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  • 平成29年度|
  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等|
  • 第3節 特定検査対象に関する検査状況

第5 独立行政法人国立病院機構が設置する病院の経営状況等について


検査対象
独立行政法人国立病院機構本部、141病院
独立行政法人国立病院機構の概要
国民の健康に重大な影響のある疾病等に関し、国の医療政策として担うべきものの向上を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的として設立された独立行政法人
独立行政法人国立病院機構が設置する病院数
141病院(平成29年度末現在)
独立行政法人国立病院機構の経常収益の額
9852億円(平成29年度)
独立行政法人国立病院機構の経常費用の額
9874億円(平成29年度)

1 検査の背景

(1) 独立行政法人国立病院機構の概要

独立行政法人国立病院機構(以下「機構」という。)は、独立行政法人国立病院機構法(平成14年法律第191号。以下「機構法」という。)に基づき、平成16年4月に設立された独立行政法人である。そして、それまで国が設置し、主として広域を対象とした総合診療業務等を実施してきた旧国立病院と、主として特殊な療養を要する難病等に対する専門的な医療等を実施してきた旧国立療養所は、機構の設立により、引き続き国が自ら運営する必要がある国立ハンセン病療養所等を除いて機構の病院に移行された。

機構法第3条の規定によれば、機構は、診療(医療の提供)、臨床研究(医療に関する調査及び研究)及び教育研修(医療に関する技術者の研修)の各事業を行うことにより、国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療その他の医療であって、国の医療政策として機構が担うべきものの向上を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することとされている。また、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)に基づいて厚生労働大臣が定めた機構の第3期中期目標(26事業年度から30事業年度まで。以下、事業年度を「年度」という。)によれば、機構は、診療事業として、安心・安全で質の高い医療を提供するとともに、国の医療政策や地域医療の向上に貢献することとされている。そして、このうち国の医療政策への貢献としては、災害や新型インフルエンザ発生時等の国の危機管理に際して求められる医療を確実に提供するとともに、重症心身障害、筋ジストロフィーをはじめとする神経・筋疾患、結核、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(平成15年法律第110号。以下「医療観察法」という。)に基づく精神科医療等の他の設置主体では必ずしも実施されないおそれのある医療(以下「セーフティネット分野の医療」という。)について、我が国における中心的な役割を果たすことなどとされている。また、地域医療への貢献としては、都道府県が地域の実情に応じて定める医療計画を踏まえて、各病院が持つ医療資源を活用することにより当該計画で求められる役割を積極的に果たし、地域における課題の解決に貢献することなどとされている。

(2) 機構の病院の概要

機構は、上記の各事業を、全国に設置した病院において行っている。機構の設立時には、旧国立病院が移行した59病院及び旧国立療養所が移行した95病院の計154病院が設置されていたが、その後の統合等により、29年度末現在では141病院となっている。そして、機構の病院は、前記のとおりそれぞれの成り立ちが異なっていることから、現在でも主として提供する診療機能が異なるなど病院によって特徴があるが、機構は、これらの病院のネットワークをいかして、主として急性期の医療を担う病院と、主としてセーフティネット分野の医療を提供する病院とを一体的に運営することにより、機構に課せられた役割を維持している。

また、29年4月1日現在における機構の許可病床数(医療法(昭和23年法律第205号)第27条の規定により都道府県知事から使用許可を受けた病床の数)は計54,481床となっていて、全国全ての病院の病床数の約3%となっている。

(3) 機構の経常収支率等の推移

機構の経常収支率(経常費用の額に対する経常収益の額の割合)並びに経常収益及び経常費用の額は図表1のとおり推移しており、16年度のほぼ収支均衡状態から徐々に改善してきたものの、22年度に経常収支率が107.0%(経常収益の額から経常費用の額を差し引いた経常収支額583億余円)となったのをピークに悪化に転じており、28年度には99.2%(同△68億余円)と機構設立以来初めて経常赤字となった。そして、29年度の経常収支率は、28年度よりは改善したものの、99.7%(同△21億余円)と2年連続の経常赤字となっている。

図表1 経常収支率等の推移

図表1 経常収支率等の推移 画像

(4) 運営費交付金の交付状況等

国は、独立行政法人通則法第46条の規定により、機構に対して、業務運営の財源に充てる資金として運営費交付金を交付することができることとなっている。機構に交付された運営費交付金の額は、図表2のとおり16年度には520億余円であったが、同交付金が措置される範囲や対象が縮小されるにつれて年々減少し、29年度には144億余円となっていて、機構の29年度の経常収益額に占める運営費交付金収益額の割合は、1.3%にとどまっている。そして、上記の144億余円は、機構設立前の国が運営していた期間に係る職員の退職給付費用の分として104億余円、臨床研究事業の分として27億余円、教育研修事業の分として1億余円等と算定されており、23年度以降、診療事業に対する運営費交付金は実質的に措置されておらず、原則として診療収入(医業収益)等の自己収入により診療事業の費用を賄うことになっている。

図表2 運営費交付金の交付額の推移

(単位:億円)
区分 平成16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度 29年度
運営費交付金 520 513 506 498 478 459 436 362 285 229 197 165 144 144

一方、機構は、設立に際し、機構に移行された旧国立病院及び旧国立療養所に係る分として、財政融資資金からの借入金7471億余円の債務を国から承継している。当該承継債務については、各病院がそれぞれの収入から自院の債務に係る償還財源を確保することにしており、機構は、診療収入等を財源として16年度から29年度までの間に5699億余円(元本ベース)を償還している。また、機構は、機構法第18条の規定により、病院の設備投資に充てるために長期の借入れをすることができることとなっている。機構の長期借入金は全て財政融資資金からの借入れであり、上記の承継債務とは別に、29年度までに計3529億余円を借り入れ、このうち679億余円(元本ベース)を償還している。そして、これらを合わせた29年度末における借入金の残高は4621億余円(上記の承継債務に係る分は1771億余円)となっている。

なお、医療法人等の長期公経済負担金(基礎年金の国庫負担金相当分)は国が負担しているのに対して、機構は国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)に基づき自ら負担しており、その額は29年度で138億余円となっている。また、機構法が改正されて27年4月から機構の職員が非公務員化されたことに伴い、機構は27年度から職員に係る労働保険料を負担しており、その額は29年度で37億余円となっている。

2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

第3期中期目標によれば、機構は、国の医療政策や地域医療の向上に貢献することなどとされている。一方、23年度以降、診療事業に対して運営費交付金が措置されておらず、診療収入等の自己収入により診療事業を行うとともに、国から承継した債務を含む長期借入金を償還していく必要がある。このため、機構が国の医療政策や地域医療の向上への貢献等の機構に課せられた役割を継続的に果たしていくためには、安定した経営基盤を確保することが必要であり、第3期中期目標においても、各年度の損益計算において、必要な投資を行った上で、機構全体として経常収支率を100%以上とすることなどとされている。このような中、前記のとおり、機構の経常収支率は22年度をピークに悪化しており、28年度には機構設立以来初めての経常赤字となり、29年度は28年度よりは改善したものの引き続き赤字となっている。

そこで、本院は、経済性、効率性、有効性等の観点から、機構及び機構の病院の財務の状況や経営改善に向けた取組の状況はどのようになっているか、また、国の医療政策や地域医療への貢献といった機構の病院として果たすべき機能は十分に提供されているかなどに着眼して検査した。

(2) 検査の対象及び方法

検査に当たっては、機構本部及び機構の全141病院を対象として、機構本部を通じて各病院の16年度から29年度までの財務状況や経営改善に向けた28年度の取組状況等に関する資料の提供を受けてその内容を確認するとともに、機構本部及び財務の状況が良くないなどの44病院において経営状況等に関する資料を確認したり、関係者から説明を聴取したりするなどして会計実地検査を行った(表(後掲947ページ)参照)。さらに、機構を所管する厚生労働本省において第3期中期目標等に関する説明を聴取したほか、病院を設置している厚生労働省所管の独立行政法人労働者健康安全機構(28年3月以前は独立行政法人労働者健康福祉機構。以下「労安機構」という。)及び独立行政法人地域医療機能推進機構(以下、「JCHO」といい、労安機構と合わせて「2独法」という。)においても会計実地検査を行い、2独法の経営状況等と比較するなどして検査した。

