(4件 不当と認める国庫補助金 6,578,433円)
子どものための教育・保育給付交付金(以下「交付金」という。)は、小学校就学前の子どもの保護者が教育・保育給付の認定を受けた場合の当該子ども(以下「給付認定子ども」という。)に対して社会福祉法人等が設置する保育所や認定こども園等(以下、これらを合わせて「民間保育所等」という。)が教育又は保育を実施する際に、市町村(特別区を含む。)が当該民間保育所等に対して支弁する施設型給付費等の支給等に要する費用の一部について国が交付するものである。
交付金の交付額は、「子どものための教育・保育給付交付金の交付について」(平成30年府子本第333号)等に基づき、次のとおり算定することとなっている。
この費用の額は、民間保育所等の所在地域、利用定員、給付認定子どもの年齢等の別に1人当たり月額で定められている基本分単価や各種加算の額に、各月の給付認定子ども数を乗ずるなどして算出した年間の合計額によることとなっている。そして、各種加算には、建物の整備・改修に当たって施設整備費又は改修費等の国庫補助金を受けていないなどの施設等に該当する場合に計上する減価償却費加算、3歳以上の給付認定子どもの利用定員に係る必要保育教諭等の数を超えて配置して、低年齢児を中心として小集団化したグループ教育を実施する場合に計上するチーム保育加配加算、主任保育士を保育計画の立案等に専任することができるよう代替保育士を配置しているなどの要件に該当する場合に計上する主任保育士専任加算等がある。
本院が、24都道府県の163事業主体において会計実地検査を行ったところ、4府県の4事業主体において、所定の要件を満たしていないのに、誤って、減価償却費加算、チーム保育加配加算、主任保育士専任加算等を計上するなどしており、費用の額を過大に算定していたため、交付対象事業費が過大に精算されていて、これに係る交付金相当額計6,578,433円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、4事業主体において交付対象事業費の算定に当たり、費用の額の算定の際に、加算等の要件の理解、要件への適合状況の確認等が十分でなかったこと、4府県において事業実績報告書の審査が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
千葉県成田市は、民間保育所等であるAに係る令和3年度の費用の額の算定に当たり、園舎が施設整備費又は改修費等の国庫補助金を受けていない施設であるとして減価償却費加算を計上していた。
しかし、Aの園舎は平成29年度に実施した耐震補強工事に当たって私立幼稚園施設整備費補助に係る国庫補助金の交付を受けており、減価償却費加算の要件を満たしていないのに、同市は、誤って、この加算を計上していたことから、費用の額を過大に算定していた。
このため、交付対象事業費4,089,600円が過大に精算されていて、これに係る交付金相当額2,044,800円が過大となっていた。
以上を部局等別に示すと次のとおりである。
部局等
|
交付金事業者
(事業主体) |
交付金事業
|
年度
|
事業費
|
左に対する交付金交付額
|
不当と認める事業費
|
不当と認める交付金相当額
|
摘要
|
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(1) |
千葉県
|
成田市
|
子どものための教育・保育給付交付金
|
3
|
2,008,407 | 1,099,150 | 4,089 | 2,044 |
減価償却費加算を誤って計上していたもの
|
(2) |
富山県
|
氷見市
|
同
|
元、2
|
1,752,009 | 930,125 | 3,214 | 1,654 |
チーム保育加配加算等の計上額が誤っていたものなど
|
(3) |
岐阜県
|
羽島市
|
同
|
3
|
1,318,536 | 706,076 | 2,917 | 1,527 |
主任保育士専任加算等を誤って計上していたものなど
|
(4) |
大阪府
|
豊中市
|
同
|
2
|
8,404,118 | 4,525,363 | 2,701 | 1,350 |
チーム保育加配加算の計上額が誤っていたもの
|
(1)―(4)の計 | 13,483,072 | 7,260,715 | 12,923 | 6,578 |