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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 令和4年9月|

農林水産分野におけるTPP等関連政策大綱に基づく施策に関する会計検査の結果について


別図表2-1-44 ①水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業における成果目標の達成状況

【成果目標の概要】
漁船の貸付けを希望する漁業者は、5年以内に漁業所得を10%以上向上するなどの漁業所得に係る成果目標を定めるとともに、自力で次期代船の取得が可能となる利益の留保の実現に係る成果目標を定める。
リース事業者は、上記の成果目標のうち漁業所得に係る成果目標の状況について、漁船のリースを開始した年の翌年以降の状況を事業実施報告書により水漁機構に毎年報告する。
また、水漁機構は、リース事業者から提出を受けた漁業者の漁業所得の状況が記載された事業実施報告書を広域水産業再生委員会に提出し、同委員会は、漁業者の成果目標の達成状況に関する評価を行い、5年間の成果目標が未達成となったなどの場合、改善策をリース事業者に提言する。リース事業者は、漁業者と協議して改善計画を作成して、都道府県等は、リース事業者及び漁業者に対して必要な指導等を行う。
【目標年度における測定対象(漁業者)ごとの成果目標の達成状況】
成果目標の設定状況について確認したところ、平成27年度から令和2年度までの間に漁船を導入した1,517漁業者のうち、水漁機構に事業実施報告書を提出した1,062漁業者は、漁業所得に係る成果目標の目標年度(5年目)までの各年における漁業所得の目標額を設定するとともに、次回の更新の際に必要とする漁船の代船建造までの年数及び建造に係る経費の額並びに5年目までの各年の利益の留保に係る目標額を設定していた。
漁業所得に係る成果目標の達成状況について確認したところ、2年度までに当該成果目標の目標年度が到来した漁業者はいなかった。
なお、前記の1,062漁業者を対象として目標年度前における漁業所得の状況を確認したところ、報告したいずれかの年において漁業所得が10%以上向上していたのは684漁業者(1,062漁業者の64.4%)、報告したいずれの年においても10%以上向上していなかったのは378漁業者(1,062漁業者の35.5%)となっていた。
また、利益の留保に係る成果目標の達成状況について確認したところ、各年の実績の状況は必ずしも把握されていなかった。
そこで、利益の留保に係る成果目標の状況について、検査対象23道県に所在する27リース事業者から漁船の貸付けを受けた1,030漁業者のうち、事業実施報告書により報告した各年の漁業所得の実績額が報告した全ての年であらかじめ設定した漁業所得の目標額以上となっていた276漁業者を対象として確認したところ、下表のとおり、利益の留保の状況が確認できた208漁業者から報告した年の翌年以降に利益の留保に係る目標額を設定していた18漁業者を除いた190漁業者のうち、利益の留保の実績があるとしていたのは119漁業者となっており、一方、利益の留保の実績がないとしていたのは71漁業者(190漁業者の37.3%)となっていた。
(単位:漁業者)
区分 各年の漁業所得の実績額が報告した全ての年で漁業所得の目標額以上となっていた漁業者の数
利益の留保の状況が確認できた漁業者の数 報告した年に利益の留保に係る目標額を設定した漁業者の数 左の190漁業者における利益の留保に係る実績の状況
利益の留保の実績があるとしていた漁業者の数 報告した年までの利益の留保に係る目標額の累計以上となっていた漁業者の数 報告した年までの利益の留保に係る目標額の累計未満となっていた漁業者の数 利益の留保の実績がないとしていた漁業者の数
報告1年目 113 86 75 34 31 3 41
報告2年目 83 61 58 43 32 11 15
報告3年目 72 54 50 35 27 8 15
報告4年目 8 7 7 7 4 3

(構成比)
276 208 190
(100%)
119
(62.6%)
94
(49.4%)
25
(13.1%)
71
(37.3%)