東日本大震災農業生産対策交付金事業の交付対象事業費に、対象とならない経費を含めるなどしていたもの［東北農政局］(217)

この交付金事業は、東日本大震災からの農業生産の復旧等に資するために、産地における生産力及び供給力の回復等に関する取組として、株式会社花兄園ファーム(宮城県大崎市所在。以下「会社」という。)が共同利用ウインドレス鶏舎(以下「鶏舎」という。)等の家畜飼養管理施設を整備するなどしたものである。

東日本大震災農業生産対策交付金実施要領(平成23年23環第44号、23生産第721号、23経営第234号大臣官房環境バイオマス政策課長、生産局長及び経営局長通知)等によれば、交付金の交付の対象となるのは、家畜飼養管理施設等の整備に要する経費とされており、家畜飼養管理施設等とは、共同利用畜舎等の施設、共同利用畜舎と一体的に整備する設備等とされている。そして、共同利用畜舎等の施設とは、肉用牛又は豚を対象畜種とした共同利用畜舎、採卵鶏等を飼育する鶏舎等であり、共同利用畜舎と一体的に整備する設備とは、共同利用畜舎等と併せて設置する設備であって、生産行程に直接に関わり、共同利用畜舎等で行われる生産行程の在り方の本質に関わるものであることなどとされている。

会社は、本件交付金事業について、鶏舎計15棟、鶏舎の管理のための管理棟計2棟、鶏舎と一体的に整備する設備等の整備等を事業費計1,739,556,000円(交付対象事業費計1,610,700,000円)で実施したとして、大崎市を通じて宮城県に実績報告書を提出して、交付金725,350,000円の交付を受けていた。

しかし、上記の交付対象事業費には、当該鶏舎に備え付けられていない車両消毒装置の整備に要する経費が含まれており、これは、本件交付金事業において交付の対象となっている鶏舎には該当しないものであり、生産行程に直接に関わり、生産行程の在り方の本質に関わるものではないことから、鶏舎と一体的に整備する設備にも該当しないものであった。また、管理棟に整備したエアコン等の数量が過大に計上されるなどしていた。

したがって、上記車両消毒装置の整備等に要した経費を除外するなどして適正な交付対象事業費を算定すると計1,599,636,799円となり、前記の交付対象事業費1,610,700,000円との差額11,063,201円が過大となっていて、これに係る交付金相当額4,732,428円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、会社において交付対象事業費の範囲についての理解及び経費についての確認が十分でなかったこと、宮城県及び大崎市において実績報告書の内容についての確認及び会社に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。