3 検査の状況

(1) 財務の状況

ア 機構全体の状況

(ア) 事業等ごとの状況

機構は、毎年度の財務諸表において、セグメント情報として、診療、臨床研究、教育研修の各事業及び法人共通(各事業のいずれにも配賦不能なもの)の四つに区分した収益、費用等の額を公表している。これら事業等ごとの収益、費用等の額をみると、図表3のとおり、各年度とも機構全体の収益及び費用の額の9割以上を診療事業が占めており、機構全体の経常収支は診療事業の収支に大きく左右されている。

そして、診療事業の収支は、22年度までは費用の増加額を収益の増加額が上回っていて改善傾向にあったものの、23年度からは費用の増加額を収益の増加額が下回る傾向となって悪化に転じている。この結果、機構全体の経常収支も同様の傾向で推移しており、22年度をピークに悪化傾向となって、28、29両年度は経常損失を計上している。また、第3期中期目標期間中である29年度末における繰越欠損金は、111億余円となっている。

図表3 機構全体及び事業等ごとの収益、費用及び収支額の推移

図表3 機構全体及び事業等ごとの収益、費用及び収支額の推移 画像

(イ) 診療事業に関する収支の状況

上記のとおり、機構全体の経常収支は、診療事業の収支に大きく左右されている。そして、診療事業の収益は、各年度とも医業収益が98%以上を占めている。また、診療事業の費用は、原則としてその全額が医業費用である。機構の医業収支率(医業費用の額に対する医業収益の額の比率)の推移を、2独法、国公立の病院(機構及び2独法が設置する病院を含む。以下「国公立」という。)、我が国の病院開設者の約7割を占めている医療法人が設置する病院(以下「医療法人」という。)、更にはこれらに加えて学校法人や日本赤十字社等が設置する病院も含めた我が国の病院全体(以下「病院全体」という。)と比較すると、図表4のとおり、機構の医業収支率は、28年度を除いて毎年度100%を上回っていて、総じて他の設置主体を上回る医業収支率を維持している。一方、機構を含む大半の設置主体に係る医業収支率が22年度をピークに減少傾向にある中で、機構の減少度合は他の設置主体よりも大きくなっている。

図表4 医業収支率の推移

図表4 医業収支率の推移 画像

そこで、医業収支率がピークとなった22年度を境として、機構が設立された16年度から22年度までの7年間及び22年度から28年度までの7年間のそれぞれについて、機構の医業収益及び医業費用の増加率をみると、図表5のとおり、16年度から22年度までの7年間の増加率は、それぞれ19.4%、14.3%となっていて、収益の増加率が費用の増加率を上回っている。

一方、22年度から28年度の7年間の増加率は、それぞれ13.5%、23.4%となっていて、費用の増加率が収益の増加率を上回っている。そして、それぞれの増加率を国公立、医療法人及び病院全体の動向と比較すると、この間の収益の増加率は国公立、医療法人及び病院全体と同程度であるのに対して、費用の増加率はこれらを上回っていた。

図表5 医業収益等の額

(単位:億円)
区分 平成16年度 22年度 28年度 (参考)
29年度
16→22年度 22→28年度 (参考)22→29年度
増加額 増加率 増加額 増加率 増加額 増加率
医業収益 機構 6826 8151 9254 9454 1325 19.4% 1103 13.5% 1302 15.9%
国公立 48 55 7 15.6%
医療法人 17 19 2 12.8%
病院全体 32 37 4 13.3%
医業費用 機構 6587 7535 9301 9445 947 14.3% 1766 23.4% 1910 25.3%
国公立 51 62 10 20.9%
医療法人 16 19 2 16.6%
病院全体 33 38 5 18.0%
(注)
国公立、医療法人及び病院全体は、中央社会保険医療協議会「医療経済実態調査」の「一般病院(集計1)」の「国公立」「医療法人」及び「全体」に係る1病院当たりの医業収益及び医業・介護費用の値により、機構の年度と同一の年度区分として作成した。
なお、調査方法が異なることから、平成16年度の計数については表示していない。また、29年度については、30年9月末時点で公表されていない。
(ウ) 医業費用の状況

医業費用の主な構成要素である人件費、材料費及び減価償却費について、それらの額の医業収益の額に対する比率をみると、図表6のとおり、機構の人件費比率は他の設置主体より低く、材料費比率及び減価償却費比率は、国公立と同程度又は低くなっており、医療法人及び病院全体より高くなっている。

図表6 人件費比率等の推移

図表6 人件費比率等の推移 画像

機構の減価償却費比率が医療法人や病院全体より高くなっていることについて、機構は、機構の病院はこれらと比較して1病院当たりの病床規模が大きいことなどによるとしている。一方、材料費比率については、一般に高額の医薬品を必要とする重症度の高い患者を受け入れている場合には高くなる傾向がある。そして、機構は、このような患者を受け入れている病院が多いとはいえ、機構発足以来一貫して上昇基調にある。機構の病院は、これまで医薬品の共同購入の促進や競争入札の拡大等による材料費の節減に努めてきたところであるが、今後とも更なる材料費の節減に向けた取組を進めていくことが必要である。その際には、(2)ウ(イ)で後述する個々の病院が費用節減のために行った取組のうち効果があったものについて、機構の他の病院でも同様に展開していくことなども有用である。

イ 機構の病院ごとの財務の状況

機構は、機構法第16条の規定に基づき、施設別財務書類として、病院ごとの損益計算書等を作成して公表している。そこで、病院ごとの財務の状況として、医業収支率が100%以上となった病院の推移をみると、図表7のとおり、16年度は機構の病院全体の52.5%を占める81病院となっていたが、その後増加して、24年度には同83.9%の120病院となった。そして、同年度をピークに減少に転じて、28年度には同36.6%の52病院となった。29年度は再び増加に転じたものの、医業収支率が100%以上の病院は同38.7%の55病院と、ピークであった24年度はもとより、機構の設立年度である16年度よりも少ない状況となっている。

また、16年度から29年度までの全ての年度で医業収支率が100%以上となっていたのは16病院(29年度末の病院数の11.3%)となっていたのに対して、全ての年度で100%未満となっていたのは9病院(同6.3%)となっていた。

図表7 医業収支率が100%以上の病院の割合の推移

図表7 医業収支率が100%以上の病院の割合の推移 画像

ウ 病院の特性に応じた財務の状況等

前記のとおり、機構の病院は、主として提供する診療機能が異なるなど病院によって特徴がある。そこで、病院の特性に応じた財務の状況をみるために、機構の病院を、図表8のとおり、機構が各病院の経営管理のために行っている区分を参考にして、一般病床(注1)系病院、セーフティネット系病院等に分類(以下、このような分類を「病院区分」という。)してみると、16年度から29年度までの全ての年度で医業収支率が100%未満となっていた上記の9病院は一般大規模病院以外の全ての病院区分で存在していたのに対して、全ての年度で医業収支率が100%以上となっていた上記の16病院は、このうち障害者系病院が11病院、一般大規模病院が4病院となっていて、大半がこれら二つの病院区分の病院となっていた。

(注1)
一般病床  病床のうち、精神病床、感染症病床、結核病床及び療養病床以外の病床

図表8 病院区分

病院区分 分類基準 病院数
(平成29年度)
一般病床系病院 総病床に占める一般病床の割合がおおむね87.5%以上の病院 50
  一般大規模病院 うち一般病床が500床以上の病院 12
一般中規模病院 うち一般病床が350床以上の病院 22
一般小規模病院 うち一般病床が350床未満の病院 16
セーフティネット系病院 セーフティネット分野の医療を主に提供する病院 63
  障害者系病院(注) うち総病床に占める重症心身障害及び筋ジストロフィーに係る病床等の割合がおおむね50%以上の病院 49
精神系病院 うち総病床に占める精神病床の割合がおおむね50%以上の病院又は医療観察法に基づく指定医療機関となっている病院 14
複合型病院 上記のいずれにも該当しない病院 29
142
(注)
障害者系病院には、平成29年10月に静岡医療センターに機能移転した静岡富士病院を含む。このため、病院数の計は29年度末現在の病院数141と一致しない。

また、病院区分別の医業収支率及び1病院当たりの医業収支額の16年度から29年度までの推移をみると、図表9及び図表10のとおり、医業収支率では障害者系病院が、1病院当たりの医業収支額では一般大規模病院が、それぞれ他の病院区分に比べて総じて高くなっていた。

