1件 不当と認める国庫補助金 2,707,000円
疾病予防対策事業費等補助金(がん診療連携拠点病院機能強化事業に係る分)(以下「国庫補助金」という。)は、「感染症予防事業費等国庫負担(補助)金交付要綱」(平成20年厚生労働省発健第1219002号)等に基づき、地域におけるがん診療連携の円滑な実施を図るなどのために、厚生労働大臣が指定した病院が行うがん患者やその家族等に対する相談支援、がん医療に従事する医師等に対する研修等のがん診療連携拠点病院機能強化事業に対して都道府県が補助する場合に、その費用の一部を国が補助するものである。
国庫補助金の交付額は、上記の交付要綱等に基づき次のとおり算定することとなっている。
① 所定の基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額を選定する。
② ①により選定された額、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額及び都道府県が補助した額を比較して最も少ない額を選定する(以下、選定した額を「国庫補助基本額」という。)。
③ 国庫補助基本額に2分の1を乗じて得た額を交付額とする。
本院が、12道府県(注)において会計実地検査を行ったところ、1府において、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。
部局等
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補助事業者
(事業主体) |
年度
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国庫補助基本額
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左に対する国庫補助金交付額
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不当と認める国庫補助基本額
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不当と認める国庫補助金交付額
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||
(129) | 京都府 |
京都府 |
2 | 137,789 | 68,893 | 5,416 | 2,707 |
京都府は、令和2年度の国庫補助金の交付額の算定に当たり、がん診療連携拠点病院機能強化事業を実施した11病院に対して同府が補助した額について、事業完了後に同府が実際に交付した額とすべきであるのに、誤って、国庫補助金の交付申請時点で同府が11病院に対して交付を予定していた額としていた。この結果、5病院に対して同府が補助した額としていた額が、実際に交付した額と比べて過大となっていて、国庫補助基本額が5,416,592円過大に算定されていた。
したがって、同府が実際に交付した額に基づき選定した国庫補助基本額を用いて、適正な国庫補助金の交付額を算定すると、2,707,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同府において国庫補助金の交付額の算定に当たり確認が十分でなかったこと、厚生労働省において事業実績報告書の審査が十分でなかったことなどによると認められる。