ページトップ
  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 令和4年9月|

農林水産分野におけるTPP等関連政策大綱に基づく施策に関する会計検査の結果について


別図表2-1-1 次世代担い手育成主要施策を具現化した事業の概要

主要施策
(主要施策を具現化した事業)
事業の概要
意欲ある農業者の経営発展を促進する機械・施設の導入
(担い手確保・経営強化支援事業)
担い手確保・経営強化支援事業は、担い手確保・経営強化支援事業実施要綱(平成28年27経営第2612号農林水産事務次官依命通知)等に基づき、担い手の育成・確保の取組と農地の集積・集約化を一体的かつ積極的に推進する地域において、経営発展に意欲的に取り組む経営体の農業用機械・施設の導入等を支援する事業である。
無利子化等の金融支援措置の充実
(担い手経営発展支援金融対策事業)
担い手経営発展支援金融対策事業は、担い手経営発展支援金融対策事業実施要綱(平成28年27経営第2598号農林水産事務次官依命通知)等に基づき、TPP等による経営環境の変化に対応して、新たに規模拡大等の攻めの経営展開に取り組むために借り入れる農業経営基盤強化資金及び農業近代化資金について、金利負担を軽減するために利子助成金を交付したり、実質無担保・無保証人貸付(注(1))を行ったりする事業である。
農地中間管理事業の重点実施区域等における農地の更なる大区画化・汎用化
(TPP等関連農業農村整備対策(農地の更なる大区画化・汎用化の推進))
TPP等関連農業農村整備対策は、「農地の更なる大区画化・汎用化の推進」「水田の畑地化・汎用化(注(2))、畑地・樹園地の高機能化等の推進」及び「畜産クラスターを後押しする草地整備の推進」の三つの対策を実施するものである。対策として実施できる事業は、TPP等関連政策大綱制定前から実施されている土地改良事業のうちの国営緊急農地再編整備事業、農業競争力強化基盤整備事業(農業競争力強化農地整備事業)等7事業(以下「土地改良7事業」という。)(注(3))となっている。
TPP等関連農業農村整備対策は、既存の土地改良7事業における要件に加えて、TPP等関連農業農村整備対策実施要領(平成28年27農振第1793号農林水産省農村振興局長通知。平成28年27生畜第1537号農林水産省生産局長通知)で定める要件の達成が可能な先進的な地区を対象に、農業の体質強化に資する追加的な本対策を集中的・加速的に実施するものである。
前記の三つの対策のうち次世代担い手育成施策における対策は、「農地の更なる大区画化・汎用化の推進」であり、農地の更なる大区画化と地下かんがい施設等の一体的整備を実施するものである。その整備内容は、面的整備(区画整理等)、畑地かんがい系施設整備(農業用用排水施設等の整備)等となっている。また、対策として事業を実施するための地区の要件は、農地集積・集約化及び大区画化により担い手の米の生産コストが60kg当たり9,600円を下回り、かつ、おおむね10%以上削減することなどが見込まれることとされている。
TPP等関連農業農村整備対策は直轄事業及び補助事業により実施されており、直轄事業では国営緊急農地再編整備事業等が、補助事業では農業競争力強化基盤整備事業(農業競争力強化農地整備事業)等が実施されている。
中山間地域等における担い手の育成確保・収益力向上・基盤整備
(中山間地域所得向上支援事業)
中山間地域所得向上支援事業は、中山間地域所得向上支援対策実施要綱(平成28年28農振第1336号農林水産事務次官依命通知)等に基づき、自然的・経済的・社会的条件が不利な上に、平地と比べて高齢化や人口減少が進展している中山間地域において、収益性の高い農産物等の生産・販売等の取組を総合的に支援し、意欲ある中山間地域の農業者等の所得向上を推進することを目的として、所得向上推進事業(計画策定に係る調査・調整等)、基盤整備(区画整理、農業用用排水施設等)、施設整備等(地域連携販売力強化施設、鳥獣被害防止施設等)を実施するものである。
  • 注(1) 融資対象物件のみを担保に徴求する貸付けや同一経営の範囲内の保証人のみ徴求する貸付けをいう。
  • 注(2) 水田に野菜等の畑作物を導入できるよう排水改良のためのかんがい設備を整備すること
  • 注(3) 
    土地改良7事業  国営農地再編整備事業、国営緊急農地再編整備事業、国営総合農地防災事業、国営環境保全型かんがい排水事業、農業競争力強化基盤整備事業(農業競争力強化農地整備事業)、農業水利施設保全合理化事業(水利施設等保全高度化事業)、農地中間管理機構関連農地整備事業