障害者系病院は、医業収支額が最も大きかった22年度でも2億余円と必ずしも多額ではないものの、上記のとおり医業収支率は他の病院区分に比べて総じて高く、おおむね医業収支の安定を確保していた。このように障害者系病院の医業収支率が高くなっているのは、障害者系病院が主として重症心身障害等に係る医療を提供していることから入院日数が長期化する患者の割合が多く病床利用率が安定的に高い一方で、手術等の高額の費用を要する診療が少ないことなどによると思料される。

一般大規模病院は、その3分の2が政令指定都市又は特別区に所在しているなど、おおむね他の病院区分に比べて人口の多い地域に立地している。そして、一般大規模病院の医業収支率は、図表9のとおり、ほとんどの年度で100%以上となっていた。また、図表10のとおり、一般大規模病院の1病院当たりの医業収支額は、16年度の2億余円から次第に増加して、22年度には10億円以上の医業利益となったが、その後悪化に転じて28年度には約2.3億円の医業損失を計上するなど急激に落ち込んだものの、29年度には好転して、他の病院区分が全て医業損失を計上している中、約0.3億円の医業利益を確保するなど、年度によって変動の幅が大きくなっている。22年度以降、一般大規模病院の医業収支が悪化したのは、一般大規模病院が主たる対象としている高度急性期又は急性期の患者について、近年、患者1人当たりの平均在院日数が短縮する傾向にあり、それを補う新入院患者の受入れができなかったことなどから病床利用率が低下して収益が伸び悩んだことや、これに見合う費用の節減ができなかったことなどによると思料される。

図表9 病院区分別の医業収支率の推移

図表9 病院区分別の医業収支率の推移 画像

図表10 病院区分別の1病院当たり医業収支額の推移

図表10 病院区分別の1病院当たり医業収支額の推移 画像

また、一般大規模病院の許可病床数は7,798床(29年4月1日現在)と機構の全病院の14.3%を占めているが、図表11のとおり、一般大規模病院の医業収支額の16年度から29年度までの合計額は795億余円となっていて、全病院の合計額1422億余円の半分以上を占めており、病床数に占める割合以上に収支に占める割合は大きくなっている。そして、機構の全病院の医業収支額は22年度から29年度にかけて計487億余円悪化しているが、このうち26.2%に当たる128億余円は一般大規模病院の分となっていた。

図表11 病院区分別の医業収益、医業費用及び医業収支額の合計等

(単位:億円)
病院区分 平成16~29年度の
医業収益、医業費用及び医業収支額の合計
ピーク時である22年度と29年度の医業収支額
医業収益 医業費用 医業収支額(割合) 22年度 29年度 増加額(構成比)
一般大規模病院 2兆8801 2兆8005 795 (55.9%) 132 4 △128 (26.2%)
一般中規模病院 2兆5640 2兆5297 342 (24.0%) 66 △33 △100 (20.6%)
一般小規模病院 1兆2136 1兆2328 △191 (△13.4%) 4 △25 △29 (6.0%)
障害者系病院 1兆8231 1兆7605 625 (43.9%) 98 △15 △113 (23.2%)
精神系病院 4672 4862 △189 (△13.3%) 0 △18 △19 (4.0%)
複合型病院 2兆3448 2兆3348 99 (6.9%) 60 △35 △95 (19.6%)
機構計 11兆3834 11兆2411 1422 (100.0%) 363 △124 △487 (100.0%)
  • 注(1) 「機構計」は、機構の全病院に係る値である。
  • 注(2) 医業収支額欄の「割合」は、当該病院区分の医業収支額を機構計の額で除した値である。
  • 注(3) 平成21年度以前は、統合等により病院の区分をしていない病院があるため、各病院区分を合計しても機構計の値と一致しない。

このように、一般大規模病院の経営状況は、機構全体の医業収支ひいては機構全体の経常収支にも大きな影響を及ぼしている。このため、一般大規模病院は、一層の経営改善に向けた取組を進めていく必要がある。その際は、引き続き材料費の節減に努めるとともに、地域の医療需要を踏まえて、他の医療機関との連携強化による患者の確保等を進めたり、上記のような入院患者の動向を踏まえて、必要に応じて機構が既に取り組んでいる病床利用率の低下に応じた病棟集約を更に進めるなどして効率的な病床運用に努めたりすることも重要である。

(2) 経営改善に向けた取組の状況

ア 経営改善に向けた取組の概要

第3期中期目標によれば、機構は、機構全体として経常収支率を100%以上とすることなどとされている。そして、機構は、この目標を達成するためには、機構の各病院がいずれも経営を改善して経常黒字を目指すことなどが重要であるとしており、慢性的に赤字である病院に対して、黒字である病院が恒常的に内部補填により支えることは想定していないとしている。また、他の設置主体では機構の病院が担う医療機能の代替が困難なことがある中、地域で求められる医療機能を維持していく必要があることから、病院の経常収支が赤字であることのみをもって廃止することは想定していないとしている。

一方、前記のとおり、機構の病院は、長期借入金をそれぞれの収入から償還しており、償還資金としてキャッシュフローを確保することが重要になっている。そこで、機構本部は、各病院に対して「新たな資金管理・投資基準・経営改善の枠組みについて」(平成26年6月30日付け企発第0630001号、財発第0630001号)等(以下「経営改善通知」という。)を発出しており、各病院は、これにより資金管理をするなどして自院の経営改善を進めることとしている。

経営改善通知によれば、各病院は、毎年度、向こう5年間の計画期間中に必要な投資額や債務の償還額等を見込んだ資金計画を作成することとされている。そして、計画期間中に必要な投資を行ったことにより債務の償還が困難となるなどの資金余力の不足が見込まれた場合には、機構本部の同意を得た上で、当該資金不足額の解消を目指した経営改善計画を作成して実施することなどとされている(以下、資金余力の不足見込額を「経営改善必要額」という。)。経営改善計画には、病院が今後取り組もうとする実施項目(以下「実施項目」という。)ごとに、実施項目を実現するための具体的な計画や、実施項目が実現した場合の収支の改善見込額等を記載することとなっている。そして、各病院は、原則として、計画作成の時点で確実に見込まれるなどしている収支見込額に、各実施項目に係る収支の改善見込額を合計した額(以下「経営改善計画額」という。)が経営改善必要額を上回るように経営改善計画を作成することとなっている。

28年度の資金計画は、経営改善通知により、各病院の26年度の経常収支決算額を基にして、これに28年度から32年度までの5年間の計画期間中に見込まれる借入金の償還額や設備投資に係る減価償却費の額等を加味して作成することとなっている。各病院が28年度の資金計画を作成したところ、機構の全病院の64.7%に当たる92病院は、計画期間中の資金余力が不足すると見込まれたことから、28年度の収支改善に係る420実施項目(これに係る経営改善計画額計248億6270万余円。前記の経常収支額がピークであった22年度583億余円の42.6%)等から成る経営改善計画を作成して機構本部の同意を得ていた。

イ 経営改善計画の達成状況

上記92病院の28年度の決算額をみると、71病院(92病院の77.1%)が経常赤字となっていて、経営改善計画で見込んだ経常収支額を達成していたのは10病院(同10.8%)にとどまっており、82病院(同89.1%)は計画を達成していなかった。そして、前年度よりも経常収支が改善していたのは27病院(同29.3%)となっていて、残りの65病院(同70.6%)は、前年度よりも経常収支が悪化していた。

このように、各病院が経営改善計画で定めた実施項目を着実に実行することで病院の経営改善を図ることを意図した経営改善通知に基づく28年度の取組は、必ずしも順調に行われたものとはなっていなかった。

ウ 実施項目の設定及び実施の状況

各病院が28年度の経営改善計画を作成するに当たり、機構本部は、診療機能や取り巻く環境が病院によって異なるため、各病院がそれぞれの創意工夫により経営改善計画の立案・作成をする必要があるとして、経営改善計画の記入例や経営改善必要額の算定様式等は示していたものの、実施項目の具体例、実施項目の設定及び経営改善計画額の算定方法や考え方、注意点等については経営改善通知等で示しておらず、各病院がそれぞれ自院に見合った独自の実施項目を設定し、これに係る経営改善計画額を算定することとしていた。そこで、各病院における具体的な実施項目の設定及び実施の状況についてみたところ、次のような状況となっていた(図表12参照)。

