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(7) 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルス感染症重点医療機関等設備整備事業に係る分)が過大に交付されていたもの[4道県](90)―(95)


6件 不当と認める国庫補助金 206,153,000円

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルス感染症重点医療機関等設備整備事業に係る分)は、「令和2年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の交付について」(令和2年厚生労働省発医政0430第1号・厚生労働省発健0430第5号。以下「交付要綱」という。)等に基づき、新型コロナウイルス感染症重点医療機関(注1)等において、新型コロナウイルス感染症患者に高度かつ適切な医療を提供するために必要な設備整備を支援することにより、新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制を整備することを目的として、国が都道府県に対して交付するものである。

(注1)
新型コロナウイルス感染症重点医療機関  新型コロナウイルス感染症患者専用の病院や病棟を設定する医療機関として都道府県が指定する医療機関

交付要綱等によれば、この交付金の交付の対象は、都道府県が行う事業及び民間団体等で都道府県が適切と認める者が行う事業に対して都道府県が補助する事業に要する経費とされている。このうち、都道府県が補助する事業に係る交付金の交付額は、次のとおり算定することとされている。

① 所定の基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額を選定する。

② ①により選定された額と総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額に交付金の交付率(10分の10)を乗じて得た額と、都道府県が補助した額とを比較して少ない方の額を交付額とする。

また、本件事業の整備対象設備は、新型コロナウイルス感染症への対応として緊急的に整備する超音波画像診断装置、血液浄化装置、気管支鏡、CT撮影装置等(画像診断支援プログラムを含む。)、生体情報モニタ、分娩監視装置及び新生児モニタとされており、整備対象設備の種類ごとに、1台当たりの補助上限額(超音波画像診断装置については11,000,000円、CT撮影装置等については66,000,000円など)が定められている。

さらに、本件事業に係る対象経費は、使用料及び賃借料、備品購入費、補助金及び交付金に限られており、これら以外の消耗品費やランニングコストである電気料金等の費用については、交付金の交付の対象とならないこととなっている。

本院が、19道府県(注2)及び113事業主体において会計実地検査を行ったところ、岐阜県及び4道県の5事業主体において、1台当たりの補助上限額を超えて交付金が交付されたり、交付の対象とならない費用を対象経費の実支出額に含めたりしていたため、交付金計206,153,000円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県及び5事業主体において制度の理解が十分でなかったこと、4道県において事業実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

(注2)
19道府県  北海道、京都府、青森、宮城、福島、茨城、埼玉、千葉、新潟、石川、長野、岐阜、兵庫、岡山、広島、徳島、長崎、熊本、沖縄各県

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例

岐阜県は、令和2年度に、本件事業について、事業主体である18医療機関に対して、交付金を原資とする同県の補助金を交付しており、これに係る分として、国から交付金1,517,126,000円の交付を受けていた。

しかし、同県は、交付金の交付額の算定に当たり、交付要綱等に基づき整備対象設備1台ごとに対象経費の実支出額と1台当たりの補助上限額とを比較する方法によるべきであったのに、誤って、同じ種類の整備対象設備ごとの対象経費の実支出額の合計額と、整備対象設備ごとの整備台数に1台当たりの補助上限額を乗じた額とを比較する方法によっていた。このため、4医療機関については、1台当たりの補助上限額を超えて交付金が交付される整備対象設備が生ずる結果となっていた。

したがって、整備対象設備1台ごとに対象経費の実支出額と1台当たりの補助上限額とを比較するなどして、適正な交付金の交付額を算定すると1,401,192,000円となり、前記交付金の交付額1,517,126,000円との差額115,934,000円が過大に交付されていた。

以上を部局等別・事業主体別に示すと次のとおりである。

 
部局等
補助事業者
間接補助事業
年度
交付金交付額
不当と認める交付金交付額
摘要
          千円 千円  
(90)
北海道
北海道
札幌市(市立札幌病院)
(事業主体)
2 148,497 14,017
交付の対象とならない設備に係る費用を対象経費の実支出額に含めていたなどのもの
(91)
福島県
福島県
公立大学法人福島県立医科大学(福島県立医科大学附属病院)
(事業主体)
2 208,791 2,200
1台当たりの補助上限額を超えて交付金が交付されていたもの
(92)
岐阜県
岐阜県
(事業主体)
2 1,517,126 115,934
(93)
岐阜県
公立学校共済組合(東海中央病院)
(事業主体)
2 143,410 57,744
交付の対象とならない費用を対象経費の実支出額に含めていたもの
(94)
学校法人朝日大学(朝日大学病院)
(事業主体)
2 53,352 3,300
1台当たりの補助上限額を超えて交付金が交付されていたもの
(95)
沖縄県
沖縄県
社会医療法人敬愛会(中頭病院)
(事業主体)
2 106,214 12,958
1台当たりの補助上限額を超えて交付金が交付されていたなどのもの
(90)―(95)の計 1,980,628 206,153
  • (注) 計欄の交付金交付額は、重複する岐阜県の交付金交付額143,410千円及び53,352千円を控除した合計額である。