2件 不当と認める国庫補助金 26,452,000円
私立学校施設整備費補助金(防災機能等強化緊急特別推進事業)(以下「補助金」という。)は、私立の大学、短期大学、高等専門学校及び専修学校の教育研究の充実と質的向上を図ることを目的として、学校法人等に対して、防災機能等強化緊急特別推進事業(学校施設耐震改修工事等)等に要する経費の一部を国が補助するものである。
補助金の交付額は、私立学校施設整備費補助金(私立学校教育研究装置等施設整備費(私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費))交付要綱(昭和58年文部大臣裁定)等によれば、防災機能等強化緊急特別推進事業については、危険建物の防災機能強化のための耐震補強工事、非構造部材の耐震対策工事等に要する経費(以下、これらを「補助対象経費」という。)の2分の1以内の額とすることとされている。そして、この事業の補助対象経費については、次のとおりとされている。
防災機能等強化緊急特別推進事業のうち学校施設耐震改修工事については、非構造部材の耐震対策工事は、地震により落下、転倒の危険性がありそれを防止する必要がある工事等を補助の対象とすることとされており、老朽化の改善を目的とする工事等は補助の対象とならないこととされている。
本院が、18学校法人において会計実地検査を行ったところ、2学校法人において、補助事業の実施期間中に補助の対象となる工事の施工範囲を縮小するなど補助事業の内容を変更したことにより、補助対象経費が減少していたのに交付決定時の補助事業の内容を基に算出された過大な補助対象経費により実績報告書を提出していたり、補助の対象とならない老朽化した照明器具等の非構造部材の交換等に係る経費を補助対象経費に含めていたりしていた。
これらの結果、補助金計26,452,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2学校法人において補助対象経費についての理解が十分でなかったこと、文部科学省において実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
学校法人昭和大学は、令和3年度に防災機能等強化緊急特別推進事業のうち学校施設耐震改修工事として「4号館耐震補強工事」、「5号館耐震補強工事」及び「6号館①耐震補強工事」を実施しており、耐震補強工事に要する経費を対象として、補助対象経費を計712,685,066円(補助金計356,340,000円)と算定していた。
しかし、同法人は、補助事業の実施期間中に、4号館等の耐震補強工事に関連して実施する内装工事等の補助の対象となる工事の施工範囲を縮小するなど補助事業の内容を変更したことにより、補助対象経費が減少していたのに、交付決定時の補助事業の内容を基に算出された過大な補助対象経費により実績報告書を提出していた。
したがって、変更後の補助事業の内容を基に適正な補助対象経費を算定すると、計676,169,098円(補助金計338,083,000円)となり、補助金計18,257,000円が過大に交付されていた。
以上を事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等
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補助事業者
(事業主体) |
補助事業
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年度
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補助対象経費
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左に対する国庫補助金交付額
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不当と認める補助対象経費
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不当と認める国庫補助金
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摘要
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(47) | 文部科学本省 |
学校法人昭和大学 |
防災機能等強化緊急特別推進事業(4号館耐震補強工事)等 |
3 | 712,685 | 356,340 | 36,515 | 18,257 |
過大な補助対象経費により実績報告書を提出していたもの
(昭和大学) |
(48) | 同 |
学校法人早稲田大学 |
防災機能等強化緊急特別推進事業(早稲田キャンパス14号館201室大規模天井耐震改修工事) |
29 | 75,997 | 37,998 | 16,390 | 8,195 |
補助の対象とならない老朽化した非構造部材の交換等に係る経費を補助対象経費に含めていたもの
(早稲田大学) |
(47)(48)の計 | 788,682 | 394,338 | 52,906 | 26,452 |