図表12 平成28年度の実施項目に係る類型別の達成状況等

区分 実施項目の類型 当該実施項目を掲げている病院数 実施項目数
(a)
(構成比) 左の実施項目に係る経営改善計画額
(千円)(b)
(構成比) 1実施項目当たりの経営改善計画額
(千円)
(b/a)
実際の収支改善額
(千円)
(c)
達成率
(c/b)
経営改善計画額以上の収支改善額が実現した実施項目数(d) 実施項目達成割合
(d/a)
収益増加
患者増の取組 85 205 48.8% 18,032,046 72.5% 87,961 9,278,101 51.4% 46 22.4%
(手法)
医療従事者の増員等 43 73 17.3% 5,896,333 23.7% 80,771 3,275,310 55.5% 24 32.8%
病院施設の拡張等 29 35 8.3% 3,026,149 12.1% 86,461 1,491,780 49.2% 7 20.0%
地域医療連携の強化 23 33 7.8% 3,149,044 12.6% 95,425 1,211,169 38.4% 3 9.0%
診療体制の強化 26 33 7.8% 2,555,557 10.2% 77,441 1,565,969 61.2% 8 24.2%
前年度からの実績見込み 9 10 2.3% 1,750,716 7.0% 175,071 1,274,505 72.7% 2 20.0%
実現手法不明確 11 13 3.0% 1,087,753 4.3% 83,673 167,753 15.4% 1 7.6%
その他 7 8 1.9% 566,494 2.2% 70,811 291,615 51.4% 1 12.5%
診療点数の加算等の取組 48 106 25.2% 4,554,200 18.3% 42,964 2,356,818 51.7% 40 37.7%
検査件数増の取組 14 20 4.7% 325,120 1.3% 16,256 85,467 26.2% 3 15.0%
有料個室増の取組 13 13 3.0% 533,766 2.1% 41,058 363,505 68.1% 2 15.3%
薬剤管理指導件数増等の取組 9 10 2.3% 34,781 0.1% 3,478 4,401 12.6% 3 30.0%
その他 16 20 4.7% 224,522 0.9% 11,226 91,045 40.5% 4 20.0%
小計 90 374 89.0% 23,704,435 95.3% 63,380 12,179,337 51.3% 98 26.2%
費用節減
診療材料費の節減 16 17 4.0% 506,230 2.0% 29,778 627,469 123.9% 9 52.9%
後発医薬品への切替え 7 7 1.6% 290,156 1.1% 41,450 82,420 28.4% 3 42.8%
光熱水道費の節減 6 7 1.6% 93,628 0.3% 13,375 107,408 114.7% 6 85.7%
その他 12 15 3.5% 268,254 1.0% 17,883 96,494 35.9% 2 13.3%
小計 29 46 10.9% 1,158,268 4.6% 25,179 913,791 78.8% 20 43.4%
92 420 100.0% 24,862,703 100.0% 59,196 13,093,128 52.6% 118 28.0%

(注) 複数の類型に属する実施項目を掲げている病院があるため、当該実施項目を掲げている病院数を合計しても計欄の値と一致しない。

(ア) 収益増加の取組

前記の92病院が経営改善計画で設定した420実施項目を類型別にみると、図表12のとおり、全体の89.0%に当たる374実施項目(経営改善計画額計237億0443万余円)が収益の増加を図ることで収支改善を目指すとしているものであった。そして、その中でも患者数を増加させる取組(以下「患者増の取組」という。)が205実施項目(同計180億3204万余円)と最多となっていた。また、1実施項目当たりの経営改善計画額をみても、患者増の取組が最も金額が高くなっていた。

そこで、患者増の取組について、それを実現するための手法についてみると、①近隣の医療機関を訪問したり、パンフレット等の配布を行ったりするなどの地域医療連携の取組を強化することによるとしているものが23病院において33実施項目(全体の7.8%)、これに係る経営改善計画額31億4904万余円(同12.6%)、②病棟を増改築して受入れ可能な患者数を増やしたり、新たな機器を導入してそれまでは対応が困難であった患者を新たに受け入れたりするなど、病院施設の拡張等を前提としていたものが29病院において35実施項目(同8.3%)、同30億2614万余円(同12.1%)あったほか、③実現するための手法が必ずしも明確に定められていないと思料されるものも11病院において13実施項目(同3.0%)、同10億8775万余円(同4.3%)見受けられた。

これらの実施項目について、それぞれの実施状況をみると、①の地域医療連携の取組を強化するとの実施項目については、近隣の医療機関を訪問するなどの活動を行ったものの、その結果が実際の患者数の増加に結び付いていない病院が多く、経営改善計画額に対する実際の収支改善額の割合(以下「達成率」という。)は38.4%となっていて、経営改善計画額以上の収支改善額を達成したのは、3病院に係る3実施項目(当該実施項目類型に係る実施項目数全体に対する割合(以下「実施項目達成割合」という。)9.0%)にとどまっていた。

また、②の病院施設の拡張等を前提として患者増を図るとしている実施項目についてみると、実際に計画どおりに28年度までに病院施設の拡張等を行った病院は多いものの、必ずしも計画で見込んだ患者数を確保できていない病院もあり、達成率は49.2%となっていて、計画以上の収支改善を達成したのは7病院に係る7実施項目(実施項目達成割合20.0%)となっていた。この中には、次の事例のように、計画の作成に当たり、病院施設を拡張等すればおのずと患者数が増加するなどと楽観的な想定をしており、実際の患者数が当該計画を大きく下回っていたものも見受けられた。

<事例1>

福岡病院は、平成28年度の経営改善計画において、26年11月に療養環境の改善を図るために老朽化した一般病棟を建て替え、一般病床数が230床と32床増床したことに加えて、新病棟の供用開始に伴う効果も相まって、28年度の1日の平均入院患者数は26年度よりも30人増加すると想定しており、その結果、診療収入が4億1193万余円増加することから、これに伴う材料費及び人件費の増1億0929万余円を差し引いても3億0264万余円の収支の改善を図るとする実施項目を作成していた。

しかし、上記の30人は、新病棟の供用開始に伴い病床数が32床増床することから、1日の平均入院患者数も30人増加すると想定していたものであり、新病棟供用開始後から計画作成時点である27年8月までの間における実際の患者増加数の実績や、地域における医療需要の動向等を踏まえて合理的に見込んだ人数ではなかった。そして、28年度の実際の1日の平均入院患者数は161.4人と、26年度より1.1人減少している状況となっていた。

このようなことなどから、当該実施項目に係る収支改善額は0円となっており、他の実施項目等と合わせた同年度の同病院全体の経常収支は、前年度より1億2528万余円悪化した△3億3227万余円となっていた。

上記のように、患者増の取組については、経営改善計画全体に占める実施項目数及び経営改善計画額は多いものの、計画どおりに取組を実施して収益を確保することが困難となっている事態が少なからず見受けられた。この背景には、病院の経営改善には収益の確保が必要であり、そのためには患者数を増やすことが不可欠であるとして患者増の取組を実施項目に掲げる病院が多い中で、実際の患者数は地域の人口動態、医療需要その他の様々な事情に左右されるため、経営改善計画で見込んだ患者数とかい離が生じやすいことなどにもよるが、比較的容易に実施項目として立案でき、かつ多額の経営改善計画額が期待できる患者増の取組を、その実現可能性や妥当性について十分に検証しないまま実施項目として掲げた病院が少なからずあったことによると認められる。

そして、このように、多額の経営改善計画額になる実施項目を十分に検証しないまま計画に掲げた病院があったのは、28年度の経営改善計画額は、原則として、全ての病院において経営改善必要額を上回るように作成することとなっていたため、前年度の経常収支が著しく悪いなどして経営改善必要額が多額に上る病院は、実施項目の実現可能性や妥当性にかかわらず経営改善計画額を積み上げる必要があったことなども背景にあったと思料される。

しかし、経営改善計画は、本来、これを着実に実行することで病院の経営改善を実現させるものである。このため、取組実施の効果についての見込みや経営改善計画の実施に伴って見込まれる費用や収益の想定が楽観的すぎるなどしていて、経営改善計画作成の当初から実現可能性や妥当性に疑念が生ずるような内容の経営改善計画であっては、これを着実に実行する意欲に欠け、ひいては経営改善の実現に結び付かないおそれがある。そして、前記のように計画どおりに収益を確保できていない事態が多数見受けられている状況に鑑みると、経営改善計画の作成に当たっては、経営改善必要額を踏まえ、必要に応じて抜本的な改善策を講ずるとともに、それらの実施項目については、各病院において実現可能性や妥当性について十分に検証した上で作成することが重要である。この点について、機構の病院の中には、次の参考事例のように、実現可能性や妥当性を踏まえた実施項目を作成している病院も見受けられた。

