本院は、在イラン日本国大使館(以下「大使館」という。)における不正行為について、会計検査院法第27条の規定に基づく外務大臣からの報告及び会計法(昭和22年法律第35号)第42条の規定に基づく同大臣からの通知を受けるとともに、外務本省において、合規性等の観点から、不正行為の内容がどのようなものであるかなどに着眼して会計実地検査を行った。
本件は、大使館において、現地で採用した職員ハビビ某が、資金前渡官吏の補助者として現地職員等に係る社会保障費掛金の支払の事務に従事中、令和3年2月から同年11月までの間に、雇用主負担分を支払うために振り出された小切手を現金化した前渡資金、及び上記の雇用主負担分と併せて納付することとされている本人負担分を支払うために現地職員等から受領した現金を、イラン社会保障庁へ納付することなく領得したものである。大使館では、本件発覚後、不正行為によって生じた未納付となっている社会保障費掛金をイラン社会保障庁からの請求に基づいて前渡資金から支払っており、計22,071,555,958イラン・リアル(邦貨換算額13,022,218円)の損害が生じていて、不当と認められる。
なお、本件損害額については、5年9月末現在で補塡が全くされていない。