(3件 不当と認める国庫補助金 26,594,727円)
地方創生推進交付金(以下「交付金」という。)は、地域再生法(平成17年法律第24号)、地方創生推進交付金制度要綱(平成28年府地事第16号等)、地方創生推進交付金交付要綱(平成28年府地事第291号)等(以下「制度要綱等」という。)に基づき、地域再生法に定める地域再生計画に記載され、都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略等に位置付けられた自主的・主体的で先導的な事業の実施に要する費用に充てるために、国が地方公共団体に対して交付するものである。
制度要綱等によれば、交付金は、地方公共団体が地域再生法に基づき作成する実施計画に掲げる事業を交付の対象とし、交付対象事業費の補助率は2分の1とすること、職員自身の旅費には原則として交付金を充当できないこと、交付金の交付対象となる地域公共交通の新規路線等に係る実証実験の経費は原則1年間分とすることなどとされている。また、都道府県は、市町村への補助事業に交付金を充当することが可能であるとされている。そして、市町村が内閣府本府から交付された交付金を充当して実施する事業に対して、都道府県が内閣府本府からの交付金を活用して補助金を交付する場合は、内閣府本府から当該市町村に交付された交付金の額と、内閣府本府から都道府県に交付されて当該市町村への補助金に充当された交付金の額の合計額が、当該事業に係る交付対象事業費の2分の1の額を上回ることはできないことになっている(以下、内閣府本府から市町村に交付された交付金を「市町村交付金」、内閣府本府から都道府県に交付されて当該市町村への補助金に充当された交付金を「県交付金」という。)。
本院が13県及び81市町において会計実地検査を行ったところ、高知県及び2市において、職員自身の旅費、1年間を超過した期間分の実証実験に係る費用、実施計画に掲げる事業以外の事業に係る費用等を交付対象事業費に含めていたこと、また、市町村交付金の額を把握していたのに、これを考慮せずに県交付金の額を算定して市町村交付金の額及び県交付金の額の合計額が制度要綱等に定められた上限である交付対象事業費の2分の1の額を上回ることとなっていたことから、交付金相当額計26,594,727円が過大に交付されていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、高知県及び2市において交付金の制度に対する理解が十分でなかったこと、内閣府本府及び2県において高知県及び2市が実施した事業に係る交付金の額の確定時の審査が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
高知県は、実施計画に基づき、平成29、30両年度において、「高知県における外商活動の拡大」(以下「外商活動拡大事業」という。)をそれぞれ事業費354,950,309円(交付金充当経費140,604,516円)、同369,686,804円(同151,382,234円)で実施している。
また、同県は、実施計画に基づき、29、令和2両年度において、「中山間地域の維持・活性化に向けた集落活動センターの拡大・機能強化推進事業」(以下「推進事業」という。)をそれぞれ事業費173,961,000円(交付金充当経費37,372,000円)、同108,914,920円(同40,006,000円)で実施している。同県は、推進事業として、管内市町村等に対して補助金を交付しており、この交付額を平成29、令和2両年度の推進事業の事業費に含めていた。
さらに、同県は、実施計画に基づき、平成29、30両年度において、「「拡大再生産」の好循環を生み出すための移住促進・人材確保の取り組み」(以下「移住促進事業」という。)をそれぞれ事業費319,123,155円(交付金充当経費159,561,577円)、同305,074,096円(同148,133,698円)で実施している。同県は、移住促進事業として、管内市町村等に対して補助金を交付しており、この交付額を29、30両年度の移住促進事業の事業費に含めていた。
しかし、同県は、29、30両年度の外商活動拡大事業、29年度の推進事業及び29、30両年度の移住促進事業の実施に要した費用として、職員自身の旅費等29年度計16,253,816円(交付金相当額計8,126,908円)、30年度計11,546,000円(同5,773,000円)を交付対象事業費に含めていた。
また、同県は、管内市町村から、29、30、令和2各年度の推進事業及び移住促進事業として実施した両補助金による各事業の実績報告書の提出を受けた際に、一部の市町村において、各事業の財源として別途、市町村交付金が計上されていることを把握していた。しかし、誤ってこれを考慮せずに県交付金の額を算定していたため、当該市町村に対して交付された市町村交付金の額及び県交付金の額の合計額が、制度要綱等に定められた上限である各事業に係る交付対象事業費の2分の1の額を上回ることとなり、その額は、平成29年度において4町村で計2,220,858円、30年度において8市町村で計2,368,074円、令和2年度において1市で261,812円となった。
したがって、平成29年度10,347,766円、30年度8,141,074円、令和2年度261,812円、計18,750,652円の交付金が過大に交付されていた。
前記の事態を部局等別に示すと次のとおりである。
部局等
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補助事業者等
(事業主体) |
補助事業等
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年度
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事業費
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左に対する国庫補助金等交付額
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不当と認める事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額
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摘要
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---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(8) |
内閣府本府
|
高知県
|
地方創生推進交付金
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平成29、30、
令和2 |
1,631,710 | 677,060 | 27,799 | 18,750 |
職員自身の旅費等を交付対象事業費に含めていたもの、市町村交付金の額及び県交付金の額の合計額が制度要綱等に定められた上限である交付対象事業費の2分の1の額を上回ることとなっていたもの
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(9) |
茨城県
|
筑西市
|
同
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2
|
27,617 | 13,808 | 11,820 | 5,910 |
1年間を超過した期間分の実証実験に係る費用を交付対象事業費に含めていたもの
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(10) |
長崎県
|
佐世保市
|
同
|
2
|
6,563 | 2,612 | 5,207 | 1,934 |
実施計画に掲げる事業以外の事業に係る費用を交付対象事業費に含めていたもの
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(8)―(10)の計 | 1,665,890 | 693,480 | 44,826 | 26,594 |