<参考事例>

天竜病院は、平成28年度の経営改善計画において、27年8月に改修工事を行って結核病床6床を一般病床に転換することなどで、28年度の1日の平均入院患者数を26年度よりも4.3人増加した129.0人にして、これにより28年度には4200万余円の収支改善を図るとする実施項目を作成していた。

上記の4.3人は、同病院の26年度の病床利用率が結核病床の44.3%に対して一般病床が85.4%となっており、また経営改善計画の作成時点で同病院に神経内科を中心に待機患者が多数いたことなどを踏まえると、一般病床の6床増加に応じた堅実な計画となっていた。

そして、改修工事による一般病床の増に加えて、近隣医療機関を訪問してこのような同病院の状況等を説明したことなどもあって、28年度の実際の平均入院患者数は26年度より10.5人増加した135.2人となっており、当該実施項目の実施によって計画を上回る6858万余円の収支改善を実現していた。

機構においても、以上のような28年度の状況等を踏まえて、29年度は運用上で、30年度は経営改善通知を改正して、前年度の資金計画の達成状況も踏まえた実現可能性の高い収益確保や費用節減策等による経営改善計画を作成することとするなどの見直しを行ったとしているが、今後、当該見直しの趣旨を各病院に周知徹底することなどにより、各病院が、これまでの自院に係る経営改善計画の実施状況や各実施項目の達成状況等も踏まえた、より実現可能性の高い経営改善計画を作成して実施していくことが重要である。

(イ) 費用節減の取組

一方、図表12のとおり、費用の節減を図るとした取組(以下「費用節減の取組」という。)の達成率は78.8%であり、13病院に係る20実施項目(実施項目達成割合43.4%)で計画以上の収支改善が実現していて、収益を増加させる取組と比較すると相対的に順調な傾向が見受けられた。費用節減の効果があった取組の主なものは図表13のとおりであり、この中には、金沢医療センターにおいて診療材料の調達にベンチマークシステム(注2)を活用することで調達単価の引下げに成功したように、機構本部の主導で特定の病院に試行的に取り組ませた結果、効果が認められたことから、30年度からは機構の全ての病院で導入されるようになった取組もあった。

図表13 機構の各病院における主な費用節減の取組例

事項
診療材料の調達にベンチマークシステムを活用して価格交渉を推進する
手術材料のキット内容を見直す
医療機器の保守点検のうち自院でも実施できるものについて外部委託を取りやめる
契約電力の見直しを行い基本料金を引き下げる
雨水流入防止対策により下水道料金を削減する

しかし、図表12のとおり、経営改善計画に盛り込まれた費用節減の取組は収益を増加させる取組と比較して必ずしも多くはなかった。これは、費用節減の取組によって患者サービスの質の低下を招くことをためらった病院があったことなどにもよるが、費用節減の取組の具体策を考案するに至らなかった病院もあったことなどによると思料される。図表13にあるような実施項目に掲げた費用節減の取組の中には、材料費や光熱水費の節減等の他の病院でも同様に取り組むことが可能なものが見受けられる。したがって、機構本部は、既に各病院に対して一部の病院で効果を上げた取組事例の一部について機構のイントラネットで共有し、また、機構本部主催の各種研修等の機会を捉えて各病院に示すなどしてはいるものの、このようなものについては、より一層の情報の共有が有用である。

情報の共有に当たっては、労安機構において、各病院の「支出削減等に係る取組事例」について、年間の費用削減効果が数万円のものまで労安機構本部が取りまとめて全病院に配布し、他の病院でも同様の取組を促すとともに、更にその実施状況を労安機構本部が確認するなどしている事例や、JCHOにおいて、医療機器保守契約のJCHO本部における共同入札を実施している事例といった2独法等で既に行われている取組を参考にすることも有用である。

(注2)
ベンチマークシステム  当該システムを導入している他の医療機関における医薬品、診療材料等の最新の購入単価を照会して比較することができるシステム

エ 経営改善計画に対する機構本部による確認等の状況

前記のとおり、経営改善計画を病院が作成するには、機構本部の同意を必要としている。そして、機構本部は、病院にヒアリングを実施するなどして病院が作成した経営改善計画の原案を確認し、必要に応じて修正を指示するなどした上で同意することになっている。そこで、経営改善計画に対する機構本部による確認等の状況をみたところ、次のような状況となっていた。

機構本部は、前記の92病院に係る経営改善計画の同意に際し、23病院にヒアリングを実施したり、17病院に対して内容の修正を指示したりしていた。しかし、前記のとおり楽観的な想定をしていたり、次の事例のとおり計画に掲げた取組を進めることによって必然的に生ずる影響を織り込んでいなかったりしている原案についても、基本的には病院の原案のとおりに同意していた。

<事例2>

霞ヶ浦医療センターは、平成28年度の経営改善計画において、28年7月に、地域包括ケア病棟を開設することにより、地域の他の病院に入院している患者10人が同センターに転院するほか、同センターの急性期病棟に入院している患者で急性期治療を終えた患者22人が地域包括ケア病棟に転棟することから、当該病棟に計32人の入院患者が見込まれるとし、これにより9か月で2億5036万余円の収益増が期待され、人件費及び材料費の費用増1億2955万余円を差し引いても28年度には1億2080万余円の収支改善を図るとする実施項目を作成していた。

一方、急性期病棟の入院患者については、同センターは、上記のとおり、その一部が地域包括ケア病棟に転棟した後もこれまでどおりの患者数を確保できると考え、新たに確保するための取組を計画に掲げていなかったが、機構本部は、当該経営改善計画に同意していた。

そして、計画よりも半年遅れの29年1月に、実際に地域包括ケア病棟の運用が開始されると、地域包括ケア病棟の入院患者数はおおむね計画どおりとなっていたが、その分、急性期病棟の患者数が減少したことなどから、28年度の同センター全体の経常収支は△2億2920万余円となっており、前年度の△3億2621万余円から9701万余円改善するにとどまっていた。

このことについて、機構本部は、本部等の人員や時間には限りがあることから、特に重点的に経営改善が必要な病院についてヒアリングを実施し、経営改善計画の確認を行ったなどとしており、必要に応じて、年度途中に経営改善計画の変更や見直しを指示したとしている。

しかし、前記のような状況を踏まえると、機構本部において、各病院が経営改善計画を作成するに当たり、計画の記入例や経営改善必要額の算定様式等だけでなく、実施項目の設定及び経営改善計画額の算定方法や考え方、注意点等についても経営改善通知で示すなどして、各病院が実現可能性や妥当性に疑念の生じない的確な経営改善計画を作成できるようにしたり、計画同意の際に十分確認したりする必要があったと思料される。

なお、労安機構では、機構においては各病院がそれぞれの考え方で独自に算定していて社会保険料の考慮等も扱いが区々となっていた収支の試算に際して用いる職員の人件費単価について、本部が毎年度統一的に定めており、各病院は当該単価に基づいて算定するなどしていた。

(3) 機構の病院として果たすべき機能の提供状況

ア 国の医療政策への貢献の状況

第3期中期目標によれば、機構は、災害医療やセーフティネット分野の医療について我が国における中心的な役割を果たすことなどとされている。

災害医療に関しては、災害医療センター及び大阪医療センターに厚生労働省の災害派遣医療チーム(DMAT)事務局が設置されているほか、41病院に災害派遣医療チームが設置されている。そして、これらの運営に要する経費等に対しては衛生関係指導者養成等委託費等が国から交付されているほか、災害派遣医療チームの派遣に係る費用の一部については都道府県から補填されている。

また、セーフティネット分野の医療に関しては、図表14のとおり、機構の病院が、我が国における当該医療分野の相当程度を提供しており、中心的な役割を果たす状況となっていた。

図表14 セーフティネット分野の医療における病床数(平成29年度)

区分 重症心身障害 筋ジストロフィー 結核 医療観察法に基づく精神科医療
全国(a) 21,556 2,520 5,347 833
機構(b) 7,977 2,392 1,954 421
  (b)/(a) 37.0% 94.9% 36.5% 50.5%

