○TPP分(平成27年12月公表)
【試算対象国】TPP参加11か国:オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム国、カナダ、チリ共和国、マレーシア、メキシコ合衆国、ニュージーランド、ペルー共和国、シンガポール共和国、米国及びベトナム社会主義共和国
【農林水産物の生産減少額】約1300~2100億円
品目 | 生産減少額 | 試算の考え方 | |
---|---|---|---|
米 | 0億円 | 現行の国家貿易制度や枠外税率を維持することから、国家貿易以外の輸入の増大は見込み難いことに加え、国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れることから、国産主食用米のこれまでの生産量や農家所得に影響は見込み難い。 | |
麦 | |||
小麦 | 約62億円 | 国家貿易制度の下で、新たな国別枠を通じた輸入は、既存枠を通じた輸入の一部が置き換わることが基本であることに加え、体質強化対策や経営所得安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
大麦 | 約4億円 | 国家貿易制度の下で、新たなTPP枠を通じた輸入は、既存枠を通じた輸入の一部が置き換わることが基本であることに加え、体質強化対策や経営所得安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
牛肉・豚肉 | |||
牛肉 | 約311億円~ 約625億円 |
長期の関税削減期間を確保するとともにセーフガードを措置。国内産牛肉のうち、和牛・交雑種牛肉は、品質・価格面で輸入牛肉と差別化されていることなどから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
豚肉 | 約169億円~ 約332億円 |
長期の関税削減期間を確保し、差額関税制度・分岐点価格を維持するとともに、セーフガードを措置。コンビネーション輸入が引き続き行われるのではないかと想定されることなどから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
牛乳乳製品 | 約198億円~ 約291億円 |
バター・脱脂粉乳等は現行の枠外税率を維持した上で、TPP枠を設定。ホエイは長期の関税撤廃期間及びセーフガードを措置するとともに、熟成チーズ等は長期の関税撤廃期間を確保することから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
甘味資源作物 | |||
砂糖 | 約52億円 | 糖価調整制度が現行どおり維持される中で、現在輸入されているタイ産の粗糖の一部がTPP参加国に代替されることにとどまることに加え、体質強化対策や経営所得安定対策等を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
でん粉原料作物 |
約12億円 | 糖価調整制度が現行どおり維持される中で、TPP参加国を対象とした関税割当は、現行の関税割当の下で輸入されている範囲内となることに加え、国内産でん粉製造コストの低減等の体質強化対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 |
(注) 「農林水産物の生産額への影響について」(平成27年12月農林水産省作成)を基に会計検査院が作成した。
○CPTPP分(平成29年12月公表)
【試算対象国】CPTPP参加10か国:オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム国、カナダ、チリ共和国、マレーシア、メキシコ合衆国、ニュージーランド、ペルー共和国、シンガポール共和国及びベトナム社会主義共和国
【農林水産物の生産減少額】約900~1500億円
品目 | 生産減少額 | 試算の考え方 | |
---|---|---|---|
米 | 0億円 | 現行の国家貿易制度や枠外税率を維持することから、国家貿易以外の輸入の増大は見込み難いことに加え、国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れることから、国産主食用米のこれまでの生産量や農家所得に影響は見込み難い。 | |
麦 | |||
小麦 | 約29億円~ 約65億円 |
国家貿易制度の下で、新たな国別枠を通じた輸入は、既存枠を通じた輸入の一部が置き換わることが基本であることに加え、体質強化対策や経営所得安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
大麦 | 約4億円 | 国家貿易制度の下で、新たなTPP枠を通じた輸入は、既存枠を通じた輸入の一部が置き換わることが基本であることに加え、体質強化対策や経営所得安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
牛肉・豚肉 | |||
牛肉 | 約200億円~ 約399億円 |
長期の関税削減期間を確保するとともにセーフガードを措置。国内産牛肉のうち、和牛・交雑種牛肉は、品質・価格面で輸入牛肉と差別化されていることなどから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
豚肉 | 約124億円~ 約248億円 |
長期の関税削減期間を確保し、差額関税制度・分岐点価格を維持するとともに、セーフガードを措置。コンビネーション輸入が引き続き行われるのではないかと想定されることなどから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
