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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 令和3年5月

福島第一原子力発電所事故に伴い放射性物質に汚染された廃棄物及び除去土壌等の処理状況等に関する会計検査の結果について


別図表0-9 日本環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律案に対する附帯決議に基づく国会報告(令和2年6月)

戦略等に沿って、昨年5月に行った前回の報告(補注)以降に実施した主な取組は以下のとおりである。

(1) 除去土壌の再生利用等に関する検討・検証

平成28年6月に取りまとめた「再生資材化した除去土壌の安全な利用に係る基本的考え方」を踏まえ、 放射線に関する安全性の確認や具体的な管理の方法の検討・検証を行うため、除去土壌を用いた再生利 用実証事業を継続・展開した。

福島県飯舘村長泥地区においては、飯舘村内の除去土壌の再生資材化、試験盛土の造成、資源作物等の試験栽培及び空間線量率等のモニタリングを実施した。飯舘村長泥地区における再生利用実証事業の主な結果は以下のとおりである。

・再生資材及び覆土材を用いて農地を造成するプロセスについて、放射線安全性の観点から問題なく施工できることを確認した。また、これまでの空間線量率等のモニタリング等の結果から、維持管理についても、放射線安全性の観点から問題なく実施できることを確認した。

・資源作物の試験栽培として約3か月間盛土で栽培した後、土壌からの放射性セシウムの移行の確認を行ったところ、これまで得られているデータからは、安全評価による想定に比べて十分安全側の結果が得られた。

以上の再生利用実証事業の成果、昨年12月19日に実施した中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会における議論等を踏まえ、飯舘村長泥地区においては、継続的に試験栽培を実施し、安全性や作物の生育性を確認するとともに、本年度に農地の造成工事に着手することとした。また、本年2月の小泉環境大臣の飯舘村長泥地区訪問における住民の方々の意見も踏まえ、本年度はこれまで試験栽培を実施した作物以外の様々な作物についても試験栽培を実施している。

福島県南相馬市東部仮置場における試験盛土の実証事業においては、引き続き空間線量率等のモニタリングを実施し、安全性を確認した。

また、中間貯蔵施設内の大熊町内において、分級処理システム技術を確立する実証事業を継続し、高度分級による効果を確認するとともに、分級処理システム技術の実証事業の成果の取りまとめを行った。高度分級を行うことにより、元の土壌から得られた砂及び礫の放射能濃度は、元の土壌と比較して7~8割程度低減することが確認された。さらに、除去土壌等の減容・再生利用等に関する技術の開発を行う場として、中間貯蔵施設内の大熊町内に技術実証フィールドを整備した。

加えて、昨年6月には、原子力規制委員会に置かれた放射線審議会に対して、除去土壌の再生利用の検討状況について報告を行った。

(2) 「再生利用の手引き(案)」の変更及び関係省令の改正等に係るパブリックコメントの実施

飯舘村長泥地区における再生利用実証事業で得られた知見を踏まえ、再生資材を公共事業等で安全に取り扱う上での技術的な留意事項を整理した「再生利用の手引き(案)」に、再生資材及び覆土材を用いて造成した土地を農地として利用する場合の留意事項を追加した。

また、除去土壌の再生利用を適切な管理の下で行うための方法に関する「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則の改正案及び関連する告示案」のパブリックコメントを、本年1月から2月にかけて実施した。当該改正案及び告示案については、現時点では改正等を行わず、今後も引き続き実施する様々な作物の試験栽培の成果等も踏まえ、再生利用の方法について更に検討を進めることとした。

(3) 除去土壌の再生利用等に関する理解醸成活動等の実施

除去土壌の再生利用実証事業等の成果を環境省ホームページで広く発信するとともに、飯舘村における環境再生の取組や住民の方々の思いを紹介するポスター「いいたて便り」を作成する等の情報発信を行った。

また、飯舘村長泥地区で実施している再生利用実証事業の一環で再生利用時に覆土として用いる土を使用して試験栽培された花卉を、昨年11月に開催された日中韓三カ国環境大臣会合の場等で紹介したほか、復興庁、法務省、農林水産省及び経済産業省と連携して活用するなど、様々な機会を捉えた情報発信を行った。

さらに、福島の復興に向けた理解醸成の取組として、本年3月に、福島県の除去土壌を利用した鉢植えを環境大臣室等に設置した。