(注) 機構の調査結果による。

セーフティネット分野の医療のうち重症心身障害及び筋ジストロフィー患者に関する医療は、主に障害者系病院で提供されている。これらの医療に関する機構の病院へのニーズは高く、多くの病院で満床に近い状況であり、中には地域の医療圏にとどまらず全国から患者が訪れている病院もあった。経営面についても、前記のとおり、障害者系病院は、おおむね医業収支の安定を確保している。当該医療分野については、医療法人等における医療提供体制の整備や経験が不足していることなどから、今後とも機構の病院がその役割を積極的に果たしていくことが見込まれる。

また、医療観察法に基づく精神科医療は、精神系病院で提供されている。医療観察法に基づく医療を提供するに当たっては、当該病院は、主に診療収入を財源として運営しているほか、国から心神喪失者等医療観察法指定入院医療機関運営費負担金等の交付を受けている。当該医療分野に係る入院医療の提供は、医療観察法により国等が開設する病院に限られていることから、今後とも機構の病院がその役割を果たしていく必要がある。

一方、結核に関する医療は、複合型病院等の結核病床を有する病院で主に提供されているが、結核感染者が年々減少していることなどから、機構の結核病床に係る入院患者数も減少傾向にあり、29年度の結核病床の病床利用率は48.7%と機構全体の81.6%を大きく下回っている。結核に関しては、一部の病院が国から保健衛生施設等施設整備費補助金の交付を受けているものの、原則として、病院の診療収入により費用を賄うことになっている。各病院は、当該医療分野の提供に際し、一般病床と結核病床を合わせて運用するなどの取組を進めているが、今後とも入院患者数の大幅な増加は見込めないことから、引き続きこうした効率的な病床運用等の経営改善に向けた取組が重要である。

イ 地域医療への貢献の状況

第3期中期目標によれば、機構の病院は、都道府県が地域の実情に応じて定める医療計画を踏まえて、各病院が持つ医療資源を活用することにより当該計画で求められる役割を積極的に果たすことなどとされている。そして、機構の病院は、図表15のとおり、各病院の特徴に応じて医療計画に記載されており、地域において求められる役割を果たすこととなっていた。

図表15 都道府県が定めた医療計画への機構の病院の記載状況

区分 5疾病 5事業
がん 脳卒中 急性心筋梗塞 糖尿病 精神疾患 救急医療 災害時医療 へき地医療 周産期医療 小児医療
(小児救急含む)
平成29年度
(30年3月末時点)
87 92 64 74 47 112 60 15 60 89

(注) 「5疾病」とは医療法第30条の4第2項第4号の規定で定められている広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病のことであり、都道府県の医療計画において当該疾病の治療等に係る事業に関する事項を定めることとなっている。また、「5事業」とは同項第5号の規定に掲げられている事業のことであり、医療計画において当該医療の確保に必要な事項を定めることとなっている。

また、医療計画には、将来の医療提供体制に関する地域医療構想が定められている。そして、機構の病院は、他の公的医療機関等と同様に地域に求められる役割を果たしていくことが期待されていることから、それ以外の医療機関に率先して、自院の将来の方向性を「公的医療機関等2025プラン」(以下「2025プラン」という。)として策定することとなっており、地域における同構想の協議の場でこれを議論することとなっている。機構の141病院のうち、一般病床を有しないなど上記議論の対象とならない病院を除いた137病院は、29年度末までに2025プランを策定していた。各病院の2025プランによれば、図表16のとおり、37年度(2025年度)に向けて病床数を増加させ、又は削減させるとしているのが38病院、既存の病床について病床機能区分(注3)の転換を行うとしているのが48病院となっていて、両者の重複分を除いた69病院(全体の50.3%)が病床について何らかの変更を行うとしていた。

図表16 各病院が策定した2025プランにおける現在と将来の病床数等の状況

区分 病院数  
割合
2025プランを策定した病院 137 100.0%
  病床数 既存の病床数よりも平成37年度に病床数を削減させるとしている病院 18 13.1%
既存の病床数よりも37年度に病床数を増加させるとしている病院 20 14.5%
病床機能 病床機能の転換を行うとしている病院 48 35.0%
  高度急性期・急性期機能の病床数を削減して回復期・慢性期機能の病床数を増加させるとしている病院 29 21.1%
その他の病院 19 13.8%

(注) 各病院が策定した2025プランを地域の協議の場に提示するに先立ち機構本部に提出し、機構本部が了解した時点の区分により集計した。

そして、上記の137病院が策定した2025プランは、おおむね31年までを目途にして地域における議論を経ることとなるが、既に当該議論を踏まえて病床数の増減や病床機能の転換を求められている病院があることを踏まえると、今後、37年度(2025年度)に向けて病床数等の変更をする病院は、上記の69病院よりも更に増えることも想定される。

前記のとおり、機構の病院は、医療計画を踏まえて、地域における課題の解決に貢献することなどとされている。そして、機構の病院が、将来、地域において不足が見込まれる病床機能を提供するために率先して既存の病床機能の転換を進めたり、地域の医療需要等を踏まえて病床数を増減したりすることは、医療計画の一つである地域医療構想の実現に貢献することになる。

一方で、病床数等の変更に伴い、患者数又は患者1人1日当たりの診療収入が変動して、病院の医業収益に影響が生ずることなども考えられる。ついては、今後、少なくない病院で病床機能の転換や病床数の増減等が想定されることから、これに対応した収益の増加を図ったり、費用の節減を進めたりするなどして、病院経営の健全性を確保するために適時適切な対応を進めていくことが重要である。

(注3)
病床機能区分  ①高度急性期機能(急性期の患者に対して、状態の早期安定化に向けた診療密度が特に高い医療を提供する機能)、②急性期機能(急性期の患者に対して、状態の早期安定化に向けた医療を提供する機能)、③回復期機能(急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能)、④慢性期機能(長期にわたり療養が必要な患者を入院させるなどの機能)の各機能の区分

4 本院の所見

機構は、全国に設置された病院において、安心・安全で質の高い医療を提供するとともに、国の医療政策や地域医療の向上に貢献するなどの役割を担っている。そして、機構が、機構に課せられたこれらの役割を果たしていくには、安定した経営基盤の確保が必要である。このような中、前記のとおり、機構の経常収支率は22年度をピークに悪化しており、28年度には機構設立以来初めての経常赤字となり、29年度は28年度よりは改善したものの引き続き経常赤字となっている。

したがって、機構が、国の医療政策や地域医療への貢献等といった機構に課せられた役割を今後とも継続的に果たしていけるよう、次のような点に留意することが重要である。

  • ア 機構の経常収支率は、29年度は28年度よりは改善したものの、傾向的には22年度をピークとして悪化していることから、一層の経営の改善に向けた取組を進めていくこと。その際、既に効果のあった取組を他の病院でも同様に展開していくなどして、一層の費用節減に努めること
  • イ 一般大規模病院の経営状況は、機構全体の経常収支に大きな影響を及ぼしており、一層の経営改善に向けた取組を進めること。その際、引き続き材料費の節減に努めるとともに、地域の医療需要を踏まえて、他の医療機関との連携強化による患者の確保等を進めたり、入院患者の動向を踏まえて、必要に応じて病棟集約を含めた効率的な病床運用に努めたりすること
  • ウ 経営改善計画に基づく経営改善は必ずしも順調に行われていないことから、各病院が、それぞれの状況に応じて、実現可能性があり、かつ、必要に応じて抜本的な改善策も検討した的確な経営改善計画を作成し、これに沿って経営改善に向けた取組を着実に進めていけるよう、機構本部において、実施項目の事例、実施項目の設定及び経営改善計画額の算定方法や考え方、注意点等を病院に具体的に示すとともに、経営改善計画の同意に際しては各実施項目の実現可能性や妥当性についても確認するなど、病院に対する指導を一層充実させること
  • エ 地域医療構想を踏まえ、今後、少なくない病院で病床機能の転換や病床数の増減等が想定されることから、これに対応した収益の増加を図ったり費用の節減を進めたりするなどして、病院経営の健全性を確保するために適時適切な対応を進めていくこと

