3件 不当と認める国庫補助金 26,649,000円
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(帰国者・接触者外来等設備整備事業に係る分)は、「令和2年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の交付について」(令和2年厚生労働省発医政0430第1号・厚生労働省発健0430第5号。以下「交付要綱」という。)等に基づき、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に十分に対応し、同感染症の感染が疑われる患者を診療体制等の整った医療機関に確実につなぐために、帰国者・接触者外来等を設置することにより、国民の不安を軽減するとともに、同感染症のまん延をできる限り防止することを目的として、国が都道府県に対して交付するものである。
交付要綱によれば、この交付金の交付の対象は、都道府県が行う事業及び民間団体等で都道府県が適切と認める者が行う事業に対して都道府県が補助する事業に要する経費とされている。
また、交付金の交付額は、対象事業ごとに次のとおり算定することとされている。
① 所定の基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額を選定する。
② ①により選定された額と総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額に交付金の交付率(10分の10)を乗じて得た額を交付額とする。
① 所定の基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額を選定する。
② ①により選定された額と総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額に交付金の交付率(10分の10)を乗じて得た額と、都道府県が補助した額とを比較して少ない方の額を交付額とする。
本件事業に係る対象経費は、使用料及び賃借料、備品購入費、補助金及び交付金に限られており、これら以外の消耗品費やランニングコストである電気料金等の費用については、交付金の交付の対象とならないこととなっている。
本院が、19道府県(注)及び112事業主体において会計実地検査を行ったところ、宮城県及び広島県の1事業主体において、交付の対象とならない消耗品費等の費用を対象経費の実支出額に含めていた。また、北海道の1事業主体において、交付申請時点では購入を予定していたが取りやめた設備等に係る分を含めて基準額を過大に算出していた。これらのため、交付金計26,649,000円が過大に交付されていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、宮城県及び1事業主体において制度の理解が十分でなかったこと、1事業主体において対象経費の確認が十分でなかったこと、厚生労働省及び2道県において事業実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
宮城県は、令和2、3両年度に実施した本件事業の対象経費の実支出額をそれぞれ315,827,404円、650,563,000円とする事業実績報告書を国に提出し、国から交付金315,827,000円、650,563,000円、計966,390,000円の交付を受けていた。
しかし、同県は、上記対象経費の実支出額に、消耗品費やランニングコストである電気料金等の交付の対象とならない費用を2年度14,656,438円、3年度6,729,546円、それぞれ含めていた。
したがって、交付の対象とならない消耗品費や電気料金等の費用を対象経費の実支出額から除いて適正な交付金の交付額を算定すると、2年度301,170,000円、3年度643,833,000円、計945,003,000円となり、前記交付金の交付額との差額21,387,000円が過大に交付されていた。
以上を部局等別に示すと次のとおりである。
部局等
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補助事業者
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間接補助事業
者 |
年度
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交付金交付額
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不当と認める交付金交付額
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摘要
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千円 | 千円 | ||||||
(81) | 北海道 |
北海道 |
医療法人社団同楽会(札幌西区ともメンタルクリニック) (事業主体) |
3 | 38,662 | 2,224 | 基準額を過大に算出していたもの |
(82) | 宮城県 |
宮城県 (事業主体) |
― |
2、3 | 966,390 | 21,387 | 交付の対象とならない費用を対象経費の実支出額に含めていたもの |
(83) | 広島県 |
広島県 |
いしおか医院 (事業主体) |
2、3 | 15,081 | 3,038 | 同 |
(81)―(83)の計 | 1,020,133 | 26,649 |