牛乳乳製品 | 約199億円~ 約314億円 |
バター・脱脂粉乳等は現行の枠外税率を維持した上で、TPP枠を設定。ホエイは長期の関税撤廃期間を設定し、セーフガードを措置するとともに、ハード系チーズ等は長期の関税撤廃期間を確保することから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
甘味資源作物 | |||
砂糖 | 約48億円 | 糖価調整制度が現行どおり維持される中で、現在輸入されているタイ産の粗糖の一部がTPP11参加国に代替されることにとどまることに加え、体質強化対策や経営所得安定対策等を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
でん粉 | 0億円 | 糖価調整制度が現行どおり維持されるとともに、TPP11参加国からのばれいしょでん粉の輸入は見込み難いことから、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 |
(注) 「農林水産物の生産額への影響について(TPP11)」(平成29年12月農林水産省作成)を基に会計検査院が作成した。
○日EU・EPA分(平成29年12月公表)
【試算対象国】EU加盟国28か国:オーストリア共和国、ベルギー王国、ブルガリア共和国、クロアチア共和国、キプロス共和国、チェコ共和国、デンマーク王国、エストニア共和国、フィンランド共和国、フランス共和国、ドイツ連邦共和国、ギリシャ共和国、ハンガリー、アイルランド、イタリア共和国、ラトビア共和国、リトアニア共和国、ルクセンブルク大公国、マルタ共和国、オランダ王国、ポーランド共和国、ポルトガル共和国、ルーマニア、スロバキア共和国、スロベニア共和国、スペイン王国、スウェーデン王国、英国
【農林水産物の生産減少額】約600~1100億円
品目 | 生産減少額 | 試算の考え方 | |
---|---|---|---|
米 | - | - | |
麦 | |||
小麦 | 0億円 | 現行の国家貿易制度や枠外税率を維持。小麦加工品の関税撤廃により、国産小麦を安定的に引き取っている国内小麦加工業が影響を受け、国産小麦の行き場が失われるおそれがあるが、小麦加工業存続の環境整備等を行うことにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
大麦 | 0億円 | 国家貿易制度や枠外税率が維持される中で、関税割当枠は極めて少量であることから、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
牛肉・豚肉 | |||
牛肉 | 約94億円~ 約188億円 |
長期の関税削減期間を確保するとともにセーフガードを措置。国内産牛肉のうち、和牛・交雑種牛肉は、品質・価格面で輸入牛肉と差別化されていることなどから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
豚肉 | 約118億円~ 約236億円 |
長期の関税削減期間を確保し、差額関税制度・分岐点価格を維持するとともに、セーフガードを措置。コンビネーション輸入が引き続き行われるのではないかと想定されることなどから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
牛乳乳製品 | 約134億円~ 約203億円 |
バター・脱脂粉乳等は現行の枠外税率を維持した上で、EU枠を設定。ホエイは関税削減にとどめ、セーフガードを措置するとともに、ソフト系チーズは横断的な関税割当の設定に留め、ハード系チーズ等は長期の関税撤廃期間を確保することから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
甘味資源作物 | |||
砂糖 | 約33億円 | 糖価調整制度が現行どおり維持。制度外の加糖調製品については、EUからの現行輸入量が全輸入量の5%程度と大きくないことに加え、体質強化対策や経営所得安定対策等を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
でん粉 | 約9億円 | 糖価調整制度が現行どおり維持される中で、EUを対象とした関税割当は、国産への影響を最小限とするよう輸入条件を工夫していることに加え、国産でん粉製造コストの低減等の体質強化対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 |
(注) 「農林水産物の生産額への影響について(日EU・EPA)」(平成29年12月農林水産省作成)を基に会計検査院が作成した。
○日米貿易協定分(令和元年12月公表)
【試算対象国】米国
【農林水産物の生産減少額】約600~1100億円
品目 | 生産減少額 | 試算の考え方 | |
---|---|---|---|
米 | 除外 | - | |
麦 | |||
小麦 | 約34億円 | 現行の国家貿易制度を維持するとともに枠外税率を維持することから、マークアップの引下げに伴い国産麦価格が下落するおそれがあるものの、体質強化対策や経営所得安定対策の適切な実施により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
大麦 | 約0.5億円 | 現行の国家貿易制度等を維持するとともに枠外税率を維持することから、マークアップの引下げに伴い国産麦価格が下落するおそれがあるものの、体質強化対策や経営所得安定対策の適切な実施により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
牛肉・豚肉 | |||
牛肉 | 約237億円~ 約474億円 |