本院としては、機構が設置する病院の経営状況等について、引き続き注視していくこととする。

表 機構の病院の経営状況等

番号 病院名 平成29年度 許可病床数(29年4月1日現在) 病院区分 所在地 28年度経営改善計画作成(達成◎) 会計実地検査
経常収益
(百万円)
経常費用
(百万円)
経常収支
(百万円)
経常
収支率
医業収支
(百万円)
医業
収支率
1 北海道がんセンター 11,411 11,220 190 101.6% 55 100.5% 520 北海道札幌市  
2 北海道医療センター 10,857 11,320 △463 95.9% △446 95.8% 500 北海道札幌市  
3 函館病院 5,606 5,443 163 103.0% 198 103.7% 310 北海道函館市    
4 旭川医療センター 5,276 5,132 144 102.8% 158 103.2% 310 北海道旭川市  
5 帯広病院 4,461 4,433 27 100.6% 27 100.6% 353 北海道帯広市    
6 八雲病院 2,401 2,307 93 104.0% 103 104.5% 240 北海道二海郡八雲町  
7 弘前病院 6,912 6,996 △84 98.7% △87 98.6% 342 青森県弘前市  
8 八戸病院 1,855 1,773 82 104.6% 79 104.5% 150 青森県八戸市  
9 青森病院 4,309 3,980 329 108.2% 301 107.6% 360 青森県青森市    
10 盛岡病院 2,760 2,758 1 100.0% 38 101.4% 260 岩手県盛岡市  
11 花巻病院 2,011 2,111 △100 95.2% △87 95.7% 204 岩手県花巻市  
12 岩手病院 2,732 2,750 △17 99.3% △0 99.9% 250 岩手県一関市  
13 釜石病院 1,775 1,714 60 103.5% 79 104.7% 180 岩手県釜石市    
14 仙台医療センター 20,342 19,414 928 104.7% 483 102.5% 698 宮城県仙台市
15 仙台西多賀病院 6,494 6,194 299 104.8% 299 104.8% 480 宮城県仙台市    
16 宮城病院 3,759 3,698 61 101.6% 62 101.7% 344 宮城県亘理郡山元町
17 あきた病院 4,525 4,394 130 102.9% 131 103.0% 340 秋田県由利本荘市    
18 山形病院 3,345 3,366 △20 99.3% △11 99.6% 308 山形県山形市    
19 米沢病院 2,109 1,995 113 105.6% 109 105.4% 220 山形県米沢市  
20 福島病院 2,147 2,602 △455 82.5% △371 84.6% 303 福島県須賀川市
21 いわき病院 1,707 1,625 81 104.9% 77 104.7% 180 福島県いわき市  
22 水戸医療センター 13,158 12,815 343 102.6% 384 103.1% 500 茨城県東茨城郡茨城町  
23 霞ヶ浦医療センター 4,805 4,984 △178 96.4% △170 96.5% 250 茨城県土浦市
24 茨城東病院 4,701 4,520 180 103.9% 87 101.9% 410 茨城県那珂郡東海村    
25 栃木医療センター 7,095 7,536 △440 94.1% △393 94.5% 350 栃木県宇都宮市  
26 宇都宮病院 5,096 5,004 91 101.8% 90 101.8% 380 栃木県宇都宮市  
27 高崎総合医療センター 15,288 14,416 871 106.0% 53 100.3% 451 群馬県高崎市  
28 沼田病院 2,296 2,466 △169 93.1% △242 90.1% 179 群馬県沼田市  
29 渋川医療センター 8,719 8,623 95 101.1% △160 98.1% 450 群馬県渋川市  
30 西埼玉中央病院 5,432 5,740 △307 94.6% △275 95.0% 325 埼玉県所沢市  
31 埼玉病院 14,207 14,676 △469 96.8% △550 96.1% 350 埼玉県和光市  
32 東埼玉病院 5,925 6,098 △173 97.1% △142 97.5% 532 埼玉県蓮田市  
33 千葉医療センター 9,976 10,551 △574 94.5% △618 93.8% 455 千葉県千葉市  
34 千葉東病院 5,935 6,341 △405 93.6% △275 95.4% 421 千葉県千葉市
35 下総精神医療センター 2,812 2,861 △48 98.2% △207 92.6% 435 千葉県千葉市  
36 下志津病院 5,699 5,825 △126 97.8% △128 97.7% 440 千葉県四街道市
37 東京医療センター 24,182 23,819 362 101.5% 250 101.0% 780 東京都目黒区    
38 災害医療センター 16,373 15,843 530 103.3% 542 103.6% 455 東京都立川市
39 東京病院 9,106 9,204 △97 98.9% 25 100.2% 560 東京都清瀬市
40 村山医療センター 5,216 4,889 326 106.6% 262 105.4% 303 東京都武蔵村山市  
41 横浜医療センター 15,139 15,125 14 100.0% △90 99.3% 510 神奈川県横浜市    
42 久里浜医療センター 3,395 3,465 △69 97.9% △228 92.8% 332 神奈川県横須賀市
43 箱根病院 2,307 2,438 △130 94.6% △136 94.3% 199 神奈川県小田原市
44 相模原病院 11,861 12,046 △185 98.4% △317 97.2% 458 神奈川県相模原市    
45 神奈川病院 4,826 4,678 148 103.1% 143 103.1% 370 神奈川県秦野市
46 西新潟中央病院 6,683 6,615 68 101.0% 144 102.2% 400 新潟県新潟市    
47 新潟病院 5,600 5,709 △108 98.0% △93 98.2% 350 新潟県柏崎市  
48 さいがた医療センター 2,500 3,062 △561 81.6% △579 80.6% 410 新潟県上越市  
49 甲府病院 4,472 4,687 △214 95.4% △181 96.0% 276 山梨県甲府市  
50 東長野病院 2,241 2,313 △71 96.9% △40 98.1% 213 長野県長野市  
51 まつもと医療センター 9,189 9,700 △510 94.7% △524 94.4% 573 長野県松本市  
52 信州上田医療センター 7,703 7,802 △99 98.7% △54 99.2% 420 長野県上田市
53 小諸高原病院 2,390 2,382 8 100.3% △17 99.2% 340 長野県小諸市  
54 富山病院 3,330 3,353 △22 99.3% △11 99.6% 310 富山県富山市  
55 北陸病院 2,378 2,394 △15 99.3% △93 96.0% 274 富山県南砺市  
56 金沢医療センター 13,036 12,980 56 100.4% △71 99.4% 554 石川県金沢市
57 医王病院 3,826 3,721 105 102.8% 103 102.8% 310 石川県金沢市    
58 七尾病院 2,452 2,379 72 103.0% 58 102.4% 240 石川県七尾市    
59 石川病院 2,045 2,127 △81 96.1% △74 96.4% 240 石川県加賀市  
60 長良医療センター 6,631 6,549 81 101.2% 110 101.7% 468 岐阜県岐阜市  
61 静岡てんかん・神経医療センター 4,716 4,532 183 104.0% 266 106.2% 410 静岡県静岡市    
62 天竜病院 3,591 3,816 △225 94.1% △242 93.4% 328 静岡県浜松市  
63 静岡医療センター 9,282 9,850 △567 94.2% △655 93.0% 450 静岡県駿東郡清水町  
64 名古屋医療センター 22,611 22,654 △43 99.8% △151 99.2% 740 愛知県名古屋市  
65 東名古屋病院 4,902 5,213 △310 94.0% △315 93.6% 468 愛知県名古屋市  
66 東尾張病院 1,954 2,162 △207 90.4% △254 88.1% 233 愛知県名古屋市  
67 豊橋医療センター 6,423 6,672 △248 96.2% △155 97.5% 388 愛知県豊橋市
68 三重病院 4,008 3,858 150 103.8% 37 101.0% 260 三重県津市    
69 鈴鹿病院 3,496 3,504 △7 99.7% 9 100.2% 290 三重県鈴鹿市    
70 三重中央医療センター 10,982 10,807 175 101.6% 228 102.2% 486 三重県津市  
71 榊原病院 1,451 1,551 △100 93.5% △166 88.9% 222 三重県津市
72 敦賀医療センター 3,796 4,057 △260 93.5% △288 92.8% 273 福井県敦賀市  
73 あわら病院 2,014 2,006 8 100.4% 13 100.6% 172 福井県あわら市    
74 東近江総合医療センター 5,614 6,066 △452 92.5% △460 92.2% 320 滋賀県東近江市  
75 紫香楽病院 1,796 1,787 9 100.5% 15 100.8% 180 滋賀県甲賀市    
