記されていないのに、シート系防水工の単価を選択するなどして積算したりしていた事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(低減できた積算額)

特段の理由がないのにシート系材料を使用することを特記仕様書等に明記して設計し、積算していた13工事(191か所)及び使用する材料を特記仕様書等に明記せずに設計していたのに、シート系防水工の単価を選択するなどして積算していた23工事(182か所)の直接工事費の積算額、東会社11工事計2億7347万余円、西会社19工事計3億5847万余円、本四会社6工事計1億1786万余円について、シート系防水工より安価な塗膜系防水工の単価を選択するなどとして床版防水工の直接工事費を修正計算すると、上記の積算額は東会社計2億3333万余円、西会社計3億0108万余円、本四会社計9863万余円となり、それぞれ約4010万円、約5730万円、約1920万円低減できたと認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、床版防水工の設計及び積算に当たり、3会社において設計条件等により特定の材料を使用しなければならない特段の理由がない場合は使用する材料を特記仕様書等に明記しないで設計することについての理解が十分でなかったこと、2会社において安価な単価を選択して経済的な積算を行うことについての理解が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、3会社は、30年8月に各支社又は各管理センターに通達等を発して、床版防水工の設計及び積算に当たり、設計条件等により特定の材料を使用しなければならない特段の理由がある場合を除いて使用する材料を特記仕様書等に明記しないで設計すること、3会社がそれぞれ定めるなどした単価を確認して安価な単価を選択して積算することなどとして、同月からこれを適用する処置を講じた。