長期の関税削減期間を確保するとともにセーフガードを措置。国内産牛肉のうち、和牛・交雑種牛肉は、品質・価格面で輸入牛肉と差別化されていることなどから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保さ れ、国内生産量が維持されると見込む。 | |
豚肉 | 約109億円~ 約217億円 |
長期の関税削減期間を確保し、差額関税制度・分岐点価格を維持するとともに、セーフガードを措置。コンビネーション輸入が引き続き行われるのではないかと想定されることなどから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
牛乳乳製品 | 約161億円~ 約246億円 |
バター・脱脂粉乳等は現行の枠外税率を維持。ホエイは長期の関税撤廃期間を設定し、セーフガードを措置するとともに、ハード系チーズ等は長期の関税撤廃期間を確保することから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
甘味資源作物 | |||
砂糖 | 0億円 | 糖価調整制度が現行どおり維持されること、また、加糖調製品のほとんどで除外を確保しており、加糖調製品の輸入の増加は見込み難く、体質強化対策や経営所得安定対策等の適切な実施により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
でん粉 | 約0.5億円 | 糖価調整制度が現行どおり維持されること、また、ばれいしょでん粉等の関税割当数量を低水準に抑えたこと等に加え、国産でん粉製造コストの低減等の体質強化対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 |
(注) 「農林水産物の生産額への影響について(日米貿易協定)」(令和元年12月農林水産省作成)を基に会計検査院が作成した。
○日米貿易協定及びCPTPP分(令和元年12月公表)
【試算対象国】米国、CPTPP参加10か国(オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム国、カナダ、チリ共和国、マレーシア、メキシコ合衆国、ニュージーランド、ペルー共和国、シンガポール共和国及びベトナム社会主義共和国)
【農林水産物の生産減少額】約1200~2000億円
品目 | 生産減少額 | 試算の考え方 | |
---|---|---|---|
米 | 0億円 | 日米貿易協定では除外を確保。TPP11では現行の国家貿易制度や枠外税率を維持することから、国家貿易以外の輸入の増大は見込み難いことに加え、国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れることから、国産主食用米のこれまでの生産量や農家所得に影響は見込み難い。 | |
麦 | |||
小麦 | 約65億円 | 現行の国家貿易制度を維持するとともに枠外税率を維持することから、マークアップの引下げに伴い国産麦価格が下落するおそれがあるものの、体質強化対策や経営所得安定対策の適切な実施により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
大麦 | 約4億円 | 現行の国家貿易制度等を維持するとともに枠外税率を維持することから、マークアップの引下げに伴い国産麦価格が下落するおそれがあるものの、体質強化対策や経営所得安定対策の適切な実施により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
牛肉・豚肉 | |||
牛肉 | 約393億円~ 約786億円 |
長期の関税削減期間を確保するとともにセーフガードを措置。国内産牛肉のうち、和牛・交雑種牛肉は、品質・価格面で輸入牛肉と差別化されていることなどから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
豚肉 | 約148億円~ 約296億円 |
長期の関税削減期間を確保し、差額関税制度・分岐点価格を維持するとともに、セーフガードを措置。コンビネーション輸入が引き続き行われるのではないかと想定されることなどから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
牛乳乳製品 | 約182億円~ 約276億円 |
バター・脱脂粉乳等は現行の枠外税率を維持した上で、TPP枠を設定。ホエイは長期の関税撤廃期間を設定し、セーフガードを措置するとともに、ハード系チーズ等は長期の関税撤廃期間を確保することから、当面、輸入の急増は見込み難く、体質強化対策や経営安定対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
甘味資源作物 | |||
砂糖 | 約52億円 | 糖価調整制度が現行どおり維持される中で、現在輸入されているタイ産の粗糖の一部がTPP11参加国に代替されることにとどまることに加え、体質強化対策や経営所得安定対策等を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 | |
でん粉 | 約0.5億円 | 糖価調整制度が現行どおり維持されること、また、ばれいしょでん粉等の関税割当数量を低水準に抑えたこと、加えて、TPP11参加国からのばれいしょでん粉の輸入は見込み難いこと等から、国産でん粉製造コストの低減等の体質強化対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。 |
(注) 「農林水産物の生産額への影響について(日米貿易協定及びTPP11)」(令和元年12月農林水産省作成)を基に会計検査院が作成した。