76 京都医療センター 18,895 19,153 △258 98.6% △256 98.5% 600 京都府京都市
77 宇多野病院 4,127 4,649 △521 88.7% △454 89.7% 380 京都府京都市  
78 舞鶴医療センター 5,327 5,919 △592 89.9% △723 87.2% 409 京都府舞鶴市  
79 南京都病院 4,193 4,335 △142 96.7% △138 96.7% 400 京都府城陽市  
80 大阪医療センター 23,083 22,729 354 101.5% 118 100.5% 692 大阪府大阪市  
81 近畿中央胸部疾患センター 7,038 7,298 △260 96.4% △256 96.2% 385 大阪府堺市  
82 刀根山病院 7,271 7,511 △240 96.7% △254 96.5% 500 大阪府豊中市    
83 大阪南医療センター 12,870 13,544 △674 95.0% △472 96.3% 470 大阪府河内長野市
84 神戸医療センター 7,806 7,785 20 100.2% 12 100.1% 304 兵庫県神戸市  
85 姫路医療センター 11,619 11,713 △94 99.1% △25 99.7% 430 兵庫県姫路市
86 兵庫あおの病院 2,832 2,884 △51 98.2% △16 99.4% 250 兵庫県小野市
87 兵庫中央病院 5,319 5,521 △201 96.3% △217 96.0% 500 兵庫県三田市  
88 奈良医療センター 4,166 4,306 △140 96.7% △138 96.7% 350 奈良県奈良市  
89 やまと精神医療センター 2,779 2,747 32 101.1% 4 100.1% 283 奈良県大和郡山市  
90 南和歌山医療センター 7,417 7,513 △96 98.7% △163 97.7% 316 和歌山県田辺市    
91 和歌山病院 3,421 3,603 △182 94.9% △201 94.3% 310 和歌山県日高郡美浜町
92 鳥取医療センター 4,789 4,760 28 100.6% 58 101.2% 522 鳥取県鳥取市
93 米子医療センター 6,513 6,291 222 103.5% 137 102.2% 270 鳥取県米子市  
94 松江医療センター 4,575 4,666 △90 98.0% △58 98.6% 340 島根県松江市  
95 浜田医療センター 8,647 8,521 126 101.4% △27 99.6% 365 島根県浜田市    
96 岡山医療センター 20,247 20,688 △440 97.8% △330 98.3% 609 岡山県岡山市  
97 南岡山医療センター 4,815 5,162 △347 93.2% △308 93.8% 400 岡山県都窪郡早島町
98 呉医療センター 18,447 18,218 228 101.2% 346 102.0% 700 広島県呉市  
99 福山医療センター 10,961 11,632 △671 94.2% △702 93.8% 410 広島県福山市    
100 広島西医療センター 7,496 7,427 69 100.9% 36 100.5% 440 広島県大竹市  
101 東広島医療センター 11,001 11,165 △164 98.5% △246 97.7% 435 広島県東広島市  
102 賀茂精神医療センター 2,956 3,022 △66 97.8% △88 97.0% 412 広島県東広島市    
103 関門医療センター 8,673 8,679 △6 99.9% △1 99.9% 400 山口県下関市  
104 山口宇部医療センター 5,786 5,839 △52 99.1% △62 98.8% 365 山口県宇部市  
105 岩国医療センター 14,314 15,157 △843 94.4% △906 93.7% 530 山口県岩国市
106 柳井医療センター 3,383 3,215 168 105.2% 180 105.6% 280 山口県柳井市    
107 東徳島医療センター 3,779 3,765 13 100.3% 48 101.3% 330 徳島県板野郡板野町  
108 徳島病院 3,328 3,419 △90 97.3% △58 98.2% 300 徳島県吉野川市  
109 高松医療センター 2,008 2,322 △314 86.4% △292 87.1% 320 香川県高松市  
110 四国こどもとおとなの医療センター 14,266 14,410 △144 98.9% △275 98.0% 689 香川県善通寺市    
111 四国がんセンター 10,254 10,761 △507 95.2% △557 94.4% 405 愛媛県松山市  
112 愛媛医療センター 4,577 4,666 △89 98.0% △49 98.8% 430 愛媛県東温市
113 高知病院 8,371 7,856 514 106.5% 657 108.8% 424 高知県高知市    
114 小倉医療センター 8,124 7,956 167 102.1% 162 102.0% 400 福岡県北九州市  
115 九州がんセンター 12,750 12,814 △64 99.4% △269 97.7% 411 福岡県福岡市
116 九州医療センター 22,444 22,884 △440 98.0% △588 97.3% 702 福岡県福岡市
117 福岡病院 4,844 5,373 △528 90.1% △477 90.8% 360 福岡県福岡市
118 大牟田病院 4,817 4,752 64 101.3% 89 101.9% 402 福岡県大牟田市  
119 福岡東医療センター 11,117 11,486 △368 96.7% △522 95.3% 591 福岡県古賀市  
120 佐賀病院 5,408 5,358 49 100.9% 15 100.3% 292 佐賀県佐賀市    
121 肥前精神医療センター 5,021 4,912 108 102.2% △83 98.2% 564 佐賀県神埼郡吉野ヶ里町    
122 東佐賀病院 3,765 3,649 115 103.1% 94 102.5% 390 佐賀県三養基郡みやき町    
123 嬉野医療センター 9,639 9,628 11 100.1% 36 100.3% 424 佐賀県嬉野市    
124 長崎病院 3,005 3,239 △233 92.7% △227 92.8% 280 長崎県長崎市    
125 長崎医療センター 18,514 18,187 326 101.7% 564 103.2% 643 長崎県大村市  
126 長崎川棚医療センター 4,200 4,355 △155 96.4% △133 96.8% 315 長崎県東彼杵郡川棚町  
127 熊本医療センター 17,335 16,236 1,098 106.7% 952 106.0% 550 熊本県熊本市    
128 熊本南病院 2,242 2,443 △201 91.7% △203 91.5% 172 熊本県宇城市
129 菊池病院 2,141 2,093 47 102.2% △11 99.4% 247 熊本県合志市  
130 熊本再春荘病院 6,820 6,775 44 100.6% △7 99.8% 513 熊本県合志市  
131 大分医療センター 5,093 5,246 △153 97.0% △139 97.3% 300 大分県大分市  
132 別府医療センター 9,940 10,094 △153 98.4% △191 98.0% 500 大分県別府市
133 西別府病院 4,639 4,667 △27 99.4% △49 98.9% 350 大分県別府市    
134 宮崎東病院 3,548 3,488 60 101.7% 34 101.0% 324 宮崎県宮崎市  
135 都城医療センター 7,602 7,525 77 101.0% 97 101.3% 307 宮崎県都城市
136 宮崎病院 2,186 2,157 28 101.3% 53 102.5% 199 宮崎県児湯郡川南町  
137 鹿児島医療センター 12,277 12,668 △391 96.9% △381 96.8% 370 鹿児島県鹿児島市
138 指宿医療センター 2,423 2,966 △543 81.6% △560 80.8% 199 鹿児島県指宿市  
139 南九州病院 5,666 5,659 6 100.1% 6 100.1% 475 鹿児島県姶良市    
140 沖縄病院 4,105 4,504 △398 91.1% △461 89.6% 320 沖縄県宜野湾市  
141 琉球病院 3,390 3,423 △32 99.0% △116 96.5% 406 沖縄県国頭郡金武町    
(参考) 静岡富士病院 540 639 △99 84.4% △98 84.3% 175 静岡県富士宮市    
982,472 991,598 △9,125 99.0% △12,443 98.7% 54,481 92病院
(達成10病院)
44病院
  • 注(1) 病院区分の「大」は一般大規模病院を、「中」は一般中規模病院を、「小」は一般小規模病院を、「障」は障害者系病院を、「精」は精神系病院を、「複」は複合型病院をそれぞれ示す。
  • 注(2) 「28年度経営改善計画作成」は、平成28年度中に収支の改善が実現すると見込んだ実施項目を作成した病院であり、29年度の経常収支等と直ちに関連するものではない。また、「◎」は経営改善計画で見込んだ経常収支額を達成した病院を示す。
  • 注(3) 静岡富士病院は、平成29年10月に静岡医療センターに機能移転した。
  • 注(4) 記載の値は、いずれも表示単位未満を切り捨てているため、病院ごとの値を合計しても計欄の値と一致しないものがある。
  • 注(5) 各病院のほか機構本部等に係る収支があるため、収支に係る計欄の値は機構全体